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俺の名




 あっという間に月日は経過するものだ

 俺は2歳になっていた。


 俺は今では、ある程度しっかりした受け答えをするようになっていた。使用人から賢い子供扱いされているが、まあ元社会人だし嬉しくはない。


 だがちょっと調子に乗った感じを出して、子供らしさをアピールしておいた。


 そんなある日、この2年間俺にあんまり会いに来なかった親父が会いに来た。


「うむ、儂の息子は元気じゃのお!それに、会話もしっかりしていて賢い子だ!」


 親父が満足気に俺のほっぺを突っつく。

 親父はジジ臭い喋り方だが、聞いたところ三十路後半くらいの年齢らしい。


「そろそろお前の、名付けの時期だろうな!」


 親父が抱き上げ、ニコニコ笑顔で言った。

 名付けの意味は分かるが、一応聞いてみる。


「お父様!名付けの時期って何ですか?」


「おお、息子よ!名付けの時期はな、お前に名前を付ける時期のことだ!お前の名前は何がいいだろうか?初めてだから悩むわい!ガッハッハ!」


 俺が長男だしな。まあ、これからは自分を鑑定した時に不自然な中点を見ないで済むのだろう。


 一応、自分で考えた名前を親父に言ってみる。

 変な名前になったら嫌だしな。


「お父様!ヨーゼフなんてどうですか?」


「いい名前じゃ!しかし、いまいちパッとしないな。他に名前は考えているのか?」


「……では、ルイスなんてどうでしょうか?」


「うーむ、いい名前なんじゃがなぁ……。」


 そうして俺は名前を言いまくる。

 だがいい名前でもしっくりこないか、あんまり気に入らないなどの理由で却下される。


「アルフォンスとか、アルベルトとかは……?」


「うーむ、悩むぞ……!」


 親父が初めて悩み始めた。

 そこで、ずっと黙っていた母が口を出した。


「それでは、アルベルトフォンスがいいと思いますわ!悩むのなら、両方取るのが貴族でしょう!」


「そうじゃな!よし、息子よ!お前の名前は今日から、アルベルトフォンスじゃ!」


 待って!俺は自分の名前を、珍妙なものにしないために名前を提案していたのに!

 提案した名前が、融合しちゃったよ!


【辺境伯の長男/アルベルトフォンス・ネハンピ


読書が趣味。


スキル/鑑定(中)】


「……はい!とてもいい名前だと思います!」


 鑑定でも名前が確定してしまったので、半分くらいヤケクソになって言った。

 名前を自分で決める作戦は、失敗に終わった。




 それからしばらく、悲しみを背負いながら鑑定スキルのレベル上げに勤しんだ。

 鑑定出来る条件なども調べた。


 そこで知ったのが、どうやら鑑定をするためには相手を認識しながら見るだけでいいらしい。

 一度目視して相手がそこに絶対居ると分かった上で、壁越しに使ってみたが効果がなかった。


 それと、鑑定について本にちょっとだけ載っていたことがある。

 鑑定はスキル保有者があまり多くなく、それ1つで鑑定士という安定した職につけるのだとか。


 そして鑑定を阻害する魔道具というものもあるらしく、装備者の鑑定結果を白紙にするらしい。

 この鑑定阻害の魔道具はとても高価な物で、貴族でも装備できる者は少ないのだとか。

 だが公の場で付けている者はどう考えても怪しいので、付ける機会は滅多にないらしい。


 ここからが一番大事な所だ。

 本に書いてある鑑定は、通常1種類の対象にしか使わない専門性が高いものだ。

 俺は人とか食べ物を全部鑑定しているが、道具だけとか人だけといった鑑定が普通なのだとか。


 お?転生者だけどチートを持っていないなと思っていたけど、まさかこれがそのチートか?


 そう思ったが、どうやら違うらしい。

 本によると鑑定は、対象の出身地やらの細かい情報が載っているものなのだとか。

 更に通常の鑑定は、能力が数字で出るらしい。


 人物鑑定LV1の例が載っていた。


【兵士LV1/チャチャピピ村のソーヤン

15歳/男性

種族/人間


スキル/剣術LV1】


 そして人物鑑定LV3の例もあった。


【兵士LV1/チャチャピピ村のソーヤン

15歳/男性/イススイ領所属

種族/人間


STR10/DEX10/END11

CHA9/INT8/MEN10/MAG6


スキル/剣術LV1/盾術LV1】


 LV3の時点でこれだ。

 情報量がとても多い。しかも用語が沢山!

 低レベルでは見れなかったスキルもあり、高レベルの鑑定スキルの凄さが分かる。


 STRは筋力、DEXが敏捷性、ENDがタフさ。

 CHAが魅力、INTが賢さ、MENが精神力。

 最後のMAGが魔力。

 15歳の平均値は10で、MAGだけ5らしい。


 圧倒的な情報量の差。精密性の高さ。

 俺の鑑定とは比べるまでもない。


 しかし、俺は嘆かなかった。

 何故かって?それは簡単な話だ。


 俺、こんなに数字あっても分からないよ!

 それに俺の鑑定でも、最低限は分かるしな。


【弱い兵士/ソーヤン


盾術の練習中。


スキル/剣術(下)】


 多分こんな感じに出てくるだろう。

 ……改めて見てみると、情報量少ないな。

 レベルを上げて情報量増やすためにも、より沢山の物を鑑定しないとな。

 手元のこの本とかも、当然鑑定する。


【書物/鑑定の歴史


スキルの鑑定について書かれている。】




 そんなこんなで新しいスキルを習得する機会もないし、俺は鑑定しまくった。

 それはもう、とにかく鑑定した。朝に起きて鑑定、昼に遊びながら鑑定、夜にとりあえず鑑定。


 鑑定だけし続けたら1年なんて短いものだ。俺が3歳になった頃、ようやくレベルが上がった。


【辺境伯の長男/アルベルトフォンス・ネハンピ

種族/人間


起きている間は、常に何かを鑑定している。

最近鑑定スキルのレベルが上がった。


スキル/鑑定(中の上)】


 どうやら俺の鑑定の、スキルレベル表示は9段階方式だったらしい。

 もしもLV1が下の下なら、俺の鑑定はLV6だ。

 最大値は分からないが、だいぶ高そうだ。


 ついでに種族表記も増えたが、実はそれ以外にも追加されている機能があった。

 まず、人間の表示に意識を向ける。


【人間


他の種族からは生き急いでいるように見える、非常に行動的な種族。】


 なんと詳細が見れるようになったのだ。

 内容はかなり抽象的かつ主観的だが、自分が知り得ないことも知れる所が優秀だ。


【鑑定(中の上)


対象を問わず、鑑定することができる。】


 鑑定自身さえも鑑定できた。

 高レベルの人物鑑定は、スキルなどをついでに鑑定できると本で見たから試してみたのだ。


 俺はどうやら、高レベルの鑑定士らしい。




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