第12話 王宮は「呼び出したい理由」を必死に探しています
王宮・執務棟奥。
重たい扉が閉まり、
小会議が始まった。
議題は一つ。
「――どうやって、
彼女を
呼ぶ?」
誰も、
即答できない。
◆ 問題の人物
「ルナリア・
ヴァレンティーナ」
「命令しても
動かない」
「放置しても
成果が出る」
「管理官が
“管理しない”と
言い出した」
(扱いづらい)
◆ 王宮が一番困るタイプ
「違法行為は?」
「……なし」
「不正は?」
「……なし」
「反抗は?」
「……していない」
全員、
机を見る。
(完璧に
困る)
◆ “呼び出せない”という事実
「王宮が
正当に呼び出すには」
「理由が
必要だ」
「そして」
議長が
重く言う。
「その理由は、
本人が
否定できない
ものでなければ
ならない」
(詰み)
◆ 無理筋案①:功績表彰
「功績が
あるのだから
表彰では?」
「……本人、
喜ばないぞ」
「むしろ
逃げる」
(前例あり)
◆ 無理筋案②:監査
「監査名目は?」
「管理官の
報告を
忘れたか?」
「“命令が
障害”と
書かれている」
(自爆)
◆ 無理筋案③:教育指導
「王宮で
学ばせる?」
「何を?」
「……」
(沈黙)
◆ 魔法局の一言(核心)
「……マリアです」
魔法局長が
静かに言った。
「彼女の
魔法は」
「環境と人に
依存している」
「つまり」
視線が
一点に集まる。
「領主を
切り離せば、
評価できる」
(それだ)
◆ 王宮の論理
「マリアの
研究継続には」
「“関係者”の
確認が必要」
「関係者の
代表は?」
「――領主」
全員、
頷く。
(ひどいが
合法)
◆ 王太子の牽制
「……一応、
言っておくが」
王太子レオンハルトが
口を開く。
「彼女は、
“試されている”
自覚がない」
「下手に
扱えば――」
「分かっている」
議長が
遮る。
「だからこそ、
“お願い”だ」
(圧を
かけない圧)
◆ 文言調整会議(地獄)
「“召喚”は
強すぎる」
「“招待”に
しよう」
「理由は?」
「……研究協力」
「期間は?」
「……短期」
(嘘)
◆ 完成した文章(王宮クオリティ)
王宮魔法局より
領主ルナリア殿へ
現在進行中の
特殊魔法研究に関し、
関係者として
短期間の
意見交換をお願いしたく、
王宮への来訪を
ご検討ください
(検討)
(拒否権あり
に見せかけて
ない)
◆ 王宮の誤算・その12
王宮は、
こう思っている。
「理由を
整えれば、
来る」
だが。
理由を
整えている時点で、
主導権は
こちらにない。
◆ 同時刻、領地では
私は、
いつも通り
帳簿を見ていた。
そこへ、
代官が
一通の封筒を
差し出す。
「……お嬢様」
「王宮から、
です」
私は、
封蝋を見て
ため息をついた。
(やっと
理由、
できたのね)
◆
封を切り、
一文を読む。
「……“関係者として”」
私は、
小さく笑った。
「ええ」
「関係者ですね」
“関係者”が
何を意味するか――
それを
決めるのは、
王宮ではなかった。
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