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不定期日記  作者: O馬鹿者
2025年(令和7年)
28/31

9月3日(水)

 一昨日、ここ最近ずっとやっていた、clusterというメタバースのアカウントを削除した。

 そこで「発達障害、精神障害らの座談会」や「ひきこもり友の会」などのタイトルで少しイベントをやってみたのだが、自分の考えていた形にはならず、また自分自身、ホストとして話をまとめたり進行係をする能力もないので、自然空中分解するのがオチとなってしまう。

 なんだかんだ四時間イベントを開いて、一人か二人は毎回来てくれるのだが、そうなるともう、自分が寂しいときに配信感覚でイベントをするという、悪循環になってしまう。これはすでに自分自身のエゴであって、座談会云々という話ではない。

 結局、最後の回では参加者同士が口論になってしまい(ボイスチャットで)、自分はそれを特に諫めるということもせず、ただ見ているしかなかった。

 誰も話し相手がいなくなると、どんなワールドにいってもただ虚しいだけ。そもそもバーチャルリアリティ自体、自分はそこまで魅力を感じない。結局のところ、人工的につくられた世界。それを考えると、やはり虚しい気持ちになってくる。

 そして一昨日、アカウントを削除してしまった。結局自分は、現実でもネットの世界でも、人と繋がることはできないのだと思った。

 誰か悲しんでくれるかな、ショックを受けてくれるかな、などの意図もあった。後追い自殺ではないけれど、フレンドさんが自分に続いてアカウント削除したり……そうでなくとも何かプロフィール欄の文章にちょっと変化があったり……自分がいなくなることで波紋のように、小さな感情の変化が、顔も合わせたことのない赤の他人に起きるんじゃないかという、淡い期待。

 アカウントを消すことは仮の自殺のようなものなんだろうか、と思ったりする。

 完全にその世界から存在を抹消する。もうチャットをすることも、メールを送ることもできない。それはある意味、電脳世界内での死そのもの……ではないかと考えたりもした。

 だいぶ、大げさな考えではあるけれど。



 そんなこともあった後で、昨日は久しぶりにお世話になっていた支援員さんと面談した。

 繋いでもらった清掃のパートをやめて“自分で仕事を探してみる”と伝えて以来、一度電話連絡は頂いたものの、直接会って相談にのってもらう機会はなかった。

 こちらからそう言った以上、また頼るというのはカッコ悪いのでしたくなかったのだが、家の状況が少々混沌としてきて、そういうわけにもいかなくなった。

 父が、今の家(2DKの長屋)で暮らすのは難しい。築五十年の古い家なので冬は隙間風だって入るし、民間の家だから何かあったときに追い出される心配もある。犬もいる。だったら復興住宅に移った方がいいのではないかと言い出した。

 うちは家族全員障害者なものの、被災者ではないので、優遇処置は受けられないらしい。ただペット可で、今よりも広い場所に移れ、しかも県で管理しているならば、そこの方が良いのではないか、というのが父の持論。“俺が死んだ後もお前たちが住めるだろ”と、そういうことも考えてくれているらしいが、正直気が進まない。

 市街地から八キロほど離れた場所で、スーパーやコンビニもすぐ近くにない。最寄り駅も無人駅の、完全に田舎な郊外という感じの土地。近所付き合いもリセットされ、町内会にも参加しなければならない。

 なんだか実感が湧かないし、それに生まれた頃から住んでいるこの家を離れることに、強い抵抗がある。自分だけがどこかに移るならともかく、完全に帰る家がなくなってしまうというのは、精神的にとても強い負荷がかかりそうだ。

 なので最初は母とともに反対していたが、「俺一人でも移る」と父も譲らないし、それにこの間はいろいろ思うことがあったのか嗚咽を漏らして泣いていたりもしたので、もう移るしかないのかと半分諦めている。

 ただ、自分自身、若干気分の落ち込みがあるので、一度グループホームに移ろうかと思っている。家族と距離を置きたい。収入はA型作業所に通うか、清掃の短時間パートを見つけるか……とにかく最低限の収入を確保して、家の手伝いなどもしながら一人でいようかと。

 ずっとA型というのもいやなので、同時にExcelとWordなども、軽くやってみようかと思っている。今現在も、アニメ絵が出てきてゲーム感覚で遊べる特打ち式のソフトを使い、Excelの部分をやってはいる。

 国にも公的機関にも、人的金銭的に支援されている。でも、やっと自分のなかで自我の枝が伸びてきた自覚がある。どうにかどこかへ伸びていけるようにできないものかと、最近はよく考える。

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