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オートマタ・シェイプシフター




 ある日、スライムを観察していたとき。

 そういえばスライムの魔石と、オートマタのコアの役割って似てるよなぁ~……と思った。


 だったらスライム型オートマタとか作れるんじゃないだろうか?もし似せて作れるとしたら、変形可能の流体ボディはなかなか役に立ちそうだ。


 では、まず最初にコアを普段通り作った。

 AIのプログラムなんてそう簡単に作れるものではないが、魔道具なら散々作ったし簡単に作れる。


 コアにこのように刻めばいいだけだ。たったこれだけの文章で、魔道具は自立して動く。


『製造者を保存。

 使用者を感知(製造者₋認識-製造者以外₋使用権限を感知(使用権限₋認識-他₋拒否))。

 認識₋音声入力を受理。

 音声入力₋実行-実行。』


 プラグラマーが、なぁにこれ?と思うこと間違い無しの文章だ。実行とか、何もかもが適当だ。

 だがこれで動いてしまうのだから仕方がない。


 そもそも魔法の詠唱の時点でおかしい。

 水よ、我が魔力を糧に、我が元にその姿を現せ〜なんて、なんでそう言えば発動するのか……。


「……火よ、魔力を糧に燃えよ!」


 そう言うと、目の焦点の先に火が出てきた。

 短縮しても発動する、このいい加減さよ。


 ついでに言うと、マナの消費は普通に詠唱するよりも短縮した方が効率がいい。

 無詠唱で魔法を発動させた人物は歴史上いないらしいが、一文字で詠唱した人はいるらしい。


 その人物は、「火」の一言で思い通りに火を出したり操れたりしたのだとか。

 つまり文字数が少なくってめちゃくちゃに見える俺の魔法陣は、この世界では効率的だってわけだ。


 話を戻すと、とりあえずコアは完成した所だ。

 お次はボディ……今回はスライムっぽい素材を探して、それを体にしてやる工程だ。


 さて、どの素材を選ぶのがいいだろうか。

 世の中にはいろんな液体がある。だが液体ではなく、柔らかい金属も面白いだろう。


 ……銀や金は高すぎるか?……鉛や水銀は危ない。

 鉄なら安いが……今回は違う金属を使いたい。


 ミスリルみたいな前世には存在しなかった金属とかが面白そうなんだよなぁ……どれもかなり高いから、俺には手が出せないのが悲しい。


 ……そうだ、魔石を使ってみよう!

 魔石は魔力を使い切るともろくなり、魔力を充填すると固くなる特徴がある物質だ。


 そして魔石は加工されることは少なく、研磨してきれいな見た目にする程度しか普通はされない。

 だが、俺は魔石を加工したことがある。溶かして混ぜて、大きな魔石にしたことがあるのだ。


【魔道具/スライムズ・ソウル


スライムの魔石を繋いで作られた、冒涜的な魔石。

この魔石は、自動でマナを回復する。

名前や作成方法に反して、時々スライムの体液が滲み出ること以外は無害。】


 昔作ったのは、これのゴブリン版だ。

 魔石は魔石を溶かす自作の魔道具を使えば、簡単に溶かせる。そしてその魔道具を使えば……。


『ヴウウウウウウウウウン……チンッ☆』


 スライムズ・ソウルをいい具合に溶かせる。

 そうしたら作ったコアをこれに沈め……る前に、液体操作用の魔道具を内蔵させておかないとな。


 今度こそ沈めて、完成だ。

 スライムズ・ソウルが素材だからなのか、魔石を入れずとも液体が人型になって二足歩行し始めた。


「……ゼリー・スライムみたいに変形しろ。」


 俺が命令すると、少しの処理を挟んでから以前俺が散歩道で刺したスライムの見た目になった。

 ふむ、変形は液体だから当然できるとしても……そこで少し気になったことがある。


「この箱の鍵に変形しろ。」


 俺が引き出しから小さめの金庫を出して命令すると、予想通りその場で鍵に変形した。

 鍵穴は触れても見えてもいないのに、だ。


 つまりオートマタは、俺の知っていることを知っている。だから鍵に変形できたのだろう。

 命令を聞いただけで理解ができ、二足歩行を可能とする知能の高さもこれで納得がいく。


 だったら、発声器官を作らせたら……オートマタは俺に、なんて話しかけるのだろうか?


「人間の体を再現しろ。胃と腸と血管は不要だ。」


 俺の命令に従って、オートマタは喉などの部位を再現した。これで会話ができるはず。


「では……名前を決めようか。君の名前は今日からオートマタ・シェイプシフターだ。どうだ?」


「……。」


 無言で、コクリと頷くオートマタ。


「頷くだけではわからんな。言葉で伝えてもらおうか。文字を書くのは、今回はなしで頼む。」


「……はい……命名に問題はないと推測しました。」


 意外と女性的で、柔らかみのある声だった。

 聞き取りやすさも心地よさもよく、空港の放送とかを少し俺好みに近づけたような話し方だ。


「そうか。では、倉庫で待機していろ。」


 そう言うと、オートマタは無言で倉庫に向かって行った。自発的に喋ることはないようだ。

 まあ、ペラペラ勝手に喋られても困るしな。


 おっと、俺としたことが鑑定し忘れていたな。


【魔物/オートマタ・シェイプシフター

状態/平常


体がスライムズ・ソウルで作られたオートマタ。

自力でマナを生成できるため魔石を必要とせず、余剰マナによって本来よりも高い知能を得ている。


スキル/水魔法(下の中)】


 喋ることができる理由は、マナが多いからか。

 つまりマナを注ぎまくれば、超インテリなオートマタも作れるってことなのだろうか。


 下手に頭を良くしてSF映画みたいな機械の反乱をされるのは嫌だが、いい具合にマナを注げば細かい作業を行えるオートマタも作れるのだろうか。

 安全を重視して調べる必要がありそうだ。


 だが今すぐに、ではない。今はシェイプシフターの知能がどれほどあるのかを知らなければ。

 人格とか持ってたら、面倒だなぁ……。


 今すでに人格を持っていても、これから芽生えるとしても……とりあえず簡単な対策をしておくか。

 対策内容はズバリ、中身を変えるならまず形から望んだ中身に近づけてしまおう作戦だ。


「シェイプシフター、この資料を読み込め。それとこのイラスト通りに変形しろ。」


 言葉遣いを訂正して、衣装を擬似的に着させて。

 色も変えれるようだから変えさせて……これで一見普通のメイドに見える見た目になった。


 こんなことをさせて恨みを買う可能性もあるが、この程度で俺を恨むなら最初からいらない。

 安全は全てにおいて優先されるのだ。


「では、名前を授けてやろう。ノイマンはどうだ?」


「……はい、マスター。」


 最後に名前を与える。名前とは呪縛だ。初めてつけられた名前は、永久の真名となるだろう。

 そして俺が名付け親になったことが、その生涯において不変の事実となる。だから、呪いなのだ。


 この呪いが呪縛のままでいるか、それとも祝福へと昇華されるかは……まあ、俺次第だろう。




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