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「――――それでね、お兄様ったらね」


 カン、カン


「もう、私おかしくって!」


 チク、チク


「……アル」


 トントン


「アルってば!!」


(…………)

「聞いているの!?アル!」

「……聞いてますよ」


 うるさいので渋々返事をするとヴェラは満足げに頷く。


 「あら、そう。ならいいのよ」


 そしてまた話し出そうとする。(もう朝から話しっぱなしなんだが)

 アルは作業の手を止めず、内心溜息を吐いた。


 するとその時、店の呼び鈴が鳴った。


「……ヴェラお嬢様、お迎えが来ましたよ」

「…………そうみたいね。それじゃあ、アル。また明日」


 ヴェラは手を振って作業場から出て行った。


 日が暮れ始めるより前、ヴェラの家の使用人が彼女を迎えに来る。

 それを合図に彼女は帰っていく。


 朝やってきて一方的にヴェラがアルジェントに話し続け、アルジェントは仕事をする。

たまにアルジェントが話を聞いているか確認し、アルジェントがそれに「聞いています」と答える。

 使用人が迎えに来て、ヴェラは帰り、アルジェントはそれを見送る。


 冬の間、二人はそれを毎日ずっと続ける。

 ずっと仕事をしているアルジェントはともかく、ヴェラにとってはお世辞にも有意義とは言えない時間の使い方だ。

 それでも彼女はいつも満足げに帰っていく。


(理解できないな)


 今日も今日とてヴェラを見送ったアルジェントはどこか冷めたように、そう思った。




ありがとうございました。

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