3人が初めて逢った素晴らしい日
誤字脱字などは気をつけているつもりですが気づき次第修正します。
2話で出てくるこの三人組の高坂あかり、鷹富士彩、佐伯スミが物語の中心のお話です。この子達がみんなに気に入ってもらえれば私もうれしいです。よろしくお願い致します。
喜ぶチームバルムンクのメンバーとうなだれる相手チームのメンバー。
画面テロップには最強女子学生チーム無敗継続中の文字と払戻金や配当品や
バルムンクの累積報酬ポイントなどが表示されると程なくして会場の映像は途切れ、解説者みたいな人間が談笑するスタジオ会場に映像は移った。
ピッ
「もういいな。フードバトルは審査員においしい料理を作ったチームが勝ちって事だ。おいしいものを作ってバトルに勝ってポイントを貯めて自由を勝ち取れ。以上」
自由を勝ち取れ?先ほどまでこちらを精神的に散々痛めつけておいてどういうことだ?
「鞭だけじゃお前達も途中で無気力になっちまうだろうし、それじゃ賭けもぐたぐたになって成立しなくなっちまう。だからポイントを貯めればここから抜け出せることが出来るって言う飴もちゃんと用意してある」
抜け出せるという言葉を聞き、みんなの表情が少し緩む。
「残りのルールはおいおい確認してくれ。チーム分けのためにくじ引きしてもらう。えーと…」
こちらを見渡し人数を数える男。
「ふむ、今回は12人集まったか。丁度4チーム作れるな。」
男はポケットから小切手を取り出しそれにA1~3、B1~3、C1~3、D1~3と書き込み、合計12枚のくじを作った。
「それじゃーお前らここに一列に並べ」
皆,列を作り順番にくじを引いていった。
納得はいかないがポイントさえ貯めれば解放はしてもらえると聞かされ、少なからず希望が見え始めたのが大きいのかもしれない。
「そこのお前、くじを引け」
考え事をしていて自分の番が来たことに気づかず怒られてしまった。
急いでくじをひくと”D-3”と書かれている。
Dチームの他の二人はどういう子だろうか仲良くできると良いけど。
パンパンッ!
手をたたく音が聞こえ、くじを眺めていた学生達はまた男に視線を戻した。
「くじを引いたやつからあっちのドア前にいる職員について行け」
複数案内人がいるので、どの人についていけば良いのかわからず
どうしたものかときょろきょろしていると
「これからあなたの住居へご案内しますのでついてきてください」
メガネを掛け、スーツをビシッと着こなし大人の雰囲気を漂わさせた女性職員にこれから住むという住居に案内されることになった。
「は、はい」
いわれるままに女性職員のあとについていく。
息の詰まる薄暗くてジメジメした部屋を抜け階段を昇った先は、自然にあふれた見慣れない町並みだった。ぽかーんとしていると女性職員はさっさと進んでいくので今は深いことは考えず住居にいくことだけに集中することにした。
どのくらい歩いただろうか、女性職員が大きな住居の前で歩みを止めると私に向き直った。
「こちらがあなた方の住居になります。お好きに使いください。また、ドアの開閉は防犯も兼ねて指紋か声紋で認証を行っていますがどちらにしますか?」
女性職員はタブレットを取り出し、ドア横に設置されているコネクターにケーブルを差込、タブレットと認証システムを同期させ始めた。
正直どっちでもいいのだけれど、出入りのたびにドア前で自分の名前をつぶやく姿がなんだか滑稽に思えたので指紋認証を選択した。
「ドア横に設置されているタッチパネルに右手を開いて押し付けてください」
「わかりました」
女性職員にうながされるまま右手をタッチパネルに乗せると"wait"と表示され少し経つと画面上に"complete"と表示された。
それと同時にドアのロックが外れる音が聞こえ、女性職員がドアを開けてくれた。その開かれたドアから見える住居の内装に思わず声が漏れた。
「うおぅ…」
黒光りした大理石の玄関を抜け、通路を進んだ先に広がったリビングまでいくと、さらにすごい衝撃が私を待ち構えていた。
何よりもまず、部屋が広い、そして日当たりがいい!!
吹抜けになった高い天井部分にはシーリングファンがあり、悠然と回転していて快適な癒し空間を演出していた。
そして目測20畳以上は楽にありそうなリビングには見るからに高そうなソファーがあり、その上にはふかふかして抱き心地のよさそうなクッションが3つほど置かれていた。
また、庶民が簡単に手を出せないようなTVやAV機器がソファーの対面に悠然と置かれており、これから未体験の映像と音楽が待っていそうだ。
「高坂さんこちらへ」
女性職員に声を掛けられ、我を忘れて間抜け面をさらしていたであろうことに気づき、ごまかすように急いで返事をし、あとについで歩き始めた。
「こちらがダイニングキッチンになります。」
これから”food battle”をするため一番核となりそうなこのスペースは3人以上が集まったとしても余裕そうだ。
「今は必要最低限のものしか置いてありませんがこれから”food battle”得たポイントで色々充実させていくことも可能です」
住居に来てから圧倒されっぱなしで、話も正直頭に入りきっていないが
仕方ない。落ち着いたらじっくり情報を整理していこう。
「この住居以外の施設等の詳細はこちらのしおりでご確認ください。本当は時間があれば施設の案内もしてあげたいのですが、他にも待っている方がいますので申し訳ありません。」
私は女性職員からしおりを受け取ると、パラパラと目を通した。
そして、気づいた時には女性職員は部屋からいなくなっており、先ほどまで部屋の案内やしおりをもらったことに対する感謝の言葉を伝えるのを忘れていたことに気づいた。
だが親切だった彼女も、自分達を拉致した仲間の一味だと考えたらこれでよかったのだと思い直し気にしないことにした。
今日だけで色々起こりすぎのでどっと疲れが…
ソファーに深く横になり、だらしなくしおりを読んでいると
不意に後方からガチャっとドアのロックが外れた音がした。
誰かが来たようだ。
「ここからは一人で十分です」
こちらが私と同じチームの子だろう声が若い。
了解しました。施設の詳細はこちらのしおりでご確認ください。」
こちらは先ほどの女性職員。
なんだかソファーから起き上がる気力がわかず、このままの体勢で応対しようかとおもっているとその直後。
後方から視線を感じ、どうにか体を捻じ曲げて視線の主を確認すると一人の美少女が所在無さげに立っていた。
はっと息を飲むほどの容姿のよさ、どれほどすごいかというと学校1の可愛い子を100人集め、その100人で容姿を競ったトーナメントを開催しても優勝してしまう。それくらいの美人が目の前にいた。
そして、この美少女は黒髪ロングの前髪ぱっつんなのだが、この子の清楚な雰囲気にマッチしていてとても似合っている。
私が同じ髪型をしたら、小さい子に対して目に前髪が入らない事だけに重点を置いた、あのおしゃれとは無縁で悲惨なルックスになるだろう。
体つきは少しやせて見えるが、不健康そうには見えず、逆にそこが儚げで,
きれいな顔も相まって世の男性諸氏にとってゃ庇護欲を掻き立てる要素の一つでしかないように思えた。
同性でありながら見ほれてしまっていたが、人様を迎えるにはあまりにもな体勢だと思い直し、急いでソファーから起き上がると、
女の子の前までいき、私は右手を差し出し握手を求めた。
「初めまして。私は高坂あかりといいます。お互い災難ですね」
「佐伯スミです。本当に災難です…」
こちらの差し出した手に対する返答はなく、気恥ずかしくなってあわてて手を引っ込める。
佐伯さんは下をうつむいてそのまま押し黙ってしまった。
精神的に参ってしまっているのだろうと思い、ソファーを勧めひとまず休んでもらうことにした。
ソファーに座り大きなため息をつき、そのまま手で光を遮って少し横になる佐伯さん。
今の状況を鑑みると至極全うな状態なのかもしれない。
程なくして寝息を立て始めたので、私は佐伯さんの休息の邪魔をしてはいけないと思い、黙って窓の外に見える景色をボーッと眺めることにした。
「たかふじあや!!」
大声のあとに、ガチャっとドアのロックが外れる音が聞こえた。3人目が来たらしい
「施設の詳細はこちらのしおりにありますが、既にお二方いらっしゃっていますので、そのお二方にお話を聞くのもいいかもしれません。」
「了解~」
「それではご武運を…」
今度はどんな子が来たかなと想像をふくらませていると、ドタドタと廊下を駆け抜け
「オーッス!」と大きな声を上げて陽気な女の子が現れた。
あまりにもやかましかったので面食らってしまったが
佐伯さんが傍で寝ているので右手でソファーをつんつん指差し、左手人差し指をを口元にもっていき静かにしろといった。
3人目の女の子というと”?”といった顔をしたがソファーの近くまで来て合点がいったらしく
ごめんといったポーズを取ったのち、ダイニングキッチンのほうを親指で指差しそこへ移動しようといった。
私はうなづき、3人目の女の子と一緒にダイニングキッチンへと移動した。
「さっきはすまん。おれは鷹富士彩っていうんだ年は14歳。彩って呼んでくれよな」
まず最初に自分の非を詫び、しっかりと挨拶をしてきたし、少しガサツなだけで悪い子ではないのかもしれない。
「彩さんよろしく。私は高坂あかりといいます。」
そういって右手を突き出しお互い握手をする。
握った彩さんはとても暖かい手をしていた、なんだか落ち着くなこの感じ。
今後の方針や自己紹介、各部屋の取り決めは佐伯さんが起きるまで待つことにして、彩さんと他愛もない話をした。
拉致されてきたという悲惨な状況にも係わらず、とにかくこの子は明るく、そしてよくしゃべる。
恋愛話から、ファッションの話、はたまた好きなアイドルの話など年頃の女の子が好きそうな話はすべて網羅していそうだ。
私は珍しく聞き役に回りながら彩さんを観察する。
染めているのかわからないが、ブロンドの髪は彩さんのキャラクターにマッチしていて似合う。
眉毛は整えており、目はパッチリ二重。鼻は高く、唇はリップをつけているのだろう潤いがある。
同年代なのに私と違ってなんだか色っぽい。
そして特筆すべきところは、私にはない巨大な胸の塊。"国民食A"という同じもの食べているはずなのにこの圧倒的な差はなんなんだろうか。
身振り手振りで話すたびに、その塊がゆっさゆっさと躍動する。
忌々しい。
私が彩さんの胸に夢中になっていると、ダイニングキッチンの入り口からちょこんと顔をだしてこちらを伺っている佐伯さんが視界に映った。
「佐伯さんもこっちでコーヒーか紅茶飲もう」
笑顔で手招きすると佐伯さんはこちらにやってきた。
私は彩さんと向かい合って座っていたのだが、佐伯さんは私の隣に来て所在なさげにまたうつむいてしまった。
「どっちにする?」
コーヒーと紅茶の入った容器を持ち質問する。
「紅茶にする…ミルクもあればお願い…」
佐伯さんの分の紅茶を入れる間、二人の様子を伺っていたが、先ほどまで饒舌だった彩さんが一言もしゃべってないのが意外だった。
出来上がった紅茶を佐伯さんに渡し、椅子に座り直すと未だに続く沈黙したこの場の空気に耐えられない。
どうにかせねば。
「そうだ!まずみんなで自己紹介しよう。ね?」
幾分あせった顔で二人の顔を交互に見ると、佐伯さんは軽くうなづき、彩ちゃんは笑顔でokサインを出してくれたので自己紹介をすることにした。
「じゃあ言いだしっぺの私から。改めて自己紹介するね。名前は高坂あかりといいます。友達からはあかりと呼ばれているのでそう呼んでくれるとうれしいです。」
それから私はここに来た経緯を話した。
「次おれやる!」
テーブルに両手をつき、イスから勢いよく立ち上がった彩さん。ああぁコーヒーカップが落ちそう。
とっさに手を出しカップを救出、それに気づかない彩さんはコホンっと咳払いをし、紹介を始めた。
「おれの名は鷹富士彩。彩って読んでくれよな。えーっとデモには人がいっぱい集まっててなんか楽しそうだったから、行列に並ぶ感覚で当日参加してみたわ」
驚愕の事実。私よりすごいなある意味…
「まぁこんな事になっちゃったけどさ、力を合わせてみんなでここを抜け出そうぜ。以上」
最後は佐伯さんの番だ。二人の視線が佐伯さんに集中する。
「佐伯スミです……おわり」
あまりにあっさりすぎた自己紹介にずっこける彩さん。
「おいおいそれだけかよ。なんかあんだろほかにもさ。例えばそうだな…好きな物のひとつやふたつくらい」
「パソコン。デスクトップ型の」
「パソコンってお前。あんな前時代のガラクタいまさらもってたって何にもできないだろうに」
カチーーン
「うちのパソコンは今でも戦えます!!cpuもメモリもグラボも盛り盛りもって爆速!!いや神速。円周率の演算だって他のpcと並列させずになんとギネスの公式記録を破った事があるほどです」
先ほどまで控えめなキャラクターだと思っていた佐伯さんがいきなり饒舌になり面食らってしまう。
「いやいや。何いってるかわかんねえぇって。もっとこうさ、クラスで話題になる話しとかあるだろ?例えばそうだな…好きなやつの話とかどうよ?」
「私、好きな人以前に友達とかいないし…」
テンションがガタ落ちする佐伯さん。
「そっか…なんかごめん」
すまなそうに頭をかく綾さん。
「うん…」
再びうつむいてしまった佐伯さん。
気まずい雰囲気が流れる。
壁に備え付けられた時計の秒針の音が空しくこだまする中、このよどんだ空気を変えるためあの娘が立ち上がった。
「よし!自己紹介も無事?済んだし、おれらがこれから住むこの建物を探検しようぜ!」
「お、おーー!」
渡りに船とばかりにのっかる私。
佐伯さんの顔をのぞくと、こくりとうなづいたので女子三人連なってダイニングキッチンを後にした。
「うおーーやっぱりひれーーなこの建物」
両手を大きく広げ、喜びを全身で表す綾さん。
本当にうれしそうだ。
大浴場へ。
源泉掛け流しとかいてある。
脱衣室に浴衣や寝巻きも完備されていたので、この際お風呂に入ってしまおうと彩さんが提案するのでベタベタ汗を落としたい私は即、同意した。
佐伯さんは少し恥ずかしいのか躊躇ったが、やはり女の子、汗臭いのは我慢できないようだ。
私達が全裸になり、恥じらいを捨て脱衣室を駆けぬけるとそこには3人が使うにはあまりにも大きい大浴場がででーんと現れた。
佐伯さんは私達が大浴場に駆け込むと程なくしてタオルを巻いて現れた。
きめ細やかで、白い陶器のような肌をした佐伯さんを男目線で凝視していると、ふいに彩さんからお尻を叩かれた。
「お前はおっさんか。ここはゆっくりさせてやれって」
ぐぅーの根も出ない正論を言われた私はしぶしぶ銭湯に入る準備をはじめた。
身体を洗い、髪を洗っていると隣で同様のことをしていた彩さんからおふざけの冷水攻撃を喰らった。
「つめた!!」
悔しいので私も同じことをやり返す。
初対面の女二人があほなことしてるって実感はあったけど、おかげで少し気が晴れたのも確かだった。
冷えた身体を温めるために浴槽に向かうと、効能の欄には美肌や疲労回復が明記されている。頻繁に利用しようとこの時誓った。
そして、一番最後に身を清めた佐伯さんは入浴するために意を決して巻いていたタオルに手をかけた。
そんな佐伯さんの艶肌をこの目に焼き付けようと待ち構えていると
ふいに目の前が暗くなった。
「見ないから今のうちに早く温まっちゃいな」
彩さんが両手で目隠しをしているらしい。
「お前は本当にこりないな…」
さすがの彩さんも呆れていたが、気にせず背中に当たっている巨大な二つの塊を堪能することでこの場はよしとする事にした。
ドタバタな初入浴が終わるとダイニングキッチンに食事が用意されていた。
国民食Aである。
”food battle”であんかけチャーハンを見たあとだとこれじゃない感が半端なく襲ってくる。
食事に関してはもう昨日までの私とは決定的に変わってしまったのだろう。
それは佐伯さんも彩さんも一緒だと思う。
思うことはあるがつつがなく初日の食事は終わった。
3人共通ベットルーム
ベットに競泳選手のように飛び込み、はしゃぐ綾さん。
「うっひょうーーこのベットもふっかふかだー」
先ほどまでしっかりベットメイクされていたその場所は、彩さんの蛮行でもうぐちゃくちゃになってしまっていた。
あのベットはもう綾さんにつかってもらおう…
「佐伯さん。あのベットはもう綾さんに使ってもらうとして、どっちのベット使いたい?」
「あっち」
3つあるベットの中で一番左側のベットを指差した。
そのベットは綾さんから一番離れており、今までの会話や二人のキャラを鑑みた結果、なんとなく察してしまい、佐伯さんに左側のベットを譲ることにした。
就寝時間が近いようだ、少し照明の明るさが先ほどより落ちている。
「彩さんもいってたけど。3人で頑張って早くここから抜け出そうね」
「ああ。その通りだ」
「うん。パソコンがない生活とか考えられないし…それにローゼンバーグにも会いたい」
「ローゼンバーグ?誰それ」
「うちの犬」
「犬?かっこよすぎるでしょその名前」
「あはは」
「ひどい!うちの犬の名前を笑うとか!でも…そうねやっぱり変かも。ふふ…あはははは」
最初は感情を押し殺して笑いを堪えていたが、なんだかよくわからないツボに入ったのか、はたまた張り詰めていた緊張が解けたのか佐伯さんが声を上げて笑い始めた。
つられるようにして他のベットにも笑いが誘爆し、深夜12時、三人で目に涙をためながらひーひー笑いころげた。
笑いつかれた3人は程なくして眠りについた。