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「久しぶりね、アル」
目を見開いたままのアルジェントにヴェラは笑い、呼びかけた。
はっとしたアルジェントはヴェラを睨みつける。
「……もうここには来るな、と言ったはずですが」
胸に湧き上った気持ちと、真逆の言葉口から吐く。
しかし、それにもヴェラは笑い返すだけだった。
「嘘つきね、アル」
「……はい?」
「結婚するなんて嘘じゃない」
今度は驚くことはなかった。
きっとすぐにバレるだろうと思っていた。
バレても良かった。
聡い彼女なら何故自分があんな風に突き放したのか、わかるだろうと思ったから。
そして、彼女は理解したはずだ。
考えて、答えを見つけたはずだ。
なのに何故。
彼女はここに居るのだろう。
「アル」
何故、という言葉で頭の中を満たしているアルジェントにヴェラは言った。
「アルがあんな風に突き放してくれなくたって、私、ちゃんとわかってたわよ。……このままではいられないって」
ヴェラは苦笑する。
「アル、誰かに聞いたのでしょう?私が結婚するって。…………まったく。余計なことをしたのは誰かしら」
本当に、もう。
そう、わざとらしく溜息をつくヴェラをアルジェントは静かに見つめた。
「もうその誰かから聞いたのだろうけど、ちゃんと、私からお別れを言いたくて。……それで、今日来たの」
ヴェラはアルジェントにしっかりと正面から向き合った。
「三日後、この街を出るの。だから……さよならよ、アル」
ありがとうございました。