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前に出ない悪役令嬢が、気づいたら領地を再生していました ~これは王宮の陰謀であり、私の試験らしいです~ ルナラブ領地試験編  作者: 月影 すずり


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1/13

第1話 王宮に呼ばれたと思ったら、試験で草原に捨てられていました

このお話は、

『悪役令嬢ルナリアの破滅回避ラブコメ学園生活(通称:ルナラブ)』

の続編です。


……ですが、ご安心ください。


前作を読んでいなくても、

ルナリアはちゃんと困りますし、

ちゃんと巻き込まれます。


学園で破滅フラグを避けきった結果、

「優秀」と誤解され、

なぜか王宮に目をつけられ、

気づいたら草原に立っていました。


ええ、

王宮に行く予定だったはずなのに、です。


この物語では、

前に出ない悪役令嬢が、

「何もしていない」と言い張りながら、

なぜか領地を立て直していきます。


もし、

・学園でのドタバタラブコメを最初から楽しみたい方

・ルナリアがなぜ全力で目立ちたくないのか知りたい方


は、ぜひ

『悪役令嬢ルナリアの破滅回避ラブコメ学園生活ルナラブ

からどうぞ。


もちろん、

「とりあえず今の話から」読んでも問題ありません。


それでは、

学園の外で始まる

前に出ない悪役令嬢の静かで騒がしい日常を

ゆるっとお楽しみください。

 まず、はっきりさせておきたい。


 私は――

 異世界転生者である。


 前世は、

 ブラック企業で

 「調整役」「尻拭い」「責任だけ重い係」

 を担当していた社畜OL。


 そして今世では、

 よりにもよって。

 ――悪役令嬢。


◆ 悪役令嬢の末路は、だいたい悲惨


 学園生活では、

 破滅フラグを回避するために

 目立たず、騒がず、前に出ず。


 その結果どうなったか。


「優秀」

「冷静」

「信頼できる」


 ……やめて。


(褒めないで)


(それ、全部

 フラグだから)


◆ そして、王宮に呼ばれた


「これは……来たわね」


 王宮からの召喚状を見た瞬間、

 私は悟った。


 ――評価されすぎた。


 この世界の王宮は、

 優秀な人材を

 放っておかない。


 使えるなら使う。

 邪魔なら遠ざける。


 そして――

 試す。


◆ 王宮会議という名の「柔らかい罠」


「形式的な任地ですから」


「経験として」


「失敗しても問題ありません」


 そう言って、

 重臣たちは

 全員、にこやかだった。


(あ、これ)


(完全に

 “試験”だ)


 しかも、

 失敗したら

 静かに評価を落とされるタイプ。


(点数、

 つけられてる)


◆ で、今ここ


「では、

 ルナリア・ヴァレンティーナ様」


 王宮の使者が、

 爽やかに一礼した。


「こちらが

 貴女の任地となります」


 私は、

 前を見た。


 草。

 草。

 草。


(……)


(王宮、

 どこ?)


◆ 僻地という名の“現場”


「人口、

 約三百名」


(少なっ)


「主な産業は……」


 使者は、

 一瞬、黙った。


「……特にありません」


(正直)


(そして

 ひどい)


◆ 理解した瞬間


(なるほど)


(これは)


(“王宮に来させない”

 ための試験)


 しかも条件は、


・資源なし

・人手不足

・失敗しても王宮は困らない


(完璧な

 地雷原)


◆ 代官の一言が重すぎる


「……お嬢様」


 代官は、

 深く頭を下げた。


「この領地は、

 立て直しが

 ほぼ不可能です」


(言い切った)


「ですので……」


 彼は、

 少しだけ

 声を落とした。


「どうか、

 無理を

 なさらないでください」


(優しい)


(そして

 諦めてる)


◆ ルナリアの結論(前世込み)


 私は、

 深く息を吸った。


(前世でも)


(無理な改革で

 潰れる現場、

 たくさん見た)


 だから――


「分かりました」


 私は、

 静かに言った。


「まず、

 何もしません」


「……はい?」


◆ 何もしない=放置ではない


「改革もしません」


「立派な計画も

 立てません」


「英雄にも

 なりません」


 代官が、

 完全に混乱している。


(大丈夫)


(“何もしない”

 のが

 一番効く

 局面もある)


◆ ただし(重要)


「税の取り立ては、

 一旦止めてください」


「不要な書類仕事も、

 全部停止で」


「人が休めるように」


(……あ)


(これ、

 “何もしてない”

 判定、

 ギリギリ)



◆ 王宮サイド――静かな会議室にて


 王宮の奥。

 重厚な扉の向こうで、

 数名の重臣が円卓を囲んでいた。


「――で?」


 年配の貴族が、

 指先で机を軽く叩く。


「ルナリア・ヴァレンティーナは、

 本当に王宮に呼ばなくて

 よいのか?」


 その言葉に、

 別の男が静かに笑った。


「呼べば、

 手に負えなくなります」


◆ “優秀すぎる”という問題


「学園での評価を見ましたか?」


「対立を生まず、

 命令もせず、

 だが結果だけを出す」


「……非常に、

 扱いづらい」


 別の貴族が、

 苦々しげに言う。


「忠誠を誓わせる前に、

 自分の立場を

 作ってしまうタイプだ」


(それは、

 王宮にとって

 危険)


◆ 試す理由


「だからこそ、

 “試す”のです」


 中央に座る男が、

 淡々と告げた。


「王宮に置く価値があるか」


「それとも、

 地方で静かに

 埋もれてもらうか」


「――あるいは」


 わずかに、

 口角が上がる。


「失敗してもらうか」


◆ 僻地という名の安全装置


「任地は?」


「資源なし」


「人手不足」


「王宮にとって

 影響ゼロ」


「失敗しても

 問題は起きない」


 誰かが、

 満足そうに頷いた。


「成功したら?」


「……それはそれで、

 面白い」


(成功すれば、

 利用価値がある)


(失敗すれば、

 評価を下げて終わり)


◆ 王太子の沈黙


 その場で、

 ただ一人

 発言しない人物がいた。


 王太子レオンハルト。


「……彼女は」


 ようやく、

 口を開く。


「失敗するような

 人間ではない」


 一瞬、

 場の空気が

 張り詰めた。


◆ だが、決定は覆らない


「だからこそです」


 重臣の一人が、

 静かに返す。


「王宮の管理下に

 置くか」


「それとも、

 王宮の外で

 力を持たせるか」


「判断するには、

 現場を

 見せる必要がある」


 結論は、

 最初から

 決まっていた。


◆ 会議の結論


「――では」


「ルナリア・ヴァレンティーナを

 試験任地へ」


「期限は未定」


「評価基準も、

 未公開」


 書記官が、

 静かに記録する。


◆ 最後の一言(皮肉)


「……彼女が

 “何もしなかった”

 場合は?」


 誰かが、

 冗談めかして

 言った。


 だが。


 誰も、

 笑わなかった。


◆ 王宮の誤算


 王宮は、

 こう思っている。


「彼女は、

 戸惑い、

 何か派手な手を打ち、

 失敗する」


 だが現実は。


 異世界転生者で、

 現場の怖さを知っている悪役令嬢

 だった。


◆ 夜、独り言


 簡素な部屋で、

 私は天井を見上げる。


「……試験、

 ね」


(受けるけど)


(王宮の

 思い通りには

 ならないわよ)


 外では、

 風が草を揺らしていた。



本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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これからもどうぞよろしくお願いします!

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