第5話 王宮視察団が来ましたが、誰も主役が分かりません
王宮視察団は、
とても立派だった。
人数、八名。
服装、豪華。
態度、尊大。
そして――
全員、困惑していた。
◆ 到着五分で異変
「……で?」
視察団の団長が、
代官を睨む。
「誰が、
この領地を
統治しているのだ?」
「は……?」
代官が、
一瞬固まった。
「ええと……」
(あ、これ)
(詰んだやつ)
◆ 「主役」が見当たらない
「改革案は?」
「指示書は?」
「新制度は?」
次々に飛ぶ質問。
代官は、
正直に答える。
「……ありません」
沈黙。
「……では、
誰が命令を?」
「特に……
誰も……」
視察団、
全員で顔を見合わせた。
◆ 視察団の内心(最悪)
(統治者がいない?)
(勝手に回っている?)
(そんなはずは――)
王宮基準では、
理解不能だった。
◆ 市場を見てさらに混乱
視察団は、
市場に案内された。
「……これは?」
「露店?」
「許可は?」
商人ギルバートが、
普通に答える。
「特にありませんよ」
「空いてたから
出しただけです」
(出しただけ!?)
◆ 価格統制なし、混乱なし
「値段は
誰が決めている?」
「売る側です」
「揉め事は?」
「近くの人が
止めます」
(統治とは……?)
◆ 視察団、恐怖する
「……代官」
「この領地、
暴動は?」
「ありません」
「犯罪は?」
「減りました」
(なぜ?)
◆ ついに出る質問
「……では」
「この“黒幕”は
どこにいる?」
(黒幕扱い)
◆ ルナリア、普通に登場
その時。
「あ、
お疲れさまです」
私は、
帳簿を抱えて
通りを歩いていた。
質素な服。
飾りなし。
視察団、
一斉に振り向く。
「……誰だ?」
◆ 代官の紹介が弱すぎる
「こちらは……」
「ええと……」
「領主様、
です」
視察団、
固まる。
◆ 第一声が失礼
「……若いな」
「本当に?」
「冗談では?」
(やめて)
◆ 視察団の質問攻め
「改革案は?」
「命令書は?」
「施策一覧は?」
私は、
正直に答えた。
「ありません」
どよめき。
◆ ルナリアの説明(いつも通り)
「税を止めました」
「無理な仕事を
止めました」
「人が動きやすく
なっただけです」
視察団の顔が、
どんどん
青くなる。
◆ 団長の一言
「……それで
結果が出ている?」
「はい」
「偶然では?」
「偶然です」
(本当に)
◆ 王宮側の結論(暫定)
「……理解できん」
「だが、
否定もできん」
団長は、
深く息を吐いた。
「報告は
こうする」
「“統治者不在に見えるが、
秩序は維持されている”」
(最悪な
報告文)
◆ 視察団、撤退
去り際。
「……一つ聞く」
団長が
私を見た。
「貴女は、
何者だ?」
私は、
少し考えてから
答えた。
「……何も
していない
領主です」
◆ 王宮の誤算・その5
王宮は、
こう思っていた。
「視察すれば、
主導者が
見える」
だが現実は。
主導者が見えないのに、
領地が回っている。
それが、
一番
恐ろしかった。
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