トマトのツブツブみたいに
苺が美味しい季節になってきました。
テレビで、苺が嫌いだと言っている女の子がいたので書いてみました。
良かったら読んでみてください。
「トマトの中に入ってる粒々が嫌い」
「でも君が食べるそれにもいっぱい粒々ついてるけど?」
僕がそう言うと、彼女は口に入れようとしたイチゴを寸止めした。
「これは気にならないの。甘くて美味しいし」
「甘くて美味しいトマトもあるよ?」
彼女は寸止めしていたイチゴを頬張り、少し苛立った目付きで僕に視線を流した。
「あなたは好きな女の子にケンカ売るタイプなの?」
「いや、ちょっと不思議に思っただけ。後、好きな女の子にケンカ売るタイプじゃなくて、好きな女の子が可愛くて、からかいたくなるタイプかな」
そう僕が言うと、それ以上何も言うなと言わんばかりに、彼女は矢継ぎ早に僕の口にイチゴをねじ込んだ。
彼女の顔はイチゴのように鮮やかな色に染まっていた。
その様子をにこやかに見つめる僕に彼女がボソッと言った。
「トマトの粒々みたいに私に嫌われても知らないんだからね」
嫌われるわけない。君の赤らんだ顔も、潤んだ瞳も、僕を好きだと言っているじゃないか。
でも、それを言うとまたイチゴを口に放り込まれそうだから、僕は今はとりあえず、言葉にするのは止めた。
読んでいただいてありがとうございました。