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003 さっと出て来るエレベーター

ジョニーは、『謁見の間』から出ずに壁の方へと向かって行き、隅の角辺りで止まった。

オレも後に続いたが、周りの甲冑を着て槍を持った兵士の様な奴らが気になって仕方がない。

時々聞こえる、ドラゴンの呻きの様な吐息の効果音も無視するなんて不可能だ。

ここはどう考えても病院じゃねぇ。


「まぁ気持ちはわかりますよ。基本的に統一性がないですからね。それに、質問禁止って言ったって、どうしても、色々と気になる事は出てくるでしょうね。例えば、こういうのとか……。」


そう言いながら、ジョニーが大理石の様なもので出来た壁に触れる。

すると突如、オレ達の目の前にエレベーターが現れた。

決して、大袈裟な表現ではない。

文字通り、突如として目の前にエレベーターが現れたのだ。

おかしな事が多すぎる。

オレはまだ、夢でも見ているのかもしれない。

あるいは、脳に異常があって幻覚を見てしまっているのかもしれない。

唖然としているオレを見て、ジョニーはまたもニヤッと笑う。


「科学の進歩ってのは、凄いですよね。最近は、こういう事も可能になったんですよ。ずっと昔の人間が見たら、夢か幻覚か魔法なのか、としか思えないでしょう。」


そんな言葉で、オレは正気を取り戻し、少し恥ずかしくなった。

テーマパークのような場所だし、客を驚かせる為の仕掛けなのだろう。

エレベーター自体は、デパート等にあるような普通の物だった。

視角トリックや、映像の光学的なテクノロジーを使えば、案外簡単な事なのかもしれない。

こういった物を隠す技術は軍事利用できるので、各国が力を入れている筈だ。

あぁ、そういえば……。

オレが感染したってのは、『極秘の軍用ウイルス』って話だったな。

ここは、軍事技術を開発する企業と関連した会社の、系列会社が運営しているのかもしれない。

そうだとすると、ジョニーが現状をもったいぶって説明しないのも納得がいく。


ちょっと落ち着いて深呼吸して、状況を推察してみよう。

まず、オレは軍事機密であるウイルスに感染した。

となれば、そのウイルスへの対処や治療等ができる特殊な病院に移すのが定石だろう。

そしてオレは、その特殊な病院において、感染から運よく回復した。

ここまでは多分正しい。

で、『軍事機密ウイルスから回復したオレ』の次の扱い。

どうなったんだろう?

……より機密が守れそうな関連会社の施設、多分、テーマパークに移動させた。

状況から考えて、これだな。

気を失っていたオレが無事であるのだから、オレの口を封じる気はないって事だな。

良かったぜ。

……いやまて、まだ安心できないぞ。

軍事機密にかかわるような事ならば、監禁したり、秘密のままにさせておく為の契約をする等して手を打っておく必要がある。

あぁヤバい、一生監禁コースかな。

しかしそういうのは、ジョニーのような者ではなく、米軍の機密を管理する軍人がする事の筈だ。

例えこちらが、一般人で単なる学生だとしてもだ。

違うか。

むしろ相手がオレのような一般学生だからこそ、軽々しく取引先の会社に任せられる事ではない。

緊急性が認められる時はともかく、病気が治ってからも監禁したら米軍の命令だって犯罪だ。

軍事機密はともかく、軍のスキャンダルの元を一般の犯罪者に任せるのは賢い選択じゃない。

ということは……。

ジョニーはあくまでも、この米軍の取引先施設の社員で、口が堅く無茶も出来るが、全てを知っている訳ではない。

こんな感じかな。

だったら、現在の状況をちゃんと知る為には、どっかに居る筈の米軍の関係者に会うしかないな。

そして、ここから安全に帰宅する為にも、それは必要って事になる。

こんなテーマパーク内を歩かせてる事から考えても、一生監禁とかをする気はないだろう。

よし、少し安心してきた。

それにしても、いきなりエレベーターが現れるのは驚いたぜ。

軍用の最新技術スゲェ。


「正直、かなりビックリした。これ、知らなかったら此処から出られないですよね。まぁ、とにかくその目的地ってのに行きましょう。」


照れ隠しもあってマトモにジョニーの顔を見ずに、さっさとエレベーターに乗り込む。

すぐにジョニーも乗り込んで、『1F』と『閉じる』のボタンを押した。


「ま、出られないでしょう。私は『案内人のジョニー』なんでね。俺の後に着いてくれば、迷う事はないですよ。迷ったところで、俺がすぐに見つけますけどねぇ。」


なるほど、『案内人のジョニー』か、このテーマパーク内での役割なんだろうな。

……もしかして、ジョニーはオレを米軍の関係者の居る所に案内してるんじゃないのか。

ジョニーがそれなりに丁寧な態度を取っているのは、オレを接待するように指示されているからなのかもしれない。

口止めというのは、飴と鞭、つまり利益供与と脅迫が重要だ。

味方にしておけば得だし、敵に回したら怖い、と思わせなくてはならない。

そういう事であるなら、ジョニーが言っていた『むしろ悪いニュースの方が、楽しい位』という言葉とも整合性が取れる。

きっとオレは、脅迫を受けて口止めをされる代わりに、このテーマパークで接待を受けるのだ。

これ、正解だといいなぁ。

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