タクシーの運転手 A (怖い話)
夏の時期もそろそろ終わりです。
稲川淳二ばりに怖いものが書きたかった。
しかし、状況描写ができない。
キャラクターがどういう世界に居て、どういう場所にいるのかを
上手く記述できなーい。
なので、もう妄想で補うしかない。
だが、出来栄えをみて、吐き気を催す。
でも、完全オリジナルなので問題はない筈なのです。
というか、何か眼にとまってくれた方は読んでいただきたい。
夏のある日。
誰も知らない。こわーい話。
聞いたことがありますか?
あなたは?わたしは?誰が?どうやって?
ノーノー。
聞けばいい。恐怖は元々想像するもの。
人の心が勝手に妄想するので、怖いと思えば怖い。
怖くないと思えば、怖くないんです。
これも、本当にあったのかどうかは分からないけど・・・
肝心なのは怖いと思えるか、どうかなんだと気づいたんです。
私はね。
怖いものなんてこの世にないと言ってる人が怖がることって、
なんだと思います?
それはきっとね。自分が知ろうが知っていまいが。
誰でも知ってるような当たり前の矛盾に気づいた時だと思うんですよねえ。
それって、ああ、きっと怖いんじゃないかな。
そう、「怖いんじゃないかな」そう思って行動することが、
人の恐怖の源泉な気がするんだな。
だから話しましょう。
これはある夏の日のお話です。ベタでもなんでもいいじゃないですか。
Aさんは、田舎に住むタクシー運転手だった。
彼は朝早く起きると、いつもの様に身支度を整えて仕事場へと向かう。
勤務態度は実に真面目で、タクシー会社の誰よりも早く出勤していた。
今日も、家を出るときに申し訳なさそうに小声で「行ってくる。」
と、家族に挨拶をしてから仕事に向かう。
いつもの様に、仕事場に向かった俺はタイムカードを誰よりも早く押して、
直ぐに自慢の愛車に乗って仕事に向かうことになった。
地元でやってるだけの小さなタクシー会社で、チェーンもなければ、
資本も少ない小企業だ。朝礼はないので、各自運転して客が払った分の駄賃を成績にしている。
専ら、乗せる客なんてのは居酒屋帰りのサラリーマン、大学生、後は遊びまわっている年寄りくらいだ。
客の愚痴を聞くのも仕事のうちで、そんな仕事にも十年以上勤めているともう慣れてしまうもんだ。
今じゃすっかり顔なじみの客も増え、仕事も軌道にのってきてたんだ。
今日も俺の愛車は以前と全く変わらない出で立ちで俺を出迎えてくれた。
あの日も同じように、夜中に居酒屋前で待ってたんだ。
でも、めっきり客が乗ってきやしない。
ただの一人もだ。
流石に誰も乗せないなんてのは職務怠慢どころの話じゃあないんだ。
隣街の居酒屋まで行こうと、山の方へ車をとばした。
夜の山道はそれこそ不気味なもんだ。
横に立っている木やら、草やらが矢鱈と目立つ。
まるで周りから、おいでおいでをしてるみたいで気味が悪い。
そんな気味の悪い山道を車で飛ばしてたんだ。
この山道を越えれば隣町に行けるから。
そんな時だな。不意にフロントに白い服を来た女が見えたんだ。
Aさんは、仕事用のタクシーを山道、特に草の深いアスファルトが侵食されて
車一台分程度の幅しかない道の端をふらふらと歩く人影を発見した。
当然、こんな時間を歩いている人がいること自体おかしいとも思ったのだが、
それでも麓までの道のりを考えて、放っておけなくなり、その女性、
白い服を着て長い髪を濡らした女を乗せることにしたのだ。
「お客さん、乗っていきますか?」
頭は禿げてしまっているが、人懐っこさそうな表情に、まるっこい顔をした中年は、
路を歩く女性に声を掛けた。タクシーのエンジンだけが夜に木霊している不気味な道だった。
「あ・・」
女性は少し驚いたように声をあげる。
こちらを見てかなり驚いているようだ。寧ろAさんにしてみれば、こんな時間を、
こんな山道を、平然とふらふら歩いている人物の方が余程驚くべき対象なのだが。
女性は濡らした長い髪をゆっくりとタクシーの運転席側へと向けた。
「すいません・・・家への帰り道の途中だったのですが・・」
そこまで言って、女性は黙り込んでしまう。
思えば雨も降ってないのにどうして髪が濡れているのだろう。
Aさんは異様な雰囲気を纏っている女性に少し不安を感じたのだが、
「でしたら、麓の方まで乗っていきませんか?今ならお安くしておきますから。」
「・・・・・わかりました。」
女性は、先程まで何かを思案していたような顔つきだったが、
運転手の言葉に促されて、割とすんなりと、後部座席に乗ってきた。
改めてAさんは女性を見た。
格好は不気味だが、濡れた髪の隙間から覗く目つきや、話すときにうごく口元を
バックミラーで見る限りは相当な美人であることが見て取れた。
「・・・あの。」
「ああ、すいません。すいません。麓のどちらの方まででよろしかったですかね。」
思わず見入ってしまって、話すのを忘れてしまったAさんだったが、
山道が急カーブに差し掛かったあたりで思い出したかの様に口を開いた。
「・・わたしは、山の麓の一番最初に見えてくる家に住んでいます。
・・・そこでおろして頂ければいいので・・」
「あ、はい。了解しました。山の麓ですねー。いや、しかしこんな夜中に、
どちらにお出かけだったんですか?」
フランクに話しかけるスタイルが今まで客とAさんの会話を成り立たせていた基本事項だった。
Aさん自身は、別に一言も話さなくても目的地まで送るつもりだったのだが、
どうしても夜中に出歩いている女性の真意が気になってしまったのだ。
「・・・・・・」
話しかけられた女性は、やっぱり、一言も発することはなかった。
濡れた髪を垂らしながら、俯いたまま、微動だにしない。
Aさんはしかし、予想通りすぎる反応に寧ろ安心感すら抱いていた。
事情が事情なら話すことも出来ないだろうし、
このまま早いところ仕事を済ませてしまえば終わりだ。
無言のまま、沈黙の箱庭が夜の山に眼光を光らせ疾駆する。
傍から見れば、闇の中をチラチラと光る獣の目のようにも見える。
今、自分は昏い昏い山道を不気味な闖入者を乗せた二人だけで走っている。
そう思ってしまうと、急に背筋が寒くなった気がして、
Aさんはなるべく急ごうとスピートを早めた。
「スピード・・・出てますね。」
「え?ああ、はい。」
突然、後部座席の女性が口を開いて話したことにAさんは驚く。
「あまり・・早すぎると・・ブレーキが効かなくなりますから・・」
「す、すいません。もう少し安全運転で・・ハハハ・・・」
思えば山道を80キロ近くで猛然と走っていたことに気づいたAさんは、
しまった。と、ばかりに速度を少し緩めた。
だが、どうしたことか。
ブレーキが効かない。
これは、まずい。
ここから先は魔の急カーブだ。一瞬の判断の遅れに、
Aさんは酷く焦る。その時不意に。
「大丈夫です。落ち着いて・・」
後部座席からの女性の声。
ハッ、とAさんが我にかえると、車は40キロあたりまで速度が緩んでいた。
これはさすがに、何か言われても仕方がないな。と、Aさんは覚悟したのだが、
女性はそれ以降、車内で一言も言葉を発しなかった。
ただ・・・Aさんがミラー越しに彼女を見ると、
何故か・・今にも泣き出しそうな程悲しそうに見えたことが、
妙に印象的だったのだが。
気づけばタクシーは麓の道を走っていた。
深く、人の侵入を拒んでいた草木はゆくゆく路でなりを潜め、
少しずつ人里へと近づいている感覚を与えてくれた。
「あの・・・」
「はい。なんでしょう。」
「もうじき・・私の家です・・その先の左手側にありますので・・。」
「あ、わかりました。左手側ですね。」
復唱したあたりで、灯がともった家に辿り着いた。
こんな時間まで、この女性の帰りを待っていたのだろうか。
「・・ありがとうございました。・・・お代は今、家の中から取ってきますから・・」
「ええ、ええ、わかりましたよ。」
もう一度女性の顔をAさんは見る。
白いワンピースを着て、濡れた髪を垂らした女性の顔。
色白でまだあどけなさが残る。年齢はかなり若い。美人なのは間違いはないが・・
ひょっとすると、娘と同じで十代なのかもしれない。Aさんはふと、そんなことを思った。
少女はゆっくりと、後部座席から立ち上がり、車を出て行く。
しかし、降りたあとに、くるりと振り返ると運転席に座している男を見た。
「・・・・あの、」
「え?はい・・?なんでしょう?」
「わたしは、・・・人間は忘れやすい生き物だと思います。・・でも、大切なことは、
きっと後で思い出すのだと思うんです。だから・・その時になっても・・・
決して嘆かないで・・・それじゃ、わたしは行きます。・・・さようなら。」
・・・・?
何を言っているんだろう。この娘は。
Aさんは唐突に自分に向かい、言葉を述べて去っていく少女を見て、
自身が全く埒外の方面の言を浴びせられたことに対してどうにもしばしば逡巡したが、
結局のところ意味不明の四文字しか思い当たらず、
少女の度し難い言葉の意味は分からなかった。
「変わった子だなあ・・・」
タクシー中年は独り言のようにぼやきながら、
車を前に進めようとハンドルに手をかけた。
もう夜の帳だっていい加減に落ちてくる頃合いだ。
・・・?
何かおかしいな。
Aさんは余りにも自然に先ほどの少女が家に戻っていったことに、
ある種の違和感を感じずにはいられなかった。
「あ・・」
本当に自分は間抜けだな。
なんだよ。気づかないとか、タクシードライバー失格だろうに。
そう、それだ。
あの客は勘定を払ってないじゃないか。
あの山道は結構長い距離だったんだ。
少なくとも千円くらいは取らないと、イカンだろ。
そうして、車内に表示される料金マシンを見た。
・・・?
なんだ。故障してるのか?
表示ランプが壊れて何も映っていないじゃないか。
これじゃ明日には直ぐに取り替えないといけないだろう。
・・・って、そんなことよりも・・
早くあの娘から運賃貰わないとな。
こんな遅くだし、結構大きな屋敷だし。
怒られんかなあ・・いや、どうあがいても運賃せびりに人の家あがるなんて迷惑なんだがな。
Aさんが、車内窓越しから眼を通して映る風景は古い日本家屋だ。
しかし、少し遠目からみても屋根瓦のインパクトが良く映える。
車道から50mは離れた先に立っているその屋敷は、
正門にも見事な欄間の装丁が施されている。
もしや、この土地の地主の家か何かなのだろうか。
と、疑ってしまうほどだ。
まるで、漫画の世界、いや、ドラマの日常に紛れ込んでしまう錯覚を感じながらも、
Aさんの体はその屋敷へと引き寄せられるように向かっていった。
玄関まで辿り着くと、その屋敷がより一層大きく見えていた。
ところが、巨大な玄関の引き戸は、その絢爛さと威圧感どおりに微動だにしなかった。
「あら・・・いや、もう流石に戸締りかな。」
Aさんは、
もうここまで来たのだから、充分頑張っただろ。
最悪明日もう一度足を運んでもいいんじゃないかな。と、
そう思いかけて、ふと左手の方を見やった。
見れば、戸が少し開いている。
廊下の腰掛け口の方に相当する場所だった。
心なしか、開いた戸の隙間からはあかりが漏れている様にも見えた。
(そういえば、こんな屋敷だしな。・・・あの娘も玄関から入ったわけじゃないかもしれん。)
そんなことを思いながら、あかりが廊下越しの部屋からもれていることが気になって、
彼は中を覗きこんでしまった。
Aさんは、ぼんやりとした蝋燭のあかりに照らされている廊下越しの部屋を見た。
薄暗い部屋。けれどもはっきりと、何かが自分の眼に映っている。
それを、認めて、見ることが、でも、しかし、実際、どうして、
硬直、疑念、理解?、いや、誤認、いやいや、違う違う。
どうしてもAさんにはソレが認識できない。
どうしてもAさんにはソレを認められない。
「な、・・なんで・・。」
廊下越しの部屋の奥。
ぼんやりした灯火の向こう側、その光景はAさんの視界を奪い、
釘付けにしたのだ。
当然だ。何故なら先ほどAさんが乗せた女性の遺影が、
大きく絢爛な華々しい仏花に飾られながら柩とともに、
仏前に置かれていたのだから。
「ありえな、いいや、おい。なんだそりゃ。」
Aさんは、もはや正常な思考が出来ず、逃げ去るように、
タクシーへと戻ってきた。
ぜえ、ぜえ、
と、息切れになりながら、車のエンジンをかけた。
そして、もう二度と後ろを振り返ることもなく、
我が家を目指して運賃者を疾駆させた。
翌朝、Aさんの寝覚めは最悪の気分だった。
昨日のあの光景など思い出すだけでも寒気がする。
昨日、山道で自分が乗せたあの女性は、では一体何のために自分のタクシーに乗ったのだ。
いやな感触が残る。不安が胸にこびりついて離れない。
幸い、今日は仕事は休みの日だったAさんは、朝食を食べに居間へと向かった。
最近新築した、我が家の少し薬品臭い香りは鼻につくものの、
高気密高断熱の新進気鋭の住宅は、朝方の冷え込みも充分にカバーしてくれていた。
いや、それ以前に寒くない。季節は冬。朝の冷え込みは中年代の自分には酷く応える。
今では床暖房とかいう、よく出来た暖房機能がある。
体の内側から温めてくれるような気持ちよさは、我が家だけのものだ。
Aさんにとってみれば、土日・・休みの日に家族と、団欒することこそが日課だ。
いや、唯一の癒しの場といっていい。これまで生きてきた人生の経験上・・
やはり、心を最も許した家族の会話の方が、客との会話より、
今じゃ結婚してロクに付き合わない友人たちより、
心を潤してくれる清涼剤だった。
妻の手料理、娘の学校での話。
家族旅行、娘の生活、最近できたらしい・・憎たらしいが男の話、
仕事の話、親戚の話、会合、地元付きあい。
話したいことは、沢山にある。
山ほどにある。まだ、たくさん・・・
ふと、Aさんは思った。
どうして俺は、こんなに虚しい気分になっているのだろうか?
一階の居間に辿り着くと、娘が座ってテレビを眺めていた。
いつもの光景。別談変わり映えもしない家族の日常。
食卓には自分と、妻と、それと、娘の分の料理だ。
妻は卵焼きが作れない。フライパンの上で上手く回して作ることが出来ないらしい。
だから、出来上がった目玉やきもハムを下にひいているんだが、
どう見てもハムと卵が綺麗に分かれて、俗に言う「ハムエッグ」というより、
これではただの「目玉焼きとハム焼きの隣り合わせ」とでも言ったほうがいいような状態だった。
なんというか・・そのへんの不器用さは生まれつきなのか・・・
今となっては別に気にもしないが。
「おはよう。」と、Aさんは、挨拶をした。
「あなた、出来たわよ。」
と、今まで調理していたウィンナーの炒めものを皿の上に盛ってきた。
「・・・おいおい、相変わらず強引な盛り方するなあ・・」
「感謝してね。今日は一杯食べて元気つけて貰うために作ったんだから。」
だからって、買ってきたひと袋分のウィンナーを盛り付けるのは少し多過ぎやしないだろうか。
そんな疑問をよそに、妻は味噌汁をよそいにキッチンの方へ戻っていってしまった。
すると、今テレビを見終わったのだろうか。
娘が居間から食卓の方へフラフラとやってきた。
「おはよう。」
挨拶はすれど返事はなし。
(まったく・・朝起きたら挨拶は礼儀の基本だろうに・・)
最近、どうもオトコができたらしいが、
お父さんは勝手な不純異性交遊は認めんぞ!
ともかく、ロクに大した仕事も出来んようなオトコだけはもらってこないでくれよ。
娘よ。
そんなことを考えている間に、娘は席に付いてしまった。
一瞬、娘がコチラを見た。
すでに、料理は揃っている。あとは妻が座ってくるのを待つだけだな。
そのように、Aさんは心構えていた。
「お母さん。」
唐突に娘の声が食卓に響いた。
「なあに。どうしたの?」
「・・・ねえ、なんでお父さんの分の食事が作ってあるの?」
「・・・え?」
妻が驚いた様にこちらを振り返る。
作ってある料理をまじまじと見つめ・・。妻は口を開いて言葉を紡ぐ。
「・・あ、ああ、・・ごめんなさいね。今日は土曜日だったわね。
日曜日と勘違いしちゃってたわね。」
「お母さん・・驚かさないでよ。あたし、てっきりお母さんが変になったかと思ったよ。」
「ううん。ごめんね。家族旅行の約束皆でしてたのって、明日だったものね。
私てっきり今日が日曜日だと思い込んでたの。それで、張り切って作ちゃったのよ。」
「・・・お母さん。」
気づけば二人だけの会話だった。
Aさんは、既にその場には居なかった。
だって、本当に簡単なことだ。
だって、Aさんにはソレが認識できない。
仏壇には自分の遺影があるんだ。
薄ぼんやりとしたあかりの中に、蝋燭だけが輝いてるんだ。
だって、Aさんにはソレが認められない。
もう家族と話せないって自分でも分かっていたんだ。
でも、まさか、本当は俺が
死んでいたことなんて認められないだろ?
【わたしは、・・・人間は忘れやすい生き物だと思います。・・でも、大切なことは、
きっと後で思い出すのだと思うんです。だから・・その時になっても・・・
決して嘆かないで・・・それじゃ、わたしは行きます。・・・さようなら。】
ああ、おいおい。
そういうことだったんだな。
でも、俺は嘆くことも出来ないんだ。涙だってもう出ないんだ。
悲しむことだって感じられないんだ。生きていればそうだってのに。
家族ともっと話たかったな。
ずっと一緒にいたかったな。
気づけばAさんの意識はもう、生きている人間の意識から切り替わっていたのだ。
・・・・?
でも、なんでだろう。
あの娘は成仏したのに。なんで俺はこの世にとどまっているんだろう。
おかしいな。仏壇にあるのに。
もう、遺骨も収まったんだろ?
なんで俺はこの世界にいるんだ?
胸にこびりついた不安は取れない。
いつも朝の目覚めは最悪な気分だった。
【人間は忘れやすい生き物だと思います。】
思い出せ。思い出せ。
自分がなんで死んだのか。
思い出せ。
どうして、こんな幸せな世界が変わったのかを思い出せ。
何故、こうなった。
自分は・・・・・・・
ああ、ああ、
あああああああああああああっ!!!!
そうだ!俺は!
あの時、あの女を乗せた山の急カーブだ!!
そこから落ちたんだ!
そこのガードレールから落ちて!!
車ごと体が潰された!
ああ!ああ!!
思い出した!
そうだ、俺はあの時いつもどおり出勤したんだ。
それで、いつもの様に仕事にいってあの例の山道を通ったんだ!
そこで死ぬ直前におかしいことに気づいたんだ!!
ブレーキが効かない!!
そうだ!あのタクシーだ!事故の原因!
俺の命を奪ったのは、何者かが俺のタクシーのブレーキに細工したからなんだ!!
誰か気づいてくれ!!!
妻よ!娘よ!あれは、事故なんかじゃないんだ!!!
誰かが!誰かが!俺を死に至らしめたんだ!!
憎い!憎い!
ソイツが憎い!!!俺から幸せな生活を奪ったソイツを必ずコロシテヤル!!
それ以来、
あの山道にはAさんが今もタクシー走らせている。
自分を殺した何者かを彼はいつも探している。
そして、同時に、Aさんはずっと、
家族を守るために、家の中をさまよい続けているんです。
今でもずっと、壊れたタクシーを乗り回して・・・・
読んだあと、
「なんだコレ」「文章稚拙すぎ!」「夏休みだなあ・・・」
とか、思った方、
あなたがたは素晴らしい感性をお持ちです。
称賛と畏敬の念をこめて、
こんなの読んでくれて有難うございます!
と、言います。
これからも細々とやっていくので宜しくです。