ザ・ロア 〜雑多に収集された13の噂話〜
信じようと、信じまいと——
昭和50年代に青森県で廃校になった、とある小学校がある。
外から見ると4階建てなのだが、中の階段は3階までしか繋がっていない。
1階から3階までには職員室と校長室がないというのだが、
4階に入れない構造になっているのと、何か関係があるのだろうか。
信じようと、信じまいと——
広島市に住む、ある中学生は不思議な夢を見ることがあるという。
夢の中では彼はもう大人になっていて、兵士として戦地に送られているそうだ。
彼が銃を向ける相手は彼と同じ肌の色をしているらしい。
彼が言うには、夢の中の総理大臣と同名の議員が前回の衆院選で当選したというのだが。
信じようと、信じまいと——
JR長崎駅には、かつて0番のりばが存在した。
長崎本線や大村線の列車が発着していたのだが、ときおり特急のような流線型の列車が停まっていたという証言がある。
博多駅や佐賀駅での目撃情報もあり、長崎新聞に記事が何度か掲載されたこともあるが、
それらの記事に写真は一枚も使用されなかった。
信じようと、信じまいと——
夏の甲子園第1回大会で、飯田という選手が森川という選手の打順でアウトを恐れ、
サイン通りに盗塁しなかった結果、敗退したチームがあった。
ちょうど100年後の第97回大会、本盗を狙ってアウトになったチームに、
飯田と森川という選手がいた。飯田は100年前に盗塁指示を無視した選手の曽孫だという。
信じようと、信じまいと——
頭を打つなどして記憶がなくなることは広く知られているが、
強いショックによって体の成長が止まってしまうこともあるそうだ。
実際に阪神・淡路大震災の被害に遭った女性が、
2023年現在も大学生だった当時の姿のまま生活しているのだという。
信じようと、信じまいと——
和歌山県海南市のとある遊園地には2009年の閉園前後から、
遊園地に似つかわしくない様々な怪談めいた噂が囁かれていた。
ある探偵が調査をしたところ、噂のほとんどは勘違いなどで説明がつけられたが、
ミラーラビリンスに入った客の中身が入れ替わる噂だけは解決できなかったそうだ。
信じようと、信じまいと——
千葉県のプロサッカーチームが練習に使用する屋内競技場の敷地の一部は、
バブル末期に発生した通り魔殺人の事件現場跡である。
かつてこの屋内競技場を本拠地とする女子セミプロフットサルクラブが存在したが、
僅か3年でリーグごと消滅してしまった。被害者の呪いだとも言われている。
信じようと、信じまいと——
福岡市の学習塾に通う女子高校生が、小倉から通塾する他生徒から瓜二つの自分を見たと聞いた。
更に他の生徒たちから話を聞くと、ドッペルゲンガーめいたそれは徐々にこの塾へ近づいていた。
会えば自分が死んでしまうかもしれないと戦慄する中、教室のドアを誰かが開けた。
入室するなり卒倒したその人物は、女子高校生とまったく同じ顔をしていた。
信じようと、信じまいと——
熊本県と宮崎県の県境付近には、ラムと呼ばれる集落が存在するという噂がある。
2020年に熊本県で目撃されたのを最後に失踪した大学生を捜索するため、
警察が一帯を捜索したが、集落はおろか人が生活した跡すら確認できなかった。
人工衛星が撮影した画像にも、そのようなものが映ったことはない。
信じようと、信じまいと——
死んでも蘇る人がいると聞いても、あなたは否定するかもしれない。
日本のある家系は、2度まで蘇ることができ、古くから火消しなど、
命の危険と隣り合わせの仕事を積極的に行ってきたのだそうだ。
しかし最も有名な例はイエス・キリストであると、ある人は言う。
信じようと、信じまいと——
ヨーロッパのとある公国は、氷に包まれた炎を国章としている。
かつて大国との戦に勝利した初代公爵の熱い情熱と常に冷静な精神性を表すとされているが、
一説によると、初代公爵が炎を灯したまま氷漬けにした伝説を基にしたものなのだそうだ。
そしてその氷漬けの炎は、今でも公爵家が保有しているらしい。
信じようと、信じまいと——
大学生を永遠にループできると言われれば、あなたはどう思うだろうか。
ある大学生は大学4年間分の記憶しかなかったそうだ。
その大学生は卒業前日に交通事故で亡くなってしまった。
翌月、記憶喪失の大学生がその大学に入学した。
信じようと、信じまいと——
ロアは真実かどうか疑わしいものばかりだが、中にはロアから生まれた真実もあるらしい。
逆に何者かによって現実を虚構にすることもできるだろう。
「ロアはあなたを見つけ、あなたはロアになる」
虚構にされたくなければ、小説家になろう。
信じようと、信じまいと……。