表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎焔の鎧  作者: なとな
第5章 妖精の島
79/122

第5章13話 火と勇気の首飾り

 目を覚ますと、俺の体は柔らかく大きなベッドに沈んでいた。ふかふかの感触が心地よく、まるで雲の上に寝転がっているような気分だった。神殿で修行していた間は、簡易ベッドと呼ぶのも憚られる硬い寝台で眠っていたから、ここがどこなのか一瞬見当がつかなかった。頭の中がぼんやりと霞む中、素直な感想が浮かぶ。


「ここ、どこだ……?」


だが、その疑問はすぐに解けた。窓の外に見える風景は、陽光に照らされた白い砂浜と青い海。まだあの島のようだ。見慣れた景色が、俺の心を少し落ち着かせてくれる。

 となれば、ここは神殿の主の寝室と考えて間違いないだろう。豪華な装飾が施された部屋の雰囲気や、ベッドの贅沢な作りからしても、そうとしか思えない。


「目覚めたか、アクイラ殿。ここは神殿の私の部屋だ」


 聞き慣れた声が響き、そちらに視線を向けると、ヴァルキリーがそこにいた。驚くことに、彼女もまた同じベッドに腰掛け、俺をじっと見つめている。朝の光が彼女の金色の髪を輝かせ、まるで絵画のような美しさだった。


「アカンサは?」


 俺が尋ねると、ヴァルキリーは穏やかに答えた。


「彼女は今、厨房で料理の真っ最中だ。三日も眠り続けていた君が、いつ目を覚ましてもいいように、朝食をたっぷり用意してくれているよ」

「三日……? そんなに寝てたのか。って、アカンサ、いい奥さんになりそうだな」


 俺が軽口を叩くと、ヴァルキリーはくすっと笑った。


「そうだな。アカンサは本当にいい女だよ」


 彼女の微笑みは、まるで聖女そのものだった。あ、違う。この人、本物の聖女だったっけ。俺はそんなヴァルキリーの笑顔に思わず見惚れてしまう。彼女の瞳は優しく、どこか深い温かさに満ちていて、つい心が引き込まれそうになる。だが、すぐに我に返り、頭に浮かんだ疑問を口にした。


「……なんで俺をここに連れてきた? 処刑する前に最後の晩餐でも振る舞ってくれるって感じか?」


 半分冗談で言ったつもりだったが、ヴァルキリーは不思議そうな顔で首を傾げた。


「処刑? ふふ、面白いことを言うね。君が目覚めたら真っ先に行われるのは、火の聖女からの祝福だよ。つまり……私と、契りを交わしてほしい」


 そう言いながら、ヴァルキリーは俺をベッドに押し倒してきた。彼女の動きはあまりにも自然で、俺は一瞬状況を飲み込めなかった。え、つまり……俺、認められたってことか?


「認めてくれるんですか?」


 俺の声には、どこか信じられない気持ちが滲んでいた。ヴァルキリーは静かに頷き、俺を見つめる瞳には確かな意志が宿っていた。


「そうだ。君は私に選ばれた。これで君の祝福は二つ目だ」


 そう言うと、彼女はそっと俺に口づけをしてきた。柔らかい唇が触れ合い、彼女の舌が俺の口内に滑り込んでくる。その瞬間、頭の中が真っ白になり、ただ彼女の温もりに身を委ねるしかなかった。彼女の舌が俺の舌と絡み合い、甘い熱が体を駆け巡る。

 思わず小さく声を漏らしてしまったが、ヴァルキリーはすぐに唇を離した。彼女の目はいたずらっぽく輝き、俺の反応を楽しんでいるようだった。俺も負けじと舌を動かし、彼女に応える。

 しばらくして、ヴァルキリーは俺の唇から離れ、ふっと微笑んだ。


「君になら、祝福の証を渡してもいい」


 そう言うと、彼女は再び俺にキスをしてきた。今度はさっきよりも深く、長く。彼女の息遣いが近く、俺の心臓はどくどくと高鳴る。やがて唇が離れると、今度は首筋に彼女の舌が這う。ぞくっとする感覚に体がビクつくたび、ヴァルキリーは楽しそうに笑い、さらに強く吸ったり、軽く甘噛みしてきたりする。

 俺はそのたびに体を跳ねさせてしまうが、彼女はお構いなしに続ける。まるで俺の反応を試しているかのように、彼女の動きは大胆で、どこか愛らしい。

 ようやく満足したのか、ヴァルキリーは首筋から唇を離し、今度は俺の胸にそっと手を置いた。


「祝福の証を渡す以上、私は君のものになってしまったな……喜ぶことを許可するよ」


 彼女の声には自慢げな響きがあり、微笑みは普段の凛々しい彼女とは違う、少女のような可愛らしさに満ちていた。俺はその表情にまたしても心を奪われそうになる。

 ヴァルキリーは俺の耳元で囁くと、そのまま耳を舐めてきた。くすぐったさと熱さに、俺は思わず声を上げてしまう。それでも彼女は構わず続け、俺の反応を楽しみながら舌を動かす。やっと解放されたとき、俺の頭はもうクラクラしていた。


「これからよろしく頼むぞ、アクイラ殿」


 ヴァルキリーはそう言うと、俺の額に軽くキスをしてきた。その仕草があまりにも自然で、俺はただ彼女に見惚れるしかなかった。


「ああ、よろしくな」


 俺が答えると、彼女はまた微笑んでくれた。その笑顔は、今まで見たどの瞬間よりも美しく、心の奥に刻まれるようなものだった。そして、彼女はもう一度俺にキスをしてくる。舌が絡み合い、熱い吐息が混ざり合う。俺はそれを受け入れ、彼女と心を通わせるように舌を動かした。

 しばらくして唇が離れると、今度は首筋を舐められる。彼女の舌が這うたび、俺の体は熱を帯びていく。

 ヴァルキリーは微笑みながら、俺の頬に軽く口づけをした。

 ……こいつ、キス好きすぎだろ? 内心でそんなことを思わずにはいられなかった。


「アクイラ殿……祝福の証を受け取ってもらえるか?」


 ヴァルキリーが真剣な目で尋ねてくる。俺は笑って答えた。


「おいおい、そのためにずっとここで頑張ってたんだぞ? 受け取らないわけないだろ」


 俺の言葉に、彼女は嬉しそうに笑い、再び俺に口づけをしてきた。舌が絡み合う濃厚なキスは、まるで時間を忘れさせるようだった。

 ……この娘、絶対キス魔だな? 俺は心の中で苦笑しながら、彼女の熱に身を委ねた。

 やがて満足したのか、ヴァルキリーは唇を離し、そのまま俺の胸に顔を押し付けてきた。彼女の髪が俺の肌に触れ、柔らかい感触が心地よい。


「すまない……つい我慢できなくてな……」


 ヴァルキリーは照れたように頬を赤らめる。その姿があまりにも可愛らしく、俺は思わず彼女の頭を撫でてしまう。すると、彼女は気持ち良さそうに目を細め、まるで子猫のようだった。そんな彼女を見ていると、俺の心も温かいもので満たされていく。

 しばらくヴァルキリーの頭を撫でていたが、彼女が満足したのか俺の手から離れると、今度は俺が彼女の髪を撫でる番だ。彼女の金色の髪はサラサラで、まるで絹のよう。ずっと触っていたくなるような手触りに、俺はつい夢中になってしまう。

 そんなことをしていると、ヴァルキリーが俺の上に覆い被さってきた。そして、そのまま俺の胸に顔を埋めてくる。


「落ち着くな。私もこんな風になるなんて、思わなかったよ」


 彼女の声は穏やかで、どこか幸せそうだった。俺はそんな彼女の髪を優しく撫で続ける。ヴァルキリーは気持ち良さそうに目を細め、ゆっくりと顔を上げた。その表情は、今まで見たどの瞬間よりも優しく、穏やかなものだった。


「私は今まで多くの人間を見てきたが、君のような男は初めてだ」


 ヴァルキリーはそう言いながら微笑むと、再び俺に口づけをしてきた。柔らかい唇が触れ合い、俺の心はまた彼女に引き寄せられる。

 そのとき、ドアがノックされ、俺とヴァルキリーは慌てて離れた。

 扉を開けたのはアカンサだった。食事の準備ができたと寝室にやってきた彼女は、三日ぶりに目を覚ました俺を見て目を丸くする。


「アクイラ!? ……もう起きられるのね!」


 アカンサの声には驚きと喜びが混ざっていたが、すぐに彼女らしい明るい笑顔が広がる。


「ちょっとくらいは心配してあげましたのよ?」

「ありがとうな。でも、もう大丈夫だ」


 俺は笑って答え、ベッドから降りて立ち上がった。まだ少し体がふらつくが、問題ないだろう。ヴァルキリーが俺の手を取り、食堂へと向かう。


「では、早速食事にしよう」


 彼女の声は軽やかで、俺はその手を握り返しながら、温かい気持ちに包まれた。

 食後、俺はヴァルキリーとアカンサに呼ばれ、神殿の一室に足を踏み入れた。そこには二人のほかに、ジェンマとアウロラもいた。部屋には荘厳な雰囲気が漂い、壁に飾られた炎の紋章が静かに輝いている。


「それでは、これを受け取ると良い。火の聖女の祝福の証、火と勇気の首飾りという。さあ、つけたまえ。私からの愛だ」


 ヴァルキリーが差し出した首飾りは、赤い宝石が炎のように輝き、まるで命を宿しているかのようだった。俺は少し照れながらも、それを受け取り、首にかける。

 ……聖女って、全体的に愛が重いんじゃねーか? そんなことを思いながら、宝石の温もりに触れると、不思議と力が湧いてくる気がした。


「お、おう」


 俺の言葉に、ヴァルキリーは満足げに微笑んだ。首飾りの光が俺の道を照らし、これからの旅路を導いてくれるような、そんな予感がした。

 火の聖女からの祝福を受けたこのペンダントは、火と勇気の象徴。その名前は「火と勇気の首飾り(ペンデンティス・ウィルトゥティス・イグニス)」。

 デザインは美しく、赤い宝石が炎のように輝いている。この宝石の輝きは、炎の燃え盛る勢いを思わせ、その情熱と勇気を象徴している。


 このペンダントを身につける者は、火の聖女の祝福を感じることができます。その祝福は、持ち主に対して不屈の勇気と情熱を与えます。火の聖女は、燃え盛る炎のような情熱と勇気を象徴しています。その力は、持ち主が困難な状況に立ち向かい、自らの信念に従って行動する勇気を与えます。


 また、このペンダントは持ち主の心に勇気を鼓舞し、情熱を燃やす効果を持ちます。赤い宝石の輝きは、持ち主の心を奮い立たせ、困難に立ち向かう意志を高めます。そして、その情熱と勇気は、持ち主が自らの目標や夢に向かって進む助けとなります。


 「火と勇気の首飾り」は、単なる装飾品ではありません。それは、火の聖女からの勇気と情熱の贈り物です。このペンダントを身に着けることで、持ち主は自らの内に眠る勇気と情熱を目覚めさせ、自分自身と世界に対して輝くようになるでしょう。そして、それは火のように灼熱の情熱と勇気をもたらすことを象徴しています。というプラシーボ効果が!!!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ