脅迫と…死
私は、なんとなく受かった高校に通いだした。
上條とは、別々になってしまった。
学校の帰り道、私は先生の家に向かう。
「伊納円香さん」
誰かに、声をかけられて振り返った。
「なに?」
「俺と付き合ってよ」
「なぜ?」
「じゃなきゃ、どうなるかな?」
ペラペラと何かを持っていた。
「前野とキスしてる写真、ばらまいてもいいんだけど…」
「やめてよ」
「じゃあ、付き合ってよ」
「いや、離して」
嫌がる私の前に、上條がたまたま来てくれた。
「やめろよ。椎名くん」
上條が、とめてくれた。
「ありがとう」
「いや、別に」
「助かった」
「よかったね」
上條は、笑ってくれた。
私は、その日も先生の家にいって家に帰宅した。
『明後日、あの場所で終わるよ。愛してるなら、守るべきだよ』
眠っていたみたいだった。
やけに、変な言葉が耳にこびりついていた。
次の日の朝ー
「伊納、明後日。中学に、朝寄らないか?」
上條が、待っていた。
「何か見た?」
「何となく、嫌な予感して」
「わかった」
私は、上條と約束した。
明後日、上條は私を待っていた。
「行くぞ」
「うん」
「昨日、先生は?」
「何か、暗かった気もするけど…。いつも通りだったよ」
「そっか」
「うん」
私達は、またあの木にやってきた。
「上條」
「前野先生」
上條は、あの日のようにしていた。
「救急車呼んできて」
私は、外の公衆電話に行って連絡した。
「切るもんが、欲しい。早乙女先生とは、違うから…」
「学校に行ってみる」
用務員室で、あの日のように借りてきて私は走った。
「上條」
「切って」
「わかった」
私は、一生懸命切った。
上條は、体を支えた。
縄が切れた。
「友作さん、死なないで」
「円香を失う事は、耐えられない。もう、俺には円香が必要だから」
「友作さん、私も必要だよ。だから、生きていてよ」
先生は、私のブレザーのネクタイを引っ張った。
キスをされた。
上條は、先生から何かを受け取っていた。
救急車がやってきて、先生は運ばれていった。
「何、それ?」
「伊納円香と前野友作は、付き合ってる。後、これ見て」
こないだの人と私?
「これは、合成じゃない?」
「でも、先生は信じたんだよ」
「何で…?」
「伊納を愛してたからだろ?」
「そんなの嘘だよ」
上條の言葉を信じる事は、出来なかった。
また、私は利用される日々だと思っていたから…。
前野先生は、三日目に容態が悪化し帰らぬ人になった。
「伊納の恥さらしだな。テメー」
先生との事が、家族にバレた私は家族に罵られる日々に変わった。
「伊納さん」
「はい」
先生の葬儀の日に、中学校の校長先生から、先生の家の片付けをして欲しいと頼まれた。
「どうしてですか?」
「お付き合いしているのは、学校の先生方は皆知っています。前野先生に肉親は誰もいません。伊納さんが、片付けに行く事は出来ますか?」
「はい、行きます」
私は、校長先生から鍵を受け取った。
「俺も手伝うよ」
「上條、よろしく」
「うん」
前野先生の葬儀にも、たくさんの生徒が駆けつけてきていた。
喪主は、校長先生がしていた。
天涯孤独の人間が、亡くなるという事は大変な事なんだと思った。
このお葬式は、誰かが立て替えたのだろう…。
「伊納さん、わからない事がありましたら、すぐに連絡を下さい」
私は、校長先生にそう言われた。
「はい」
結局、上條と二人先生の骨壺を持って、先生の家に帰宅した。
「ってかさ、まだ16だぜ。こんなの任すか?普通」
「誰も、関わりたくなかったって話でしょ?」
「だよなー」
上條は、そう言って笑っていた。
上條は、何も気にせずにソファーに座っていた。
「気にならないの?」
「何が?」
「ここで、とかさ」
「なんない、なんない」
上條は、手を横にふっていた。
「なあ、これ」
そう言って、上條は分厚いものを私に手渡した。
「これって」
「伊納、宛の手紙だな」
「読めない」
「いつか、読めば?」
上條は、先生の服を整理し始めた。




