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(5)家庭教師が本当の主人公?

改定:2016年8月22日

 魔法の仕様が複雑すぎるので、簡素化した。個有爵位についても少し変更した。


 4月3日。

 さて、サポートキャラなんだが。

 オレは 最初から、改めて じっくり観察し検討し直した。


 このゲーム、チュートリアルだと言うことで、やはり制限があるようだ。

 最初に気付いたのは、キャラ選択画面のところに『フリーキャラクター』というのがある。内容については皆目 見当が付かない。何でも完成版には装備予定らしいが、このチュートリアルではアクティブになっていない。

 どんなキャラが入るのだろうか。少しばかり気にはなるが、まあ良しとした。

 スルーして次の段階へ進む。


 さて、本題だ。

 この前のゲーム、実行していて思ったことがある。チームのバランスが悪い、とまでは言い過ぎかも知れないが、キャラを成長させるのが、……とても難しかった。

 何だかシックリ来ない感触。原因はわからないが。


 少し踏み込んで考えてみよう。

 例えば、あの魔法使い(の弟子)の婚約者は吟遊詩人だった。あれは標準ステータスによるものなんだろう。中々良いとは思うが、もう少し何とかなりそう、に見えた。

 いや、彼女だけではない。みんな そんな感じだった。


 ひょっとしたら、先の見込み通りサポートキャラが主人公、なのかも知れない。

 このゲームの正しいルート、とまでは言い過ぎか。どのルートも悪くはないのだから。

 だが、作者が望んでいたルートは、やっぱりこれじゃないだろうか。


 まずは、魔法使いを中心に、他のキャラとの共通点を探してみた。

 男女関係なく共通の何かがあるはずだ。キャラの職種を仮定して、性別を変えながら共通点を探した。


 やっぱりあった『家庭教師』、これだ。

 彼女を吟遊詩人にしたのは家庭教師に違いない。

 これは魔法使いだけじゃなかった。技術職全般、武道家、政治家、商人等 全てだ。のメインキャラの王族には、帝王学と王妃教育がある。つまり全員に家庭教師、または それに相当する者がいる。間違いない。この種のキャラが本当の主人公だったんだ。


 オレは、魔法使いのサポートキャラ『家庭教師』を選択した。

 ワクワクする。どう育てようか。


 吹き出しが出た。

「このゲームにおけるメインキャラクター付属の家庭教師は、最も完成された育成完了状態となっています。完成版では、このキャラクターも育成する必要がありますが、当ゲームはチュートリアルなので省略しています」


 嘘だろ。


 これの完成版って、本当にゲームとして成り立つのか? 他人事ひとごとながら少しばかり心配になってくる、あまりにも自由度が高すぎないか?

 本当に、冗談じゃなくて。


 魔法使いの家庭教師を選択したら、吹き出しとは別に黄色く発光する説明書が表示された。強制イベント? じゃ、ないようだ。


「魔法使いのあなたに お知らせ致します。

 魔法の基本システムですので、必ず一読ください。

――魔法には一般ノルマル魔法と特殊オカルト魔法があります。

 一般魔法は、四大精霊の何れかと、一定値を超える魔力を持つ者なら誰でも使え、その精度も良好です。詠唱は必須ではありませんが、特殊な場合を除いて必要となります。

 通常(詠唱等を伴う場合)、発動まで ある程度の時間を要するのが欠点ですが、熟練すると省略呪文ショートカッによる発動も可能になります。

 一般魔法は、詠唱、呪文、呪詞、魔法陣等の『言霊』により発動しますが、必ずしも言葉を必要とするモノではありません。

 特殊魔法は、魔力のみで発動する魔法です(サイ(psi)も ここでは特殊魔法の一分野としています)。

 特殊魔法は詠唱を必要としないため発動時間にロスがありません。威力も一般魔法より強力なモノもありますが、精度は やや劣る、とされています。

――魔法の属性について 

 魔法には『相乗』『相殺(相剋とは違う)』等の相性がありますので ご注意ください。

・相乗効果を持つ魔法:四大精霊の地と水、火と風。

・相殺効果を持つ魔法:四大精霊の地と風、水と火。

・無関係に作用する魔法:四大精霊魔法と特殊魔法。

――魔法を同時に使う場合には、それぞれの関連性、相性を良く鑑みて組み合わせることが必要となりますので、チーム編成などに ご活用ください」


 今更こんなことを? というか、魔法使いは始めてか。

 そういえば、第一王子と 第二王子の元婚約者は相性が悪かったような気もするな。他にも色々あったような気がする。

 思ったより魔法は面倒かも知れない。


 まあ良い。とにかく家庭教師だ。


 えっと、家庭教師の『個有爵位』? 吹き出しに説明があった。


 読み物が多いな。まあ、チュートリアルだから仕方ないのだろうが。


「この世界では家格の爵位より個人の能力が高く評価されます。そして、それを爵位で表します。一般にそれは、学業単位により評価されます。

 中等部卒業で予爵(男爵相当)、高等部卒業で子爵、大学卒業で伯爵、大学院卒業・研究員+学士位取得で候爵、となります。公爵位は、世界的な功績、他に比類ない貢献を成した者にのみ授与されます。

 これらを個有爵位と言い、各爵位は幼年部、中等部は学部共通。高等部以上は一般学部によります。

 下位爵位の者は上位爵位の者に対し拒否権はありません。例えば、公爵は王に準じた権限を持っています。

 なお、公的な教育者(公認家庭教師も含む)となれるのは、伯爵位以上です。

 伯爵の教育資格は高等部卒業まで。候爵の教育資格は大学入学まで。となります。

 これは必要取得単位の免除のみであり、卒業資格は高等部、大学等で資格試験を受けて取得する必要があります」


 すごいな。

 さて、通常の家庭教師か公認家庭教師かの選択。

 やっぱり『公認』だな。

 伯爵とするか候爵か? そんなの決まってる候爵だ! 「大は小を兼ねる」だ。


 このキャラには名前を付けられるのか。


 家庭教師の個人データカードがある。個有爵位のアイテムだ。

 チュートリアルではステータスとして表示されているが、完成版にはステータス自体が表示されない。これが その代替品なのだろう。

 名前、性別、年齢、個有爵位、HP値、MP値、使用可能な魔法、取得済スキル……等々、個人情報満載じゃないか。

 ちなみに魔法(一般魔法)とスキルは……。うん、さすが候爵。

 名前と個有爵位以外は隠せるようになっている。これを見せて就職活動するということか、と言うか、相手は 多分断れないだろうな。


 さて、ゲームを開始しよう。


 ■■■


 なぜ、……どうしてオレはここにいる。


 ここは大学の研究室。オレは教え子を高等部卒業に導いた。大学に入学させた。そのまま研究課程に入れ、今に到っている。


 公認家庭教師である候爵オレは、学び・知ることの楽しさ、未知への好奇心と探究心を生徒に植え込み、分析力や洞察力のスキルを高め、客観的な観察者として、更には研究者としてのステータスを その時点での最高域にまで向上させた。

 多分、伯爵も同じだろう。彼らはオレの助手になった。


 公認家庭教師の目的は『研究者の育成』にあったのだ。


 なぜだ? オレ達は冒険者になるはずではなかったのか。大学に行く必要など なかったのではないか、それなのに それなのに……。


 これは、スルー・エンドとしておいてほしい。バッド・エンドではない、と思いたい。


 ■■■


 なるべく多くのブログに投稿しておこう。後続のゲーマー達が、オレと同じ過ちを犯さないように、しっかりと。



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