召喚
「はぁぁぁぁ」
俺は大きなため息をつく。ものすごく憂鬱だ。なぜなら、
「小テストなんて無くなればいいのに」
俺たちの学校では、毎時間授業が始まる前に小テストがある。俺は大魔王の頃から頭の回転はいいほうだった。だが。
「難しすぎるだろぉぉぉぉっ!?」
「それは真央が授業中寝てるからだろ」
そんな正論をかましてきたのは俺の親友の1人、長澤心。
「シンはいいよなぁ!?学年トップなんだからあっ」
何を隠そう、こいつはものすごく頭がいい。しかも2年生ながら生徒会長なんかもやっている。
「真央ちゃんだって勉強すればいい点取れると思うんだけどなぁ」
そういったのはもう1人の親友、天城美香。かなりの美少女と言ってもいいほどの容姿をもつ。そして頭もいい。この間のテストではシンに次ぐ学年2位だったらしい。
そんなハイスペックな2人がなぜ俺なんかに絡むのかは学校三大七不思議に数えられるほどの謎である。
「だから俺は勉強なんかしな───」
突然、教室の床に魔法陣のようなものが出現した。それは真央にとっては見慣れたもの。だがこっちの世界に転生してからは全く縁のなかったもの。
「まさか───」
教室全体が眩い光に包まれる。
そして光が消えた教室には、誰一人として残っていなかった。
この事件は、集団神隠し事件として、世間を騒がせることとなった。