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炎焔の鎧  作者: なとな
第4章 復讐
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第4章17話 水の聖女

 目が覚めると、俺はベッドに眠っていた。アスカリの寒冷地とはいえ、伯爵家の部屋は暖炉がパチパチと燃え、暖かい空気が漂ってる。木の床には厚い絨毯が敷かれ、壁には古びたタペストリーが掛かってて、どこか懐かしい雰囲気がする。ベッドの中にはセレナとエリスが潜り込んでいて、テラとリーシャが近くの椅子に座って眠ってる。暖炉の火が彼女たちの顔を淡く照らし、静かな寝息が部屋に響く。夜中のようだ。外の窓からは冷たい風の音が微かに聞こえ、カーテンがその風に揺れてる。俺は薄い灰色の長袖シャツと黒いズボンだけの寝やすい格好で、左手の指には大地と調和の指輪アヌルス・コンコルディエ・テッラエが嵌まってる。指輪の黄色い宝石が暖炉の光に鈍く映り、ベッドの木枠に微かな影を落とす。


「俺は…………そうか俺…………」


 俺は明日の朝を迎えられないんだな。当然だ、あの砲弾を受けたんだから。頭が重く、身体に微かな痺れが残ってる。暖炉の熱が部屋を温めてるけど、心の中は冷たいままだった。ベッドのシーツが少し汗ばんでて、俺の身体がまだ戦いの疲れを引きずってるのが分かる。


「ルーナは?」


 周囲を見渡すが、彼女の姿がない。部屋の中には暖炉の火が揺れる影と、眠る四人の姿しかない。どうしようか。俺はもう死ぬんだ。なら、せめて最後に彼女の姿を一目見たいと思う。暖炉の火が小さく鳴り、部屋の隅に置かれた古い木製の椅子が微かに軋む。窓の外から冷たい風が吹き込む音が耳に響き、心が締め付けられる。


「ルーナ……」


 いや、むしろ未練になりそうだ。死を受け入れてしまおう。暖炉の熱が俺の顔を微かに温め、ベッドのシーツが俺の身体に絡みつく。窓のカーテンが風に揺れ、部屋に微かな冷気が忍び込む。

 それはそれとして、明日死ぬなら好き勝手やるのもいいな。寝てる女の子が四人もいるんだ。暖炉の火が彼女たちの姿を淡く照らし、静かな寝息が部屋に響く。


俺は眠っているみんなの服をはだけさせ、イタズラしていた。

 部屋の扉が開きセリカとアカンサが入ってきた。


「何をしているのアクイラ?」

「あらあら? お楽しみ中でしたか?」


 セリカがドン引きした声で、アカンサがニヤニヤしながら俺に声をかける。暖炉の火が彼女たちの顔を淡く照らし、微かな影が揺れる。俺は慌てて服を正して言った。


「えっと…………どうせ死ぬならと思いまして…………」


 俺がそう言うと、アカンサが笑い出した。彼女の笑い声が部屋に響き、暖炉の火が一瞬強く揺れる。そしてセリカがため息を吐きながら伝える。彼女の声が部屋に低く響き、正門の記憶が微かに蘇る。


「貴方は死なないわ。水の聖女様が治療してくれたもの」

「え? …………水の聖女?」


 ありえない。水の聖女は現在欠番でいないはずだ。だから誰も水の聖女と呼ばれないんだ。呼ばれるはずがないんだ。…………いいや、彼女はきっと名乗り出るだろう。暖炉の火が部屋を淡く照らし、微かな熱気が俺の顔を温める。


「水の聖女様…………ルーナはどこにいますか?」


 俺がそう聞くと、セリカが答える。彼女の声が部屋に響き、暖炉の光が一瞬強く揺れる。


「ルーナ様は別の部屋よ。魔力を使い果たして眠られてるわ」

「……そうですか」


 俺はそれだけ言って部屋を出ることにした。暖炉の火が小さく鳴り、部屋の隅に置かれた古い椅子が微かに軋む。その後を二人がついてくる。セリカのメイド服が微かに揺れ、アカンサのブラウスが暖炉の光に映える。


「何だよ?」

「彼女はこれから中央教会へ護送されるの」

「……中央教会。そこで彼女は何を?」

「聖女と発覚したのですから当たり前でしょ?」

「もし聖女になったらどうなるんだ?」

「中央教会に連れていかれて、まずは歓迎の儀式ね。そこですべての聖女と顔合わせをするわ。良かったじゃない。私に聞くまでもなく、火の聖女様もそこに行くわ」


 アカンサが言う。暖炉の火が彼女の顔を淡く照らし、微かな笑みが浮かぶ。そういえば、ここに来たのもアカンサの依頼を受けて、火の聖女様の居場所を教えて貰う予定だったんだよな。まあ、ルーナの仇と思われる大男がいる以上、来ない選択肢はなかったんだけどな。暖炉の熱が部屋を温め、微かな木の香りが漂う。


「俺もその儀式に参加できるか?」

「参列者で良いならできるわよ。火の聖女の付き人として特別に良い席を用意してあげるわ」


 アカンサが俺にそう言うと、こいつにしては珍しく優しく微笑んだ。暖炉の光が彼女の顔を淡く照らし、その笑顔が微かに揺れる。俺はその笑顔を見て少しドキッとしたが、すぐに気持ちを切り替えて言う。


「いつも悪いな。頼ってばかりだ」

「幼馴染でしょう? 気にしないで」


 アカンサが言う。幼馴染でも、有難いものだ。暖炉の火が小さく鳴り、部屋の隅に置かれた椅子が微かに軋む。俺はそれだけ言って部屋を出る。そして自分の部屋で休むことにした。暖炉の熱が背中に残り、廊下の冷たい空気が俺を包む。

 翌朝、朝日を浴びても俺は死ぬことはなかった。窓から差し込む光が部屋を照らし、暖炉の残り火が微かに揺れる。本当に灰になってないか不安になったが、どうやら無事のようだ。暖かい空気が部屋を満たし、ベッドのシーツが俺の身体に絡みつく。俺はルーナの部屋に向かう。廊下の木の床が微かに軋み、窓の外から冷たい風の音が聞こえる。部屋の前で少し悩んだが、思い切ってノックをした。


「ルーナ? いるか?」


 俺がそう聞くと、すぐに扉が開いた。ルーナがいた。彼女は聖女の衣装を身に纏ってて、暖炉の光がその姿を神聖に照らす。彼女の姿はまるで光を放つようで、見る者の心を奪うほど美しかった。銀糸で織られた純白のシルクチュニックが暖炉の光に映え、首元と袖口には青い刺繍が施されてる。胸元には水を象徴するアクアマリンの装飾がついてて、長袖の袖口は広がりがあり、手首で絞られてるそのデザインが、彼女の動きに合わせて優雅に揺れてる。純白のシルクスカートは足首までの長さで、裾には銀糸で波の模様が刺繍され、青いレースで縁取られてる。彼女が動くたび、まるで水面に浮かぶ蓮の花のようにふわりと揺れる。足元には白いシルクのフラットシューズがあり、靴には銀色の刺繍が施されてて、足首には青いリボンが巻かれてる。暖炉の火がその姿を淡く照らし、微かな影が部屋に揺れる。彼女のアクセサリーは銀とアクアマリンで作られた繊細なティアラが頭を飾り、首にはアクアマリンのペンダントネックレスが輝いてる。耳には同じ石のイヤリング、手首には銀のブレスレットが巻かれてて、彼女の清らかで美しい装いが聖女としての気品を引き立ててる。俺はその姿に目を奪われ、言葉を発することができなかった。


「アクイラさん? どうしたんですか?」


 ルーナの声で我に帰る。暖炉の火が彼女の顔を淡く照らし、微かな寝息が聞こえる。すると彼女は少し困ったような顔をして言った。


「……やっぱり変かな? 初めて着たから不安なんですよね」


 その衣装はあまりにも美しくて、俺には直視できないほどだった。暖炉の光が彼女の姿を神聖に照らし、微かな影が部屋に揺れる。だが、なんとか言葉を絞り出した。


「いや……似合ってるよ」


 俺がそう言うと、彼女が嬉しそうに笑った。暖炉の火が彼女の笑顔を淡く照らし、微かな温もりが部屋に広がる。そして俺の手を取り、部屋の中へと誘う。彼女の手が暖かく、微かな震えが伝わる。彼女の話し方は初めて会った頃に似てた。それでも記憶がなくなったわけじゃなさそうだ。暖炉の熱が部屋を温め、微かな木の香りが漂う。


「呼び方…………ルーナじゃだめだよな?」

「アクイラさんが呼びたいように呼んでいいですよ。私はもう聖女だけど、ベラのことも愛称で呼んでるじゃないですか? 私達…………そんなに距離が遠かったでしょうか?」


 そう言う彼女は、無理をして笑ってるように見える。暖炉の光が彼女の顔を淡く照らし、微かな影が揺れる。俺は思わず彼女を抱きしめてしまった。彼女のコートが俺の腕に触れ、暖かい感触が伝わる。


「あ、アクイラさん!?」

「……ごめん」


 彼女は少し驚いた様子だったが、すぐに俺の背中に手を回してきた。暖炉の火が彼女の背中を淡く照らし、微かな温もりが伝わる。そしてしばらくそのままでいた後、ゆっくりと離れた。暖かい感触が手に残り、微かな香りが漂う。


「……俺がもう少し強ければ、お前は聖女にならなくて良かったんだ!!」


 俺がそう言うと、彼女は少し困った顔をした。暖炉の光が彼女の顔を淡く照らし、微かな影が揺れる。そして答える。


「アクイラさんのせいじゃないです! 私が! 私が今まで逃げてただけで! 私が悪くて! 私がダメで! 私が! …………ごめんなさい」


 ルーナが泣きながら謝り続ける。彼女の涙が暖炉の光に反射し、微かな水滴が床に落ちる。俺はそんな彼女の姿を見ていられなくなり、もう一度抱きしめた。そして頭を撫でながら言う。暖かい感触が手に伝わり、微かな震えが残る。


「もういいんだ。お前が聖女になるのはある意味良かった」

「どうして?」


 ルーナが泣きながら聞き返す。暖炉の火が彼女の顔を淡く照らし、涙が頬を伝う。


「正式に聖女の儀式を終えたら、俺を祝福してくれるか? 水の聖女の祝福を」


 俺がそう言うと、ルーナの目を見る。彼女は涙を流しながらも、笑顔で答えた。暖炉の光が彼女の笑顔を淡く照らし、微かな温もりが部屋に広がる。


「はい! 必ず!」


 二人で笑い合いながら話してると、アカンサが声をかけてきた。彼女は薄紅の長袖シャツに深紫のズボンで、暖炉の火が彼女の顔を淡く照らす。


「貴方たちいつまでイチャイチャしてるの?」


 彼女の後ろからセリカも続いて声をかける。暖炉の光が彼女の藍色のメイド服に反射し、微かな影が揺れる。


「聖女様、そろそろお時間です」


 セリカの言葉にルーナが立ち上がる。暖炉の火が彼女の姿を神聖に照らし、微かな影が部屋に揺れる。


「必ず会いに来てくださいね?」


 ルーナが笑顔で…………でも彼女の心はきっと笑ってないのだろう。暖炉の火が彼女の顔を淡く照らし、微かな温もりが部屋に残る。

■現在の祝福の状況

・地 獲得済み(信愛度高め)

・水 約束済み(信愛度MAX)

・火 未獲得(信愛度、顔見知り)

・風 未獲得(信愛度、顔見知り)

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