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野外授業、4人組を作って




 呪術を学び始めて数週間たち、下の下にようやくなった頃。今日の授業は普段と違うもののようだ。


 普段の授業は座学と訓練場での実践が半々くらいだったが、今日は学校の外で授業をするらしい。

 そしてこの授業は1年生の中ではAクラスしかやらない授業らしく、先生が楽しそうに話していた。


 他の生徒もその話を聞いて盛り上がっていた。情報通なやつ曰く、このためにAクラスになりたいやつがいるほど人気のある授業だとか。


 一体どんな授業なのか気になったが、聞く限りではどうやら野営の訓練をする授業らしい。

 野営なんてつらいしむしろ不人気なんじゃないのかと思ったが、何故か人気のようだ。


 なので俺は人気の秘密を探るべく、先生にちょっとずつ質問をしてみたが……よくわからん。

 話を途切れさせないようにちょっとしか質問できないので、表面的にしか理解できなかった。


「……さて!では皆さん、早速4人でグループを作ってください。もちろん男女別で、ですよ。」


 そしてよくわからないまま、あの伝説の言葉……二人組作っての亜種、4人組作ってを言われた。

 一応このクラスの男女の量的に端数は出ないが、ちゃんと組まないと気まずくなるやつだ。


 だがあまりにも馴染めず余り物グループに入った前世とは違う……今世では人脈がある!

 まずヘルミーナ……はだめだ、男女は組めないとさっき言われたばかりだ。同じく他の女子もだめ。


 じゃあ、最近偶にだけど話せるようになった殿下は……だめだ、人気者過ぎて一瞬で満員だ。

 満員になった後でさえ争奪戦を開始しているやつさえいる。殿下、笑ってないで収めろよ。


 んで、他には……ん?おかしいな、仲のいい男子が思いつかないぞ?候補が女子ばっかりだ。

 ……そうか!最初に話しかけたのがヘルミーナだから、女子との接点だけが多くなったのか……!


 逆に男子生徒との接点はあまりない。あまりにも迂闊だ、コネ作りが半分くらい失敗している!

 ブブズズ王国は一応男女平等を掲ではあるが、まだ男の方が実権が大きい国だぞ……俺の間抜け!


 くっ!だが逆に、こういうときこそチャンスだ!新しい人脈を作るチャンスだと、そう考えるんだ!

 とりあえず直感に従い、隣のやつに声をかける!それで前回はなんとかなったし、今回もそうだ!


「やあ、失礼。君はすでに、誰かとグループを作った後かな?もしそうなら、空きはあるかい?」


「え?ああ、はい。2人とグループです。」


「そうか。では他に誘いたい相手がいないなら、私もそのグループに参加させてくれないかな?」


「あー……友達と相談してきていいですか?」


「もちろん構わない、しっかり相談したまえ。」


 俺がそう言うと、隣のやつ……名前は……名前は知らないが、そいつは友達の元へ向かった。

 そして肩を寄せ合い、相談し始めた。できることはやった、あとは彼らの相談結果を待つだけだ。


「なあ、ネハンピのやつが俺らのグループに参加したいって言ってるけど、どうする?」


「あー……いつも女子といる、あのモテ男か?」


「ああ、あいつだ。多分、今回は女子と組めないから適当に俺に声をかけたんだと思う。」


 ……小声で話しているようだが、意識を向けると会話の内容が微妙に聞こえてしまう。

 しかもなんか少し陰口っぽいというか、なめられてるっぽいような……そんな話し方だ。


「まあいいんじゃない?僕は特に誘いたいやつもいないし、新しいコネになるかもでしょ?」


「あいつは辺境伯だしな、俺もできれば仲良くしたい所だ。……じゃあ、参加ってことでOK?」


「「OK!」」


 そんなに長くない相談の結果、どうやらコネの価値を考慮して合格通知を出すらしい。

 だがまあ……よく知らない相手をグループに入れる判断をするなら、そういう基準で決めるだろう。


「……えーっと、アルベルトフォンス様、おまたせしました!相談の結果、2人とも歓迎してますよ!」


「そうか、それは良かった。……それと、3人とも敬語で喋らなくてもいいと伝えてくれ。同じグループ内で敬語を使っていたら、やりにくいだろう?」


「お、それじゃあお言葉に甘えて。アルベルトフォンス……(くん)でいいかな?よろしく!」


「よろしく。……ところで、なぜ皆はこれほど野営の授業を楽しみにしているんだ?」


 挨拶をしたら早速、ちょうどいいし知っていそうだからこの授業について聞いてみることにした。

 ……すると何故か、とても驚いた顔をされた。


「マジで?親とか年上の兄弟から、聞いたことはないのか?友達との話題にあがったこともないのか?」


「残念だが。私の親は放任主義で、友人とも野営について話しあったことは一度もない。それと、私に兄弟はいない。1人っ子だ。」


「そ、そうか、なんというか……まあいい、とりあえず説明するぞ?まず、この授業はだな……」


 若干憐れまれながら、説明を聞く。

 それによるとこの授業は、簡単に言えば……実質的に修学旅行みたいなものらしい。


 テントを設営したりと確かに野営の授業ではあるのだが、それよりも焚き火をしたり男女混合でダンスしたりすることがメインの要素なのだとか。


 それ以外にも野営をする予定の草原の近くには森があって、その中にちょっとだけ入るらしい。

 その森は幻想的な雰囲気の場所で、普段は立入禁止だからめったに入れる場所ではないのだ。


 それだけでも女子から人気の理由になるくらいきれいな景色が見れるらしく、多分先生もこの景色が楽しみであんなに浮足立った様子だったのだろう。

 先生、意外と乙女な人だな……。


 ……そしてただ森に入れるだけではなく、そこの植物などを少しだけなら採取してもいいのだとか。

 なるほど、だからあまりパーティーとかが好きじゃなさそうなやつさえも喜んでいるのか。


 そしてその中の妖精の泉とかいう場所に行くのがネノカダムの恒例行事のようで、そこでは運がいいと妖精やユニコーンと出会えたりするようだ。


 そこで話しているやつの友人の、小太りの方……ニコライスだったか、彼の母親はユニコーンからたてがみを分けてもらえたりしたらしい。


「とまあ、そんな感じだ。特にダンスなんてすごいだろ?ガキなやつは面倒とかダサいとか舞踏会でいいじゃんとか言うが、旅先で踊るからこそ女子の思い出に残るんだ……って兄貴が言っていた。」


「なるほどな、よくわかった。礼を言う。」


 妖精か……どのような生き物なのだろうか?少し気になるな。楽しみになってきた。

 だがとりあえず昼前までは準備時間らしいので、俺は3人と一緒に道具を用意することになった。


 ……俺は獣人を使ってそこそこの規模の野営をしたことがあるし、腕の見せ所だな。

 テント、鍋、兵糧……あとその他諸々。学生の授業とは言えども、準備は手堅く慎重にしよう。




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