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前に出ない悪役令嬢が、気づいたら領地を再生していました ~これは王宮の陰謀であり、私の試験らしいです~ ルナラブ領地試験編  作者: 月影 すずり


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12/13

第12話 王宮は「呼び出したい理由」を必死に探しています

 王宮・執務棟奥。


 重たい扉が閉まり、

 小会議が始まった。


 議題は一つ。


「――どうやって、

 彼女を

 呼ぶ?」


 誰も、

 即答できない。


◆ 問題の人物


「ルナリア・

 ヴァレンティーナ」


「命令しても

 動かない」


「放置しても

 成果が出る」


「管理官が

 “管理しない”と

 言い出した」


(扱いづらい)


◆ 王宮が一番困るタイプ


「違法行為は?」


「……なし」


「不正は?」


「……なし」


「反抗は?」


「……していない」


 全員、

 机を見る。


(完璧に

 困る)


◆ “呼び出せない”という事実


「王宮が

 正当に呼び出すには」


「理由が

 必要だ」


「そして」


 議長が

 重く言う。


「その理由は、

 本人が

 否定できない

 ものでなければ

 ならない」


(詰み)


◆ 無理筋案①:功績表彰


「功績が

 あるのだから

 表彰では?」


「……本人、

 喜ばないぞ」


「むしろ

 逃げる」


(前例あり)


◆ 無理筋案②:監査


「監査名目は?」


「管理官の

 報告を

 忘れたか?」


「“命令が

 障害”と

 書かれている」


(自爆)


◆ 無理筋案③:教育指導


「王宮で

 学ばせる?」


「何を?」


「……」


(沈黙)


◆ 魔法局の一言(核心)


「……マリアです」


 魔法局長が

 静かに言った。


「彼女の

 魔法は」


「環境と人に

 依存している」


「つまり」


 視線が

 一点に集まる。


「領主を

 切り離せば、

 評価できる」


(それだ)


◆ 王宮の論理ひどい


「マリアの

 研究継続には」


「“関係者”の

 確認が必要」


「関係者の

 代表は?」


「――領主」


 全員、

 頷く。


(ひどいが

 合法)


◆ 王太子の牽制


「……一応、

 言っておくが」


 王太子レオンハルトが

 口を開く。


「彼女は、

 “試されている”

 自覚がない」


「下手に

 扱えば――」


「分かっている」


 議長が

 遮る。


「だからこそ、

 “お願い”だ」


(圧を

 かけない圧)


◆ 文言調整会議(地獄)


「“召喚”は

 強すぎる」


「“招待”に

 しよう」


「理由は?」


「……研究協力」


「期間は?」


「……短期」


(嘘)


◆ 完成した文章(王宮クオリティ)


王宮魔法局より

領主ルナリア殿へ


現在進行中の

特殊魔法研究に関し、

関係者として

短期間の

意見交換をお願いしたく、

王宮への来訪を

ご検討ください


(検討)


(拒否権あり

 に見せかけて

 ない)


◆ 王宮の誤算・その12


 王宮は、

 こう思っている。


「理由を

 整えれば、

 来る」


 だが。


 理由を

 整えている時点で、

 主導権は

 こちらにない。


◆ 同時刻、領地では


 私は、

 いつも通り

 帳簿を見ていた。


 そこへ、

 代官が

 一通の封筒を

 差し出す。


「……お嬢様」


「王宮から、

 です」


 私は、

 封蝋を見て

 ため息をついた。


(やっと

 理由、

 できたのね)


 封を切り、

 一文を読む。


「……“関係者として”」


 私は、

 小さく笑った。


「ええ」


「関係者ですね」


 “関係者”が

 何を意味するか――


 それを

 決めるのは、

 王宮ではなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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