1話
周囲一面が黒い空間に透ける青色の板が浮かび上がる。
名前:佐藤 忍
種族:魂(人間) Lv.1
職業:大学生
スキル
aaaaa:急遽作られたスキル。魂の状態を保ちつつ会話を可能にする。
瞳を閉じる。
俺の名前は佐藤忍、らしい。
そこそこの大学に入って、これから念願のキャンパスライフを送ろうとしていた、らしい。
さっきから“らしい”と言っているのには理由があって、どうやら“自分の記憶”という知識はあるが思い出というか思い入れがないようで、どうにも自分について話しているように思えず語り口調になってしまう。
瞳を開ける。
名前:佐藤 忍
種族:魂(人間) Lv.1
職業:大学生
スキル
aaaaa:急遽作られたスキル。魂の状態を保ちつつ会話を可能にする。
見間違いかと思い再び見たが、やはり目の前にスクリーンのような半透明の板に自分の名前などが載っていた。
自分は良くライトノベルなどの小説をよく読み漁っていたようで、これが夢にまで見ていたステータスボードらしい。
記憶が正しいなら自分はステータスボードを見ることはできないはずだし、種族も魂(人間)ではなく人間だ。
なんならスキルが一つしかなく、aaaaaなのも不満だ。
そしてこういう状況の場合、神の間違いのお詫びなどで転生させてくれるのが恒例だ。
自身の隣を一瞥する。
そこには冷や汗をかきながら土下座をする金髪の女性がいた。
おそらく女神なのだろうが威厳もくそもない。
初手から土下座なのもそうだが、この金髪女性が立ち上がった時に後光になり得そうな光源が空中から出ている。
そのせいで土下座姿にスポットライトを上から当てた形になっている。
そんな女性に満を持して声をかけてみる。
「お前、今までの聞こえてただろ」
女性の体がビクリと跳ねた。
今の姿で全てが肯定された。
どうやら本当に女神だったらしい。