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前に出ない悪役令嬢が、気づいたら領地を再生していました ~これは王宮の陰謀であり、私の試験らしいです~ ルナラブ領地試験編  作者: 月影 すずり


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第4話 帳簿を見た代官が泣き、王宮は頭を抱えました

 朝。


 代官が、

 書類の山を前に

 固まっていた。


 まったく動かない。


「……代官?」


 声をかけても、

 反応がない。


(嫌な予感)


◆ 数字は嘘をつかない


「……お嬢様」


 代官は、

 震える手で

 帳簿を差し出した。


「確認、

 いたしました」


(覚悟)


「……赤字が」


(はい)


「……消えています」


(はい?)


◆ 代官、理解を放棄する


「徴税、停止」


「無駄な業務、停止」


「臨時市場、発生」


「倉庫利用料、微収益」


 淡々と読み上げたあと、

 代官は――


 ぺたり。


 椅子に座り込んだ。


「……私は

 二十年、

 何をしていたのでしょうか」


(それは

 言わないで)


◆ ルナリアの主張(いつも通り)


「本当に、

 何もしていません」


 私は、

 はっきり言う。


「削っただけです」


「止めただけです」


「人が

 動きやすく

 なっただけです」


 代官は、

 遠い目をした。


「それを

 “何もしていない”

 と呼ぶのは、

 反則です……」


(褒めてる?)


◆ その頃、王宮では


 同じ帳簿が、

 王宮の会議室にも

 届いていた。


「……説明しろ」


 重臣の一人が、

 眉をひそめる。


「改革案は?」


「命令書は?」


「追加予算は?」


 報告官は、

 淡々と答えた。


「……ありません」


 沈黙。


◆ 王宮の混乱


「何もせずに

 黒字?」


「市場が

 自然発生?」


「徴税を

 止めた?」


「正気か?」


 別の重臣が

 苛立つ。


「試験の

 意味が

 分からなくなる!」


(その通り)


◆ 王太子だけが理解している


「……だから、

 言ったはずです」


 王太子レオンハルトが、

 静かに口を開いた。


「彼女は

 “現場”を

 知っている」


「潰れないやり方を

 選ぶ人間だ」


 重臣の一人が

 顔をしかめる。


「だが、

 王宮向きではない」


「命令に従わぬ」


「功績を

 誇らぬ」


(王宮にとって

 最悪のタイプ)


◆ 王宮の結論(暫定)


「……視察を

 入れろ」


「現場を

 直接見なければ

 評価できん」


「彼女が

 意図的かどうか、

 見極める」


 書記官が

 静かに記録する。


 試験は、

 次の段階へ。


◆ 領地に戻って


「……お嬢様」


 代官が、

 おずおずと言う。


「王宮から、

 視察団が

 来るそうです」


(来た)


(早い)


 私は、

 深くため息をついた。


「……何も

 しない予定なんだけど」


(余計、

 怪しまれるやつ)


◆ ルナリアの内心


(これ、

 完全に)


(“失敗を

 見つけに

 来る”

 視察よね)


(でも)


(何も

 壊れてない)


 それが、

 一番

 厄介。


◆ 王宮の誤算・その4


 王宮は、

 こう思っている。


「視察すれば、

 何か

 ボロが出る」


 だが現実は。


 現場が、

 静かに

 回っている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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