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3「潜入」

嘗てはベッドタウンとして栄えた清新市。

時代が経つにつれ利便性の優位は薄れ、中心以外の顔は寂れていった。


駅から少し離れたアーケードはシャッターを閉めた店が目につき、明かりも殆ど点いていない。

薄暗い上に人通りがなく、地元の小学生からはお化け商店街なんて呼ばれているらしい。


そのお化け商店街を抜けた先に、潰れたカラオケ店がある。

4階建ての立派な建物だが、立地の悪さから建てられてすぐに閉店。持ち主が破産して逃げたとかで、建物は取り壊されずに残ったと聞いている。


そんな廃カラオケ店は、今は半グレ集団ノブレスカイトの溜まり場になっていた。


「ガラの悪そうなのが、ウジャウジャいるな」


お化け商店街を散策するフリをしながら、廃カラオケ店の様子を窺う。

入り口にはガタイの良い男達が立っており、集まってくる客のチェックを行っていた。


SNSの情報によると、今日のあの場所で集会なるものが行われるらしい。実態はメンバー集めのパーティーのようだ。


ネットに出回っている『入会証』の画像を見せれば、誰でも参加できるとされてはいる。

しかし様子を見ていると、やはり可愛い女子以外の一見さんはお断りの雰囲気があった。


「やばいな、怪しまれている」


入り口にいた男の1人が俺に気付いた様子。同じ所をうろうろし過ぎたか。


このまま逃げてもいいが、集会とやらは不定期開催。

今日を逃せばいつチャンスがあるか分からない。


いや、そもそも今はチャンスじゃないが、御厨の彼氏くんと御厨の事件?の情報を手に入れたい。


「あー、君達も集会に参加するの?」


焦った末に何を血迷ったか?近くを歩いていた女の子3人組に声を掛けてしまった。

女の子達は戸惑いを見せたが、俺の制服を見て顔色が変わる。


「おにーさん、浩岳高校の人?」

「うん、そう」

「すごー、エリートじゃん」


うちの高校はそれなりに偏差値が高く、付近の女生徒の受けは良い。

聞く所によると女子校生の間では、うちの高校のスクールバックを使うことが、一種のステータスなのだとか。


「え?おにーさん1人?一緒に行きます?」

「今1人。一緒に行く奴来てなくて」

「えー、やばー」


3人の内で一番大人びている子が話をしてくれる。

制服の力に助けられて、ナンパっぽいものが成功してしまったらしい。


「一緒に行きましょー、お友達は中で待てばいいですってー」

「そーそー、座って待ってよー」


腕を引っ張られて、あれよあれよという間に廃カラオケ店に到着してしまう。


「あ、私達4人分でーす」


女の子達は入館証を見せ、建物の中に入っていく。

男達の反応を見るに、彼女達は初めてではないっぽかった。


「お疲れ様でーす」


2人に腕を取られて引っ張られる俺も、チェック係に睨まれながらも無事に侵入する事ができた。

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