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喫茶店と少女たち

(葵SIDE)

「葵、私の頼みを聞いてくれますか?」

「うん、なんでも言ってよ!」

親しい友達が私に相談してきた。

小さい頃から知り合っているこの友達はよく私に相談事を持ってくる。

「アルバイトを紹介してほしいんです。」

「一応聞くけどどうして?」

「最近私の親が再婚したじゃないですか。

義父だけでなく義兄までできてちょっと家に居ずらいんです。」

「あ〜、なるほどね〜。

うーん、バイトかぁ。

何系がいいとかあるかな?」

「あまり騒がしくないところがいいですね。

葵は喫茶店巡りをしているので詳しいと思って。」

「うん、ちょっと待ってね。えーと…」

私は最近行った喫茶店を思い出す。

都心にあるけどちょっとうるさいところとか、お客さんが多くて忙しそうなところは避けた方がいいよね。

そうなるとやっぱりあそこがいいかな。

「ちょっと歩くかもしれないけど、ここの喫茶店とかどう?

コーヒーもケーキも美味しいし、中は綺麗だけどちょっと古い感じの雰囲気で、私が行った時はバイトさんも1人しか居なかったよ。」

「なかなかいいですね。

一回行ってみる価値はあるかもしれません。」

「そっか。

じゃあ今日お客さんとして行ってみる?」

「良いんですか。」

「うん!私もまた行きたいと思ってたんだぁ。」

これは本当。

半分はあそこのコーヒーが好きだから。

もう半分は……また会えるかもしれないし。

「ねぇ、学校終わったら一回帰っても良い?

その店のポイントカードが家にあるから。」

「ええ、良いですよ。

私も制服よりは私服の方が都合がいいので。」

「じゃあ4時に駅で待ち合わせね。」

「はい」


「葵、ちょっとおしゃれしてますか?」

「えっ、いや、そんなことない…と思うよ?」

「普段の服よりも気合い入れてますよね。

あとお化粧も直してます。」

「これはちょっと落ちてたからで……そんなことはいいの!行くよ!」

「あ、ちょっと待ってくださいよ〜。」


少しの期待を胸に抱いて扉を開く。

店内を大きく見渡して、私の目当てがいないことにちょっとがっかり。

「いらっしゃーい!

何名様ですか?」

「2人です」

「それじゃあ席に案内しますね。」

茶髪の女性の店員に案内されて私たちは席についた。


「お店の雰囲気はどうかな?

私はゆったりしてて好きだけど。」

「すごくいい感じかもしれません。

特に匂いが好きです!」

「良かった〜。

コーヒーも美味しいから飲んでみて。」

「はい………うっ、苦…」

そう言うとこの友達はあろうことか大量のミルクと砂糖を入れ始めた。

「えぇ〜っ、ここのコーヒーすごく美味しいのに。」

「私にこんな苦いものを飲ませようとするなんて。

葵、恨みますよ。」

そういえば私がレモンのケーキを頼む隣でショートケーキを頼んでいたようにこの友達はかなりの甘党だから、このお店はちょっと選択ミスだったかも。


なんだかんだ言って友達は(ミルクと砂糖まみれとはいえ)コーヒーを完飲した。

「味は嫌いじゃないんです。」

とか言っちゃって。

「どうかな、働けそう?」

「お店はすごくいい感じです。

あとはお店の方に怖い方がいないと良いんですけど。

私、人見知りなので。」

「あはは、安心して。

店長さんも、この前来た時にいた別のバイトさんもすっごく優しい人だから。」

「葵が言うなら安心ですね。

ここなら大丈夫そうです。

でも初対面の人たちしかいないのはちょっと不安なので、葵もたまには来てくださいね。」

「それはもちろん。

私もこのお店大好きだし。」

次来た時は会えるといいな。

あの子からシフト聞いちゃおうかな。


(蒼介SIDE)

俺がバ先の扉を開けると、いつものように店長と挨拶を交わす。

「あぁ、こんにちは山井くん。

今日からバイトの子が1人増えるから、着替えたら厨房に来てくれるかい?」

「はい、わかりました。」

バイト仲間が増えるのか。

どんな人だろうか。

バイトが2人だと休日でも店長1人になってしまうこともよくあるから、バイトが増えるのはありがたい。


厨房に行くと俺、店長、榊原先輩の3人の他に濃い紫色の髪色をした少女が1人立っていた。

「それじゃあ、平沼さん。

自己紹介を頼むよ。」

「は、はいっ。

平沼桃香ひらぬま ももかです。

緑山女子の一年です。

甘いものが好きです。

よ、よろしくお願いしましゅっ」

あ、ちょっと噛んだ。

恥ずかしいのか顔を真っ赤にして顔を手で覆っている。

それにしても、緑山女子、柊さんと同じ学校か。

次はいつ来てくれるのだろう。

「あ!この前来てくれた子だよね。

桃香ちゃんって言うんだ。

私、榊原藍。藍ちゃんって呼んでね!」

「え…えと、はい。」

「ていうかミドジョ?

めっちゃ頭いいじゃん!」

「あ…えぇっと…」

そろそろ平沼さんが可哀想なので助け舟を出してやろう。

「榊原先輩、平沼さんが困ってるのでその辺にしといたらどうですか。」

「え、マジ?ごめんねー。」

「この人は興味持ったことには周りが見えなくなってしまうので気をつけてください。

あ、俺は山井蒼介です。」

「ちょっと蒼ちゃん、それって悪口?」

「違います。ただの先輩の特徴です。」

「じゃあなんかいいことも言いなさいよ。」

「えー……声が大きいところ?」

「うるさいってことじゃん」

「んー……いつも笑顔なところ?」

「能天気な女ってことでしょ」

「あー……好奇心旺盛なところ?」

「さっき言ったことをいい感じに言い換えただけじゃん」

うっわめんどくせぇ。

「お二人の仲がいいのはよくわかりました…。」

カランカランッ

「どうも…あれ?誰もいない…。」

お客さんが来たようだ。

しかしこの声、聞き覚えがある。

「遅いですよ、葵!」

と言って平沼さんがカウンターに向かう。

俺もカウンターに顔を出すと、見覚えのある少女が平沼さんをヨシヨシしていた。

「あ、蒼介くん。」

「こんにちは、柊さん。」

「あはは、また会えたね。」

挨拶を済ませると榊原先輩が驚いて大きく目を開けていた。

「え、蒼ちゃんこんな可愛い子と知り合いなの!?」

「この前たまたま会ったのでその成り行きですよ。」

「蒼ちゃんに女子の知り合い…?」

「流石の俺でも怒りますからね。」

「あ、この前居た店員さんですよね。

「あはは、そうだよ。

お名前はなんて言うのかな?」

「私は柊葵です。」

「葵ちゃんね。

桃香ちゃんのことはおねぇさんに任せなさい!」

「えっと…桃香、多分あなたのことすごく怖がってるんですけど…」

「えっ」

こうして、俺の職場に1人の少女が加入した。

高校を卒業する関係で少し投稿が滞りますが大学への入学が完了した後は活発に執筆していきたいのでどうかお気になさらないようお願いします。

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