第8話 王宮が報告書を読んだ結果、会議が壊れました
王宮・中央会議室。
朝から、
空気が重かった。
理由は一つ――
一通の報告書である。
◆ 問題の報告書
「……読んだか?」
重臣の一人が、
低い声で言った。
「王宮管理官・
エドガー・ルーヴェンの
報告だ」
全員、
すでに読んでいる。
だからこそ、
沈黙していた。
◆ 書いてあること(要約)
・命令を出すと現場が止まる
・命令を出さないと現場が回る
・領主は何もしていない
・管理官も何もしない方が成果が出た
――以上。
◆ 最初に壊れたのは、理論
「……意味が
分からん」
「統治とは
命令だろう?」
「管理官が
“管理しない”
とは何だ?」
机を叩く音。
(それな)
◆ 二人目が壊れる
「待て」
別の重臣が
慌てて言った。
「つまりこれは――」
「誰も責任を
取っていないのに
成果が出ている
ということか?」
全員、
一斉に顔を上げた。
(それは
まずい)
◆ 王宮で一番怖い言葉
「……前例が
ない」
その一言で、
空気がさらに
冷える。
前例がない。
=
評価できない。
処理できない。
責任を押し付けられない。
(最悪)
◆ 管理官を送った側の焦り
「誰だ」
「彼女を
僻地に
送ると
決めたのは」
視線が、
じわりと
一人に集まる。
「……試験の
つもりだった」
「ここまで
想定外とは……」
◆ 王太子、静かに刺す
「だから、
言いました」
王太子レオンハルトが、
淡々と告げる。
「彼女は
“命令で
動く人間”
ではない」
「整えるだけで、
結果が出る」
重臣の一人が
苛立つ。
「それは
王宮向きではない!」
◆ 王宮的に最悪な評価
「……危険だ」
誰かが、
ぽつりと
言った。
「統治しているのに
していないように
見える」
「支配していないのに
影響力がある」
「しかも、
本人に
その自覚がない」
(最悪の
タイプ)
◆ 結論は一つ
「……放置は
できない」
「だが、
下手に
触ると
崩れる」
「ならば――」
議長が、
ゆっくり言った。
「別の角度から
揺さぶれ」
◆ 新たな方針(不穏)
「管理では
なく」
「人材だ」
「彼女の
周囲を
切り崩す」
「――特に」
視線が、
報告書の
別の行に
止まる。
『白ローブの少女が
現場調整に
大きく寄与』
◆ 王宮魔法局、動く
「……聖女候補か?」
「王宮の
管轄だな」
「領地に
置いておく
理由はない」
王太子の表情が、
一瞬だけ
硬くなる。
◆ その頃、領地では(対比)
「……今日は
空気が
いいですね」
マリアが
のんびり言う。
「ええ」
私は、
帳簿を閉じた。
(嵐の前の
静けさ)
◆ 王宮の誤算・その8
王宮は、
こう判断した。
「本人が
動かないなら、
周囲を
動かせばいい」
だが――
その“周囲”は、
すでに
自律している。
◆ 本文に直結した“引き”
王宮魔法局の書類に、
赤い判が押された。
《対象:マリア
王宮召喚を検討》
その知らせは、
数日後――
領地へ届く。
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