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養殖天然の彼女  作者: 天川
本編
6/26

彼女と友達

面倒くさいのが嫌でこんな性格を演じていたのに、どうしてこんな面倒なことばかり起こるのだろう。おかしいなぁと首をひねるが、今更どうしようもない。

まず最初に、早稲泉のノートと一緒に私のノートもボロボロにされた。いつものパターンだ。逆に、これしかできないのか。


私は怒って、


「バケツの水でも零したのかな・・・こんなところに置かず、ちゃんと言ってくれればいいのに!」


と、全く見当違いなことを言ってのける。

ショックを受けていた早稲泉は、それにクスリと笑った。


私が九条霧子に目をつけられたことで、私の友人達は、私とあまり接触しないようになった。

けれど『私』はそんなことに気付かない。彼女たちは、それを内心苦々しく思いながら、表面上いつもと同じように過ごす。

早稲泉も、その輪の中に時々入るようになった。それは、私が連れてくるからだ。

そうすると、ますます彼女達は苦い顔をする。けれど、『私』は気付かない。早稲泉は、それに気付いている。

だから、ひどくよそよそしくする彼女わせいずみに、彼女たちはますます気を使うのだ。


私は、言った。


「さっき、ノートが濡れて、使えなくなっててさ。だから、今度の休み、誰かの家で写させてくれない?」


私が拝むようにそうお願いすると、彼女たちの顔色が悪くなった。

けれど、悪いようにも出来ないため、苦肉の案を出す。


「あ、だったら、私のノート貸すから、写しておいでよ」


私は大げさに喜ぶ。ノートを受け取り、「月曜日には返すから」と言う。

そして早稲泉に、


「明日うちに来れる?」と尋ねれば


「早川さんの家どこにあるか知らない」と申し訳なさそうに言われ


「あ、そうか。じゃあ、街の図書館で写そう!」と言えば


早稲泉の表情は明るくなり、「うん」とうれしそうに頷いた。


面倒なことばかりだ。人間関係も、人の感情も。


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