アイドルヒッジン
その頃、会場では羊対決の様子を見た会場がどよめいていた。さらに、ヒツジンは勝者の余裕かモニターごしに新曲と自分のデビューシングルを歌って踊り始めた。
「十二支陣営の今大会初勝利を祝して歌って踊ります。まずは聞いて下さい。デビューシングル。モフモフドリーマー
新曲羊夢」
「モフモフに包まれたならー」
これには、大黒天も大興奮で実況にも熱が入るというかアイドルの会場に来た痛いオタクみたいになっている。
「これはすごいまさに勝者の余裕。王者の風格。すごい踊りのキレです。神である。私でさえも思わず魅了されてしまいそうです。あのモフモフに包まれて抱かれて見たい。あの腕の中で抱かれたなら見る夢全て最高の夢でしょう。ああヒッジンマジもでぅぇ。」
東洋陣営では男の神達ほぼ全員がオタ芸を披露したり、合いの手をいれている。特にすごいオタ芸を披露しているのは豪力の神てぢからおである応援隊長のハチマキを付けあの巨体から考えらないくらいキレッキレのオタ芸を見せている。
その様子を負けて転送されてきたシープスヘッドは唇を噛んで悔しがっている。
シープスヘッドは現実逃避をするようにこう呟いた。
「嘘だろ。毎年、何人もの十二支を倒し大会のMVPを取った事もある。この俺が新人のしかもアイドル上がりのあんな小娘に瞬殺だとありえねえ。ありえねぇよ。こんなの夢だ。そうだ悪夢に違いねぇ。」
ヘルメスはその様子を見て身内に容赦ない実況を始めた。それどころか。後半はもはや罵倒であった。
「どうやらシープスヘッドあのモフモフの夢から覚めたら広がっていたのは悪夢の世界だったようです。これは、彼はヒッジンの夢から覚める時に同時に自分の築いてきた強者という夢からも覚めてしまったようです。これからの彼の事を考える私くし不憫でなりません。おそらく、来年は出場出来ず、立場の降格はかけられないでしょう。そして、一生小娘に負けた奴として西洋側ではそのことを一生責められ続けるでしょう。この役立たずが西洋の恥さらし。二度と俺達の前にその顔を見せるな。」
シープスヘッドはゆっくりと立ち上がり会場を後にした。その後、彼の姿を見たものは誰もいなかった。