第5章8話 宝石の魔法
アカンサが大樹をノックした瞬間、森の奥が一瞬静まり返った。木々のざわめきが止まり、朝霧が薄く漂う中、紅い光がふよふよと浮かび上がる。光の球が朝陽に照らされ、小さな炎のように揺らめく。光が収まると、深紅の瞳の妖精が現れた。彼女が俺たちを見回し、ふわりと笑う。
「アクイラって言うのね! 私はアウロラ・イグニカ! 夜明けの妖精よ」
「夜明け?」
「ええ! 太陽の光が登ってくる前の、夜と朝の間って意味よ」
「いや、意味は分かるけど」
夜明けの妖精って何をするんだ? よく分からないが、アカンサの友達らしい。彼女はクリーム色のシルクブラウスを着てて、高い襟と長袖が優雅だ。袖口と襟元に赤い刺繍が入り、体のラインに沿ったデザインが動きやすそう。深紅のベルベットスカートが膝下まで伸び、ゴールドのトリムが朝陽に光る。首には炎モチーフの金のペンダント、耳には赤いルビーのイヤリングが揺れてる。足元は赤い革ブーツで、低いヒールが森の地面でも安定してる。彼女の金髪が風に揺れ、深紅の瞳が俺をじっと見つめる。アウロラが飛び回ると、スカートが軽く捲れ、白いショーツがチラッと覗く。朝陽に照らされて、柔らかい太ももが一瞬光る。なるほど、白か。
「アカンサから話は聞いたわ! 祝福の証を集めるためにヴァルキリーのとこに行きたいのね!」
「ああ」
俺が素直に答えると、アカンサが口を開いた。彼女の緑のレザージャケットが朝露で濡れてて、白いシャツが汗で体に張り付いてる。革ショートパンツから伸びる白い太ももが少し汚れてて、森の土が付いてる。
「アクイラは火の聖女の場所を知りたいの。誰か案内できる妖精はいるかしら? ちなみに彼は地の調和の指輪を持っているわ」
「あら? 貴方、地の祝福の証を持ってんのね! 聖女が選んだ相手なら問題ないわ! それに貴方、火属性の魔法使いね!」
アウロラが目を輝かせて飛び回る。羽が薄く光り、森の葉擦れ音に混じって微かな羽音が響く。飛べるのか、妖精族。彼女が俺の手を掴むと、そのまま飛び立った。だが、俺が浮けるわけじゃねえ。結局、俺だけ走る羽目になる。アカンサはゆっくり歩いてて、森の地面を革ブーツで踏みしめる。こいつ、最初からヴァルキリーの場所を知ってたんだろうな。朝露が草を濡らし、足元が少し滑る。木の根が地面を這い、時折つまずきそうになる。
「お嬢さん!」
「あたくしは走りませんわ」
「じゃあ俺が背負っていこう」
俺はアカンサを背負った。彼女がぎゅっと抱き締めてくる。革ジャケットの下のシャツが薄く、汗で濡れてて、胸の柔らかさが背中にしっかり伝わる。巨乳を背負う機会は少ないが、今度リーシャでも背負ってみるか。薄着の時がいいな。アカンサもジャケットの下は薄いシャツで、体温がダイレクトに伝わってきて、結構やばい。彼女の腕が俺の胸に回り、革手袋の硬い感触と柔らかい胸のコントラストがたまらない。走るたびに彼女の体が揺れ、背中に擦れる。革の匂いと甘い香りが混じり、頭が少しクラクラする。彼女の太ももが俺の腰に当たって、ショートパンツの裾がずれて白い肌が覗く。
「? アクイラ、何を考えてるの?」
「お前のことを考えてたんだよ」
「…………ああ、胸?」
「…………」
「あ、図星?」
アカンサが悪戯っぽく笑う。彼女の金色の瞳が俺をからかうように光る。俺は何も答えず、森の中を走り続けた。木々の間を抜ける風が冷たく、顔に当たる。地面の落ち葉が足に絡み、軽い土埃が舞う。
「まあ、お前の胸は嫌いじゃないよ」
「あら? 今、好きって言ったら触らせてあげたのに」
「大好きです」
「もう遅いわよ。でもぎゅってしてあげる」
アカンサが背中でぎゅっと抱き締めてきた。胸の感触がさらに強く伝わり、柔らかさと温かさが背中に染みる。彼女の体が俺に密着し、ショートパンツの裾が少しずれて太ももが擦れる。心臓が少し速くなり、走るリズムが乱れそうになる。
「アクイラ、アカンサ。着いたわ」
アウロラがそう言った。しばらく走ると、森の中にひっそり佇む小さな神殿が見えた。白を基調とした建物で、屋根や壁に赤いレンガが使われてる。入り口の両脇には二体ずつの石像が立ち、天使のような姿だ。翼が生えてたり、頭上に光輪があったり、厳かな雰囲気が漂う。神殿の周囲は静かで、木々のざわめきと鳥の声だけが聞こえる。朝霧が薄く残り、石像の表面が湿気で光ってる。入り口に赤い絨毯が敷かれ、微かに焦げた跡が残ってる。神殿の壁には苔が少し生え、森の湿気が染み込んでる感じだ。石像の足元には小さな花が咲いてて、朝露に濡れて光ってる。森の奥から微かな水音が聞こえ、神殿の静けさが一層際立つ。
「さてと……ここは手伝うわ」
アカンサが構えた。彼女の革ジャケットのポケットから毒針が覗き、白いシャツの紐が緩んで汗で濡れた首筋が露わになる。手伝うって何だ? そう思ってると、二体の石像が動き出した。ガリガリと石が擦れる音が響き、森の静寂が一気に破れる。
「シンニュウシャ! シンニュウシャ!」「ハイジョ! ハイジョ!」
石像が俺たちに襲いかかってきた。石の足音が地面を震わせ、埃が舞う。俺は慌てて拳を構え、アカンサが魔法を唱える。彼女の声が森に響き、毒の気配が微かに漂う。
「アクイラ、この神殿の守護神よ! 倒さないと通してもらえないわ!」
「なるほど」
俺は両手に魔力を集中させた。炎の熱が手に集まり、拳が軽く震える。手のひらが熱くなり、汗が滲む。
「炎の守護、我が身を囲みて鎧となれ。炎焔の鎧!」
詠唱が終わると、俺の体に炎の鎧が纏われた。オレンジの炎が体を包み、熱が肌に染みる。地面の落ち葉が焦げ、軽い煙が上がる。俺は石像に向かって駆け出した。足音が土を叩き、炎が風を切る音が耳に響く。
「うおおおお!」
石像に殴りかかると、二体が左右に分かれて俺を囲んだ。右の石像が拳を振り下ろし、俺はしゃがんで避ける。石の拳が地面を叩き、土が跳ねる。左の石像が拳を繰り出し、横に飛びつつ殴り返す。炎が石に当たって焦げる音が響き、石像が少し後退する。右の石像が再び殴りかかり、左腕で受け止めた。石の重い感触が腕に響き、熱い鎧が石を焦がす。俺は石像の腕を右手で掴み、背負い投げした。地面に叩きつけると、衝撃で土が跳ね、森の地面が揺れる。石の割れる音が響き、埃が舞う。
「アクイラ! 後ろよ!」
アカンサの声で振り返ると、背後の石像が拳を振り下ろしてきた。避ける間がなく、背中に直撃する。俺は吹き飛ばされ、地面を転がった。土と草が体に絡み、鎧の炎が一瞬弱まる。背中がズキズキして、息が詰まる。
「ぐあっ!」
体が痛むが、立ち上がって拳を構えた。今度は俺から突っ込む。石像の拳を左腕で受け止め、右手で殴り返す。石が熱で焦げる匂いが鼻をつく。
「おらあ!」
石像が壁に叩きつけられ、ガラガラと崩れる音が響く。アカンサの声が聞こえた。
「アクイラ! やっちゃいなさい!」
俺は拳に魔力を込めた。右手が熱くなり、炎が巨大な玉に変わる。振りかぶって投げると、炎の玉が石像に命中し、爆発が起こる。煙が立ち込め、土埃が舞う。神殿の壁に焦げ跡が残り、地面に小さな穴が開く。
「やったか!?」
煙の中から二体の石像が姿を現した。まだ動いてやがる。石の表面にひびが入ってるが、動きは止まらない。
「シンニュウシャ! ハイジョ!」「ハイジョ! ハイジョ!」
石像が手を向け、光が集まり始めた。光の矢が放たれ、俺に襲いかかる。鋭い音が空気を切り裂き、慌てて避けるが、次々と飛んでくる矢に当たっちまう。鎧が光を弾くが、衝撃が体に響く。
「ぐっ……!」
膝をつくと、アカンサが駆け寄ってきた。彼女が俺を抱き締めるように支える。革の匂いと汗の混じった甘い香りが鼻に届き、彼女の体温が俺を包む。ショートパンツの裾が少しずれて、白い太ももが俺の腕に触れる。
「まだ立てるかしら?」
「ああ……悪いな」
アカンサに支えられ立ち上がる。石像を睨む。まだ戦わなきゃいけないみたいだ。彼女の胸が俺の腕に当たり、柔らかい感触が一瞬気を紛らわす。
「炎の守護、我が身を囲みて鎧となれ。炎焔の鎧!」
再び炎の鎧を纏い、石像に向かって駆け出した。振り下ろされた拳を左腕で受け止め、勢いよく殴りつける。石像が吹き飛び、壁に激突するが、すぐに起き上がる。俺はもう一度拳を振り上げ、渾身の力で殴り飛ばした。地面に倒れた石像を破壊しようとするが、硬くて手こずる。石の表面がひび割れてるが、完全には砕けねえ。
「アクイラ、アドバイスよ。ジェンマを使いなさい」
「ジェンマを使う?」
「ええ、彼女の力を借りるのよ! 祝福の証に向かって彼女を呼びかけなさい!」
俺はジェンマに呼びかけた。指輪を握り、熱い思いを込める。
「ジェンマ! お前の力を貸してくれ!」
指輪から黄色の光が漏れ出し、ジェンマが現れた。彼女が微笑み、ハンマーに変化する。赤みがかったブラウンリネンブラウスと茶色スカートが光に溶け、ハンマーの柄に赤い刺繍が浮かぶ。手に持つと、軽い振動が伝わる。
「おい! 俺、ハンマーなんて使ったことないぞ!!」
「使えるわ……貴方にはジェンマがいるじゃない?」
アカンサが優しく笑う。彼女の金色の瞳が火の光に映え、俺を励ますように輝く。俺はジェンマを構え、石像に向かって走った。ハンマーを振り下ろすと、衝撃で石像が砕け、光の粒子となって消えた。地面に小さなひびが入り、土埃が舞う。
「やったか!?」
背後から声が聞こえた。振り返ると、もう一体の石像が立ってた。さっきより動きが速く、簡単には倒せそうにない。石の表面にひびが増え、動きが鋭くなってる。俺はハンマーを構え、考える。ジェンマの声が響く。
「……アクイラ! 私の魔法を使って!」
「え? いや、俺は炎焔の鎧しか使えないぞ!」
「違うわ、貴方は今、彼女の魔法も使えるのよ」
アカンサが言うと、石像が襲いかかってきた。ハンマーで殴るが避けられ、逆に蹴り飛ばされる。地面に倒れ、石像が俺に跨り首を絞めてきた。石の冷たい感触が首に食い込み、息が詰まる。
「うぐっ……あ……」
「アクイラ!! 貴方の頭の中に浮かぶ魔法を詠唱するのよ!!」
アカンサの声が聞こえる。意識が朦朧とし、息が詰まる。ハンマーが光り出した。彼女の焦った声が耳に響く。
「アクイラ! 唱えて!」
石像の力が強まり、首が締まる。視界が暗くなり、息ができない。必死にジェンマに呼びかける。
「ジェン……マ……」
頭に宝石のイメージが浮かぶ。光り輝くダイヤモンドが目に焼き付く。
「大地の恵みよ、我が鎚に宝石の輝きを纏わせよ。宝石鎚化」
詠唱が終わると、ハンマーが黄色に輝き、俺の体も光に包まれた。ハンマーが巨大なダイヤモンドに変わり、軽い感触が手に伝わる。重さが消え、力が湧いてくる。
「重くない……でもこれは……」
身軽になった宝石鎚で石像の拳を弾き飛ばした。石が砕ける音が響き、ハンマーの力が俺を支える。石像が高速回転しながら襲いかかってきた。俺はハンマーを振り回して防ぐ。石の腕が俺に当たり、鎧が衝撃を吸収する。勢いよく殴り飛ばすと、石像が壁に叩きつけられ倒れた。壁にひびが入り、土埃が舞う。アカンサが叫ぶ。
「アクイラ! もう一撃よ!!」
「おう!」
ハンマーに魔力を込め、振り下ろす。黄色の光線が放たれ、石像に命中して爆発した。光が森を照らし、石像が跡形もなく消える。土埃が舞い、森が一瞬静まり返る。地面に小さなクレーターが残り、焦げた匂いが漂う。
「やったのか?」
ハンマーを下ろすと、ジェンマが手のひらに戻り、小さく輝いて消えた。指輪が微かに温かくなり、彼女の気配が戻る。
「よくやったわ、アクイラ」
「あ、ああ……そうだな」
呆然としてる。ジェンマの力なのか、炎焔の鎧が強制解除されてた。彼女を武器として使う間は、俺の魔法が使えず、ジェンマの魔法だけが使えるらしい。アカンサが手を差し伸べてくる。彼女の革手袋が土で汚れ、ショートパンツの裾が少しずれて白い太ももが覗いてる。
「ありがとう、ジェンマ」
ジェンマが指輪に戻り、俺はアカンサの手を取った。彼女の手に汗が滲み、温かい感触が伝わる。二人で神殿の中へ進む。神殿内部は白い大理石が輝き、天井から光が差し込む。壁には炎の模様が彫られ、赤い絨毯が中央に敷かれてる。空気が少し熱を帯び、微かな焦げ臭さが漂う。中央にヴァルキリーが立ってた。深紅のシルクチュニックが体にフィットし、金の刺繍が炎を象徴してる。深紅のサテンロングスカートが広がり、ゴールドのトリムが光る。彼女の高貴さと戦士の強さが際立ち、炎の聖女そのものだ。スカートの裾が軽く揺れ、朝陽に照らされて深紅が鮮やかに輝く。彼女の瞳が俺を捉え、鋭い視線が突き刺さる。
「予想より……3日と半日早かったな、アクイラ殿」
ヴァルキリーの声が神殿に響く。低くて落ち着いた声が、森の静けさを切り裂く。俺は彼女の姿に圧倒され、言葉が一瞬詰まった。
属性について
地属性は主に土、植物、金属に関連する魔法が使え、亜種として毒属性が存在します。
水属性は主に水に関連する魔法が使え、亜種として氷属性が存在します。
風属性は主に風に関連する魔法が使えて、亜種として雷属性が存在します。
火属性は主に火に関連する魔法が使えて、亜種として光属性が存在します。
無属性は属性に分類されない魔法が使えて、無属性の魔力が強大だと闇属性として扱われます。
各聖女は自分の属性と亜種属性を扱うことができます。
無属性及び闇属性には聖女が存在せず、魔王が存在します。




