第4章16話 たとえこの先が不自由になるとしても
私は最後の瞬間、白い炎を纏ったアクイラさんを見た。アスカリの寒風が正門周辺を吹き抜け、冷たい空気が私の顔を刺す。綺麗な色の炎は彼を包み、空に向かって舞い上がった。白い炎が正門の石畳を照らし、微かな熱気が冷たい風と混じり合う。飛翔できるほどの火力が彼を支え、砲弾を抱えて空に舞う姿は、まるで英雄のようだった。石畳に残る焦げ跡がその炎に映え、寒風がその熱を冷まそうと吹き付ける。正門の鉄扉が微かに軋み、森の木々がざわめく音が遠くから聞こえてくる。私の濃灰のコートが風に揺れてる。激しい戦闘でブラウスが肩から裂け、肌が露わになってる。スカート裾も破れて、下着が剥き出しのままでも…………恥ずかしいという感情や隠そうという行動をとる余裕はない。髪が風に乱れ、冷たい空気が私の頬を冷たく撫でる。日光が私の姿を淡く照らし、正門の石畳に冷たい影を投げかける。
彼の炎は綺麗で、セレナちゃんもテラさんもリーシャさんもエリスちゃんも、ただただ見上げる事しかできなかった。白い炎が空を切り裂き、紫色の霧に包まれる瞬間、私たちの息が白く吐き出され、正門の鉄扉に当たって消える。彼は紫色の霧に包まれ、そして正門の前に落下する。地面に近づくたび、土埃が舞い上がり、寒風がその埃を冷たく運ぶ。石畳に微かな焦げ跡が残り、日光がその跡を淡く照らす。
このままだとアクイラさんが大けがしちゃう。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその不安を増幅させる。
「風よ、我が呼び声に応えて、突風を巻き起こせ。突風召喚」
セレナちゃんがとっさに突風を吹かせてアクイラさんの落下速度を弱める。彼女の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。突風が正門を切り裂き、地面の枯れ葉を舞い上げる。アクイラさんは静かに大地の上で眠った。石畳に彼の身体が横たわり、微かな土埃が彼のコートにまとわりつく。寒風がその土埃を冷たく撫で、正門の鉄扉が微かに軋む。日光が彼の姿を淡く照らし、戦場の空気が一瞬静まる。
リーシャさんがアクイラさんの様子を確認してくれた。彼女が彼のそばに膝をつき、正門の石畳に微かな足跡を残す。
「生きてはいるな…………だが毒が…………事前情報で共有された灰化の魔法だ。アクイラはもう…………」
リーシャさんが呟く。彼女の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。私は呆然と立ち尽くす。私の魔力も底を尽きてる。せめて聖水癒受が使えるくらい回復すれば…………きっとアクイラさんを助けられる。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその痛みを増幅させる。石畳に微かな水滴が落ち、日光に反射して揺れる。
「アクイラさん…………ごめんなさいアクイラさん」
私が泣きながら抱き着く。涙が石畳に滴り、微かな水音が響く。きっと彼も…………灰化する。私の両親と同じように、朝日と共に。私の手が彼のコートに触れ、その冷たい感触が胸を締め付ける。明日の朝までに何としても魔力を回復する。私しか、アクイラさんを救えない。寒風が私の髪を冷たく撫で、正門の鉄扉が微かに軋む。
幸い、ここにいる人達はみんな聖水癒受を知ってるし、私が使わない理由なんてない。いいえ、たとえこの先の自由を失っても、アクイラさんだけは救う。私の決意が胸に熱く燃え、冷たい風がその熱を冷まそうと吹き付ける。正門の石畳に微かな霜が張り、日光がその霜を淡く反射する。
「リーシャさん」
「どうしたルーナ?」
「魔力の回復方法…………教えてください」
私が言う。私の声が寒風に混じり、正門の石畳に低く響く。しかし、そんなに都合よくいくわけないよね。私の胸が締め付けられ、冷たい空気がその不安を増幅させる。そして伯爵家にいた他のみんなもアクイラさんの元に集まってくれた。アカンサさんやセリカさんたちが正門に駆け寄り、地面に微かな足跡を残す。でも今ここで聖水癒受を使えば…………私が何者かばれてしまう。この秘密はお母さんに言われてずっと守ってきた秘密だ。寒風が私のコートを冷たく撫で、正門の鉄扉が微かに軋む。日光がみんなの姿を淡く照らし、戦場の空気が一瞬静まる。
意識のないアクイラさんを見て一番反応してくれたのはメイドのセリカさんだった。彼女が正門の石畳に駆け寄り、地面に微かな足跡を残す。
「アクイラ!?」
セリカさんが叫ぶ。彼女はアクイラさんを大切そうに抱き締める。セリカさんにとってアクイラさんは大切な人だったのかな。彼女の藍色のメイド服が風に揺れ、黒い毛皮のコートが彼を優しく包む。私は普段、アクイラさんに近づく女性は全て警戒した。でもなぜか彼女だけは警戒しなかった。二人が並んでてやっと気づいた。セリカさんとアクイラさんは目の色も髪の色も同じ。だから自然と彼女からはアクイラさんっぽさを感じてたんだと思う。私の目が彼女の姿を捉え、寒風がその想いを冷たく運ぶ。石畳に微かな水滴が落ち、日光に反射して揺れる。
私はセリカさんの胸元に抱かれたアクイラさんを見た。その胸は苦しそうに上下してる。彼のコートに微かな土埃がまとわりつき、寒風がその埃を冷たく撫でる。そしてセリカさんが声に出す。彼女の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。
「弟は私が看ます。ですから、ここはお願いします」
セリカさんが言う。弟という発言にみんな驚いた。言われてみれば似ていなくもない。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその驚きを増幅させる。セリカさんはアクイラさんを抱えたまま屋敷の中に向かった。彼女の足音が正門の石畳に響き、微かな土埃が舞う。彼女は私が治せることを知らない。私は…………アクイラさんが死ぬくらいなら、この秘密がばれてもいい。私の決意が胸に熱く燃え、寒風がその熱を冷まそうと吹き付ける。
「待ってください! 治します! 私が! 治せるんです! でも! 魔力が足りなくて! どうか! 私に知恵を貸してください!!!」
私が叫ぶ。私の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。私は頭を下げる。アクイラさんを助けられるなら、どんな未来も受け入れる。私の髪が風に乱れ、冷たい空気が私の頬を冷たく撫でる。セリカさんが驚いてるが、私に近づいて優しく肩に手を当てた。彼女の手の温もりが私のコート越しに伝わり、正門の石畳に微かな影を落とす。
「もし、治せるなら、どうか弟をお願いします。助けてください」
セリカさんが言う。彼女の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。そして周囲にいた一人、レクサさんのパーティメンバーだった女の子が私の前に来た。彼女は薄黄の長袖ブラウスに白の膝丈スカート、厚手の薄紫タイツを履いてて、濃藍のコートを羽織ってる。彼女の足音が正門の石畳に響き、微かな土埃が舞う。
「あの毒をお受けしたと聞きました。私、煌姫リヴァイアはもし貴女に魔力さえあれば彼を救える。その言葉を信じてよろしいでしょうか?」
「は、はい!」
私が力強く返事する。私の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。リヴァイアちゃんが私に向かって魔力の弾丸を撃ち込む。
「では…………魔力よ、我が呼び声に応え、回復の弾丸となって我に帰れ。魔力回復弾」
リヴァイアちゃんが詠唱する。彼女の声が正門の石畳に響き、魔力の弾丸が私の身体に突き刺さる。寒風がその魔力を冷たく運び、正門の鉄扉が微かに軋む。
「うっ……」
私の身体の魔力が回復した。私の胸が熱くなり、冷たい風がその熱を冷まそうと吹き付ける。これなら……アクイラさんを救える! 私はアクイラさんに抱き着くと、その胸に顔をうずめる。彼の汗の香りを嗅ぐと少し恥ずかしい。今、助けます。私はそのまま魔力を集中する。そして聖水癒受の詠唱を始めた。私の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。
「清らかなる水よ、我が仲間に癒しをもたらし、あらゆる状態を回復せしめよ。聖水癒受」
私の周囲に聖水が巻き上がり、正門の石畳に水滴が落ちて微かな音を立てる。その魔法を見たセリカさんとアカンサさんが驚く。聖水が正門を照らし、寒風がその水滴を冷たく運ぶ。
「この魔法は!?」
「ええ…………まさかこんなところにいらっしゃったなんて」
セリカさんとアカンサさんが呟く。彼女たちの声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。これはアクイラさんの命を救うだけでなく、私を助けてくれた。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその想いを増幅させる。石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して揺れる。
「うっ……アクイラさん! 死なないで!」
「うぅ……ルーナ……」
アクイラさんの意識が戻る。私の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。私が身体を抱くと、彼は少し安心したように微笑んでくれた。そして私に言う。彼の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。
「…………護れたか?」
「はい…………護って貰えました」
「そうか……よかった」
アクイラさんが言う。彼の声が寒風に混じり、正門の石畳に低く響く。アクイラさんは安心したかのように眠りに就いた。しかし…………私たちは自己犠牲で死のうとした。自分だけを犠牲にしようとしたアクイラさんに…………本当に怒ってた。でも……今はその怒りより、あなたが無事で本当によかった。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその想いを増幅させる。石畳に微かな水滴が落ち、日光に反射して揺れる。
眠るアクイラさんを囲ってた私たちは…………彼を部屋まで運ぶことにした。地面に微かな足跡が残り、寒風がその足跡を冷たく撫でる。そして運ぶ際にセリカさんが名乗り出る。彼女の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。
「私が運びます…………宜しければ皆さんもアクイラの部屋まで来てください」
「ん? 使用人用の部屋を貸していたのだろう? アクイラの部屋?」
リーシャさんが反応する。彼女の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。
「いいえ、あの部屋はアクイラの部屋ですよ?」
「え?」
セリカさんが言う。彼女の声が寒風に混じり、正門の石畳に低く響く。セリカさんがアクイラさんの部屋に案内しようとした時、リーシャさんが疑問を投げかけると、みんな「そういえば」みたいなリアクションをした。するとアカンサさんが答える。彼女の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。
「あたくしが説明いたしますわ。それは彼が元々アスカリにいた頃は、ウチの使用人でしたから当然でしょう。彼が成人してから十五歳まで働いてました。いつの間にかアスカリの傭兵ギルドにいた森姫の弟子になっていて、勝手に出て行ってしまったんですわ」
アカンサさんが言う。アカンサさんのお話に驚くみんな。だってセリカさんがお姉さんと言った情報だけでも驚きなのに、彼は過去の事を何も話してくれないから。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその驚きを増幅させる。セリカさんはアクイラさんを部屋に運ぶ。彼女の足音が正門の石畳に響き、微かな土埃が舞う。そして部屋に入った後、私について尋ねた。彼女の声が寒風に混じり、正門の石畳に低く響く。
そしてアカンサさんが私の目の前に来て声を掛ける。彼女の声が寒風を切り裂き、正門の石畳に響く。
「ご同行お願いできますか? ルーナ様?」
ああ、バレちゃったんだな。私の胸が締め付けられ、冷たい風がその想いを増幅させる。正門の石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して揺れる。寒風が私のコートを冷たく運び、正門の鉄扉がその最後の音を淡く響かせる。
まあ察しの良い方はルーナが何者かわかってますよね。




