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これから5年過ごす寮




 やっとクッソ長い入学式が終わった。特別ゲストを3人も呼んで、新入生代表(寝ぼけた殿下)や在校生の挨拶をした割には早く終わったとも言える……かな?


 そのあとは入学式が終わったら移動することになっているので、教師たちが生徒を起こしていた。

 起きている生徒を見ては感心していたが、じゃあ生徒が寝るような入学式をするなと言いたい。


 ……まあ、それはいいとしてだ。ピラを回収して向かった先は、この学校に3つある寮だ。

 そして門番から渡されたパンフレットには、予め着ていた制服の胸元に縫われた刺繍と同じ動物の銅像がある寮へと向かえばいいと書いてあった。


 確かに見てみると、3つある寮の入り口にはそれぞれ違う動物の銅像が設置してあった。

 遠目に見てもわかるほどデカい像のモチーフはそれぞれドラゴン、ユニコーン、マンティコアだ。


 グリフィンや蛇はいなかった……じゃなくって、俺の入る寮はどうやらドラゴンの寮のようだ。

 ちなみに寮の決め方は、入学前に問題がないように要人は先に決めて残りはランダムらしい。


 問題とは、例えばすでに不仲な生徒同士が同じ寮に入ったことで喧嘩やいじめが起きるとかだな。

 学生は社会的モラルに乏しい場合も多く、いじめは連鎖して大事になってしまいやすく危険だ。


 なので寮を定期的に先生とかが見回りするなどのいじめ対策を、かなり真面目にやっているらしい。

 自分が入る学校の治安がいいのはいいことだ、王国1の名門校は伊達ではないってことか。


 ……でだ、パンフレットの地図通りに向かった先では寮監っぽいが生徒を集めて待っていた。

 しばらくして俺を含めて200人近くの生徒が集まったタイミングで、寮監は喋り始めた。


「……全員揃いましたね。では挨拶させていただきます

、私は寮監のリツ・キ・ドラコドームと申します。これから5年間、よろしくお願いしますね。」


 寮監は優しそうながらもしっかりした雰囲気の、女性の人間だ。見た感じでは20代後半くらいか?

 男女問わず一部の生徒が見惚れていて、才色兼備な人物なのだと感じた。実態は知らないが。


 それと寮監はドラコドームと名乗っていたが、ドラコドームはこのドラゴン寮の建物の名前だ。

 つまりこの名前は、ドラコドームの寮ならぬ領を任されたキ家の貴族リツってことなのだろう。


「皆さんにはこれから、この寮を快適に利用するためのルールを覚えてもらいます。ルールと言っても簡単なものばかりですので、ご安心ください。」


 そう言いながら伝えてきたルールは、まあどれも普通のルールだった。むやみに騒ぐなとか、部屋はきれいに使えとかそういった内容だ。


 ルールを教えてもらったら、次は部屋の場所を教えてもらってと……覚えることが多いな。

 先生たちの挨拶で体力を削がれた生徒たちは、全員もれなく生返事で案内を受けていた。


「あー……そろそろ夜も近いのようですし、残りの説明はまた後日食堂でいたしましょうか。では皆さん、解散して今日は早めに寝てくださいね。」


 寮監も気を使って残りの説明を後回しにしてくれたので、これからゆっくり休む……のは無理だ。

 実はこの寮、1部屋で4人組なのだ。つまりこれから一旦自己紹介をしなければならない。


 当然全員男性だ。ちなみにピラが寝る場所は女従者用の部屋で、8人部屋らしい。

 まあ他の男とピラを同じ部屋にするつもりはなかったが、抱きまくらにできないのが残念だ。


「あー、俺はブオム・ラヘソコンノだ。よろしく!」


「……私はアルベルトフォンス・ネハンピだ。」


「ぼ、僕はヨヨ・ワスギです……。」


「ふん、俺はチャック・シギンコだ。」


 全員貴族か、すごしやすそうで何よりだ。下手に庶民がいると、なんか拗れそうだしな。

 バッチを見ると出身はチャックが子爵家で、2人は男爵家のようだ。俺だけ辺境伯家か……。


 まあ校内では建前上は階級を気にしなくっていいことになっているし、問題ないと思いたい。

 それよりも……ちょっと直情的っぽそうなやつ、見るからにナヨナヨしたやつ、プライドが高そうなやつという組み合わせだけは若干不安だ。


「んじゃ、自己紹介したしおやすみ!」


「おやすみ。」


「あっ、お、おやすみなさい……。」


「……。」


 自己紹介も本当に名前を名乗っただけで終わってしまったので、今日は仕方ないし寝るか……。

 全員持ち込んだ荷物からパジャマを出して、ちゃちゃっと着替えて早速眠りについた。




 翌朝、俺は寝坊した。自分が枕を変えると寝れないタイプだということをすっかり忘れていた。

 あとこういうときにピラは俺を起こしてくれるのだが、ルームメイトは起こしてくれなかった。


 まあネハンピの名前と制服についたバッチの家紋を見て、他の3人は遠慮したのだろう。

 ……いや、面倒くさがっただけか?……ともかく、急いで食堂に向かわなければ。もちろん歩きで。


 俺が急いで食堂に行くと、そこではすでにかなりの数の生徒たちが食事をしていた。

 何人か先輩もいるようだが、ほとんどが新入生たちだ。おそらく朝食の時間が違うのだろう。


 ピラを探してから食堂で料理をもらって、一緒の机に座る。食堂で提供されいる料理は、領で食べてた食事よりは質素だが十分上等なものだった。

 では俺も朝食を食べよう……としたところで、寮監が魔法で声を大きくして喋り始めた。


 最初は挨拶、次に寮のルール説明の補足。そしてその次は、クラス分けについての説明だ。


「クラス分けについて説明します。最初は公平なクラスで授業を受けてもらいますが、その後テストなどの成績を参考にAクラスからFクラスにそれぞれ130人前後を振り分けることとなります。」


 そしてクラスはAが優踏生、Fが劣等生のクラスらしい。設備のランクも同じくAが最高だとか。

 いい設備を使いたいし、俺はぜひAクラスに入りたいな……まあBクラスでも大丈夫だとは思うが。


 ……Bクラスになれるかどうかも少し不安になってきた。だって800人強の上位260位以内だぞ?

 下に540いることを考えたら、結構狭き門だと言えるだろう。倍率3倍だ……いや、普通か?


 ともかく、どのみち上位の成績は必須なので……教科書を読み込んで授業範囲を知らなければな。

 俺は少しの期待と面倒臭さを感じながら、この世界で初めて受ける授業へと向かったのだった……。




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