ある男の遺書
七日間。
君と死に別れてから経った時間だ。
あれから、私は一度も窓を開けなかった。外の風に触れれば、君の遺したものまでこの部屋から消えてしまいそうだったからだ。
何度か玄関を叩く音がしたが、返事をしなかった。私たちが二人で暮らしたこの部屋に、今さら誰かを入れるつもりはないからだ。
君は、ずっとそばにいてくれるだけでよかった。
なぜ、私の元から去らなければならなかったのだろう。運命のせいにできたなら、どれほど楽だっただろう。
あの時の手の感触は今でも忘れられない。
一日が経ち、私は光を失った。全てが暗闇に包まれたようだった。
二日が経ち、私は土砂降りの中で空を眺めた。君は今、そこにいるのだろうか。
三日が経ち、私は花を買った。君の好きだったスノードロップだ。君に届くことを願った。
四日が経ち、私は部屋を片付け始めた。真珠のネックレスを見つけた。月明かりのように穏やかな君にぴったりだと思って贈ったものだ。君のそばに置くと、真珠は暗い部屋の中でかすかに光ったように見えた。
五日が経ち、私は飼っていたフクロウを処分した。私と離れた君が寂しくならないように。
六日が経ち、私は何人かを君のもとへ送った。フクロウ以外の話し相手も欲しいことだろう。
そうして、七日が経った。今から君に送るのは、君が最も会いたくない人間だ。君が最期に見た人間だ。
どうか、私を赦さないでほしい。君が私を憎んでいる限り、忘れることはないのだから。
どうか、私から去り続けてほしい。私が君を追い続ける愉しみは、何にも代えがたいのだから。




