女性の寝室に侵入・・・・・・
暗殺社っていう響きが好きです。はい。
「そろそろ来るか」
はい、俺は今アリスの寝室の天井裏にいます。いや、気配があっから無視しようと思ったけど1回こういう捜査みたいなのやって見たかったんだよ。はい。
そんなわけで。
とっとと侵入しますか。悪いことしている訳では無いのに謎に罪悪感があるな。
俺は音もなくアリスのベッドの横に降り立った。起きている様子はないな。
キィィ・・・
寝室のドアが開く。気配の消し方もほぼ完璧。相当な手練だな。とりあえず倒すか。
「・・・・・・ッ!?」
相手も気がついたようだが時既に遅し。一瞬で意識を刈り取る。
ドサッ
あ。ちょっと音がしちゃった。
「誰かいるのですか」
まてまてまて起きたぞ!?まずくないか?まずくないか!?
「顔を見せなさいッ」
よし。この暗殺者っぽいやつを引き渡してさっさと帰ろう。
「あぁ、お前の部屋に変なのがいてな。処理させてもらった」
「ッ!?」
アリスはようやく床に倒れている黒ずくめのやつに気づいたようで、顔を青くさせている。それでもこちらを睨みながら質問する。
「助けてくださったことに関しては感謝しましょう。しかしあなたは何者ですか?ここにはよっぽどの事がない限り侵入できないはずです」
・・・・・・それもそうだな。
客観的に見れば俺ってすごい不審者だよな。しかも何者かなんて考えてなかったし。
そういえば、俺が大魔王時代に遊びで名乗っていた名があったな。困った時はこれを名乗っていたか。確か───
「───常闇の女王」
名乗った瞬間にアリスが驚愕したのが分かる。暗殺者に気づいた時とは比べ物にならないほど動揺している。
「ま、まさか・・・そんな・・・・・・ありえな・・・・・・・・・・・・」
待って自分で女王とかほんと恥ずかしい。恥ずか死ぬ。ほんとに。もう帰ろ。帰って寝よ。
「・・・・・・・・・」
「あ、まっ・・・・・・」
«瞬間転移»
そして、アリスの寝室から、まるで最初から何もいなかったかのように姿を消した。
ランド率いる騎士団が到着した頃には、呆然としているアリスと、気絶した暗殺者だけが残っていた。
───常闇の女王
王国のみならず、世界中で知られているが、未だに詳しい事が何も分かってない世界最大の組織、«梟»
梟について分かっていることは2つ。
1つ目は幹部が4人いること。かつて伝説のパーティ«Soleil»が、幹部のひとりと接触している。その幹部曰く、自分は4人の中で最も弱いらしい。しかし«Soleil»は、結果的に惨敗だった。
世界最強のパーティが組織の一幹部に敗れる。
この事件から«梟»の名が世間に知れ渡るようになった。
そして2つ目、幹部の上には当然の事ながらトップがいる。
曰く、背の低い老婆である。
曰く、一般的な町娘の格好をしている。
曰く、まだ幼さの残る少女である。
そのどれもがハッキリとしないただの噂である。しかし、何故かこれだけは知られている。組織のトップ、それは裏の世界ではこう呼ばれている。
«常闇の女王»