第4章14話 二人なら
奴の大砲を止める術はなくなった。奴にダメージを与える術もなくなった。なのに、なぜか力が湧いてくる。アスカリの寒風が俺の顔を叩き、正門の石畳が冷たく足裏に染みる。目の前にはドラコの黒い鎧が日光に鈍く光り、毒の臭いが微かに漂う。俺は厚手の黒コートを羽織り、深紅の長袖シャツと灰色のズボンで立つ。正門の鉄扉が寒風に軋み、石畳に残る水溜まりが冷たく揺れる。これまでも俺たちは魔族と戦ってきた。絶望的な状況もあった。遠くの木々がざわめき、風が草を揺らす音が聞こえる。でも勝てたんだ。だから…………。正門の石畳に微かな霜が張り、寒風が俺のコートをはためかせる。息が白く吐き出され、鉄扉に当たって消える。太陽が空高く昇り、冷たい光が石畳に淡い影を投げかける。
「アクイラさん…………私、勝てる……そんな気がするの」
ルーナの声が、まるで大地から湧き出るような迫力で響く。彼女の声が寒風を切り裂き、正門周辺に低く反響する。それはただの言葉以上の何かを持ってる。彼女も同じ気持ちのようだ。ルーナは薄青の長袖ブラウスに濃紫の膝丈スカート、厚手の白タイツを履いてて、厚手の灰コートが風に揺れてる。戦闘でブラウスが肩から裂け、薄紫の下着と白い肌が露わになってるのが目に入る。スカート裾も破れて、薄紫の下着が剥き出しだ。雨に濡れた銀髪が顔に張り付き、青い瞳が決意に燃えてる。寒風が彼女の裂けたブラウスを冷たく撫で、正門の石畳に水滴が落ちて微かな音を立てる。日光が彼女の銀髪に反射し、淡い輝きが戦場に広がる。
「俺もだ。俺たちは一人じゃない」
俺は自分で自分を鼓舞するようにその言葉を言う。石畳に微かな霜が光り、寒風が俺のコートに湿気をまとわりつかせる。息が白く吐き出され、正門の鉄扉に当たって消える。太陽の光が正門を照らし、石畳に冷たい影を投げかける。
二人でドラコを見据える。不思議と負ける気がしない。死の恐怖心がないわけじゃないが、絶望感はない。何故なら隣にルーナがいるからだろうか? いや、きっとそれだけじゃない。セレナやテラ、リーシャにエリス、それ以外の多くの仲間たちの顔が浮かんだ。風がそよぎ、草や木々が揺れる音が聞こえる。空気は静かだが、決戦の熱気が充満してる。正門の石畳に残る戦闘の焦げ跡が、微かな熱を帯びて寒風に冷やされてる。こいつを倒してルーナの因縁も晴らしてやる。鉄扉の隙間から冷気が流れ込み、俺のコートに微かな湿気がまとわりつく。石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して揺れる。
「勝つぞ! 炎の守護、我が身を囲みて鎧となれ。炎焔の鎧!」
俺の叫びが炎をまとう鎧の呪文として空を切り裂く。紅い炎が全身を包んだ後、一点に集中する。炎が正門を照らし、石畳に熱い影を落とす。寒風がその熱を冷まそうと吹き付けるが、俺の決意は揺れない。石畳に微かな蒸気が上がり、正門の鉄扉がその熱に微かに軋む。俺の拳が紅く輝き、日光がその炎を淡く反射する。
俺は脚に炎を灯し、駆け出した。石畳を蹴るたび、霜が砕けて微かな音が響く。ルーナも遅れて駆け出す。炎が輝く中、隣を走る彼女の姿は勇敢さと決意に満ちてる。裂けたブラウスが風に揺れ、薄紫の下着が剥き出しになってるのが目に入る。彼女の瞳は悲しみを秘めつつも、決して折れない意志が宿ってる。寒風が彼女のコートをはためかせ、正門の石畳が微かに震える。俺の炎が石畳に焦げ跡を残し、日光がその跡を淡く照らす。
「ただの炎しか出せなくなったか」
ドラコの冷ややかな声が俺たちに向けられる。奴の鎧が日光に鈍く光り、大砲の砲身が冷たく輝く。確かに俺の力は先ほどと比べて劣ってる。毒の霧で消耗して、身体が重い。だが、闘志は十分すぎるほどだ。勝てる。俺たちなら勝てるんだ! 正門の鉄扉が微かに軋み、寒風が毒の臭いを運んでくる。石畳に微かな霜が張り、日光がその霜を淡く反射する。
ドラコが俺たちに砲弾を放つ。黒い霧を纏った砲弾が石畳を切り裂き、俺に迫る。しかし、その砲弾を俺は蹴り飛ばした。脚に炎を纏ってるおかげで何とか耐えられたが、かなり痛い。石畳に砲弾が跳ね、微かな焦げ跡を残す。ルーナの手が俺の肩を支え、共に立ち向かう覚悟を感じる。彼女の細い指が俺のコートに触れ、その温もりが寒風を忘れさせる。石畳に微かな水滴が落ち、日光に反射して揺れる。
「ぐっ……」
苦痛が襲ってくるが、俺は踏ん張る。脚に熱が走り、正門の石畳が微かに震える。痛みはあるが立てないほどじゃない。そしてルーナの声が次の一手を教えてくれる。寒風が俺のコートを冷たく撫で、正門の鉄扉が微かに軋む。日光が石畳を照らし、淡い影が揺れる。
「アクイラさん!」
俺は膝をつきそうになるが、ルーナに支えられてなんとか立つことができた。彼女の手が俺の肩を強く握り、正門の冷たい空気がその温もりを際立たせる。まだ戦える! 俺は拳をドラコに向けて振るったが、それを奴はかわす。拳が空を切り、寒風がその熱を冷やす。すると……今度はルーナが斬りかかりに行く。正門の石畳に微かな霜が光り、彼女の足音が響く。
「流れの力よ、我が杖に宿れ。水の刃を鋭くし、槍としての姿を与えん。水刃槍化」
ルーナが杖を槍に変え、ドラコに突きを放つ。水の刃が日光に輝き、正門の石畳に冷たい影を落とす。寒風がその刃を微かに揺らし、戦場の空気が一瞬静まる。石畳に水滴が落ち、微かな音が響く。
しかし、奴はその槍の水の刃の部分を片手で掴み、素手でへし折った。鎧の手が水を砕き、破片が石畳に散らばって微かな音を立てる。寒風がその破片を冷たく運び、正門の鉄扉に水滴が跳ねる。日光がその破片を淡く照らし、戦場の空気が一瞬静まる。
「なっ!? そんな…………」
ルーナが驚く。水の刃を折られた彼女の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。ドラコが自慢げに笑う。奴の笑い声が鉄扉に反響し、不気味に広がる。その隙を俺は見逃さなかった。俺はドラコの隙をついて奴の腹部に拳をぶつける。しかし、それも受け止められてしまうが……。拳が鎧に当たり、鈍い音が正門に響き、寒風がその音を冷たく運ぶ。日光が鎧に反射し、淡い輝きが石畳に落ちる。
「アクイラさん!」
「ああ! 燃え上がれ! 炎焔の鎧!!」
ルーナの声に俺が応える。俺の拳が紅く染まり、ドラコが後ろに下がる。炎が正門を照らし、石畳に熱い影を落とす。しかし、巨体とは裏腹に奴はすぐに大砲を構えて発射した。砲身が日光に鈍く光り、正門の石畳に不気味な影を投げかける。寒風がその影を冷たく撫で、石畳に微かな霜が張る。
「仲間たちとともに伏せよ、死は平等だ。強い人間は邪魔なんだ。弱くとも立ち向かうのも邪魔だ。毒の力よ、砲弾となりて敵を滅せよ。毒爆砲弾」
その弾丸が俺に迫る。俺は炎を両腕に纏って大きめの盾を作り、防ぐ。紅い炎が正門を照らし、石畳に熱気を帯びた影を落とす。しかし……。寒風がその熱を冷まそうと吹き付け、正門の鉄扉が微かに軋む。石畳に微かな蒸気が上がり、日光がその蒸気を淡く照らす。
「ぐっ……あぁぁ!」
ドラコの放った弾丸の威力は俺の想像を絶するものだった。炎で防いでも俺の皮膚が焼けていくほどの威力だ。腕に熱が走り、正門の石畳に微かな焦げ跡が残る。しかし、俺の炎で覆い、爆風を俺の方だけにできたおかげで、何とかルーナだけは無事だ。爆風が寒風を切り裂き、正門の鉄扉が震える。石畳に微かな水滴が落ち、日光に反射して揺れる。俺は無傷のルーナを見て安心してた。自分はボロボロなのに…………少しだけ口角が上がったような気がする。
「アクイラ! 大丈夫!?」
ルーナが叫ぶ。吐血なんていつぶりだろう。血が石畳に滴り、微かな赤が霜に混じる。俺はよろけながらもなんとか立ち上がり、再びドラコと向き合う。奴はさっきの一撃に満足してるようで、次はすぐには撃たないようだ。隙だらけの今が好機だ。正門の鉄扉が寒風に軋み、俺のコートに微かな湿気がまとわりつく。石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して揺れる。
「一気に決める」
ルーナが言う。彼女が杖を槍からまた水の剣に変え、俺たちは一斉に駆け出す。狙うは奴の大砲のみ! 石畳を蹴る音が響き、寒風が俺たちの背中を押す。彼女の裂けたブラウスが風に揺れ、薄紫の下着が剥き出しになってしまう。日光が彼女の白い肌を淡く照らし、正門の石畳に冷たい影を投げかける。
「流れの力よ、我が杖に宿れ。水の刃を鋭くし、剣としての姿を与えん。水刃剣化」
ルーナのロッドが水の剣となり、ドラコの大砲に斬りかかる。水の刃が日光に輝き、正門の石畳に冷たい影を落とす。寒風がその刃を微かに揺らし、正門の鉄扉に水滴が跳ねる。しかし、ドラコはそれをかわし、ルーナは剣から槍に切り替えて攻撃する。石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して揺れる。
「流れの力よ、我が杖に宿れ。水の刃を鋭くし、槍としての姿を与えん。水刃槍化」
しかし、その槍すらもかわされた。俺も追撃に参加する。俺は炎の拳で殴りにかかるが、それも避けられる。拳が空を切り、寒風がその熱を冷やす。だが、俺たちの攻勢はやむことなく、奴の注意を引いた。勢いはこっちが勝ってる! 正門の石畳に微かな焦げ跡が残り、寒風がそれを冷たく撫でる。石畳に霜が張り、微かな水音が響く。
風が急に強くなり、木々がざわめき始める。遠くの山々が薄暗い影を落とし、正門周辺に不気味な静寂が広がる。石畳に微かな霜が光り、日光がその影を冷たく照らす。しかし、その暗さとは裏腹に、俺たちの心は決して揺らがねえ。寒風が正門の鉄扉を叩き、微かな軋み音が戦場に響く。
俺の脚と腕に紅い炎が灯る。これで威力と速度が上がったはずだ。俺とルーナの連携はうまくいってるが、ドラコは俺たちと互角以上に戦ってる。石畳を蹴るたび、霜が砕けて微かな音が響く。そして、奴の巧みな攻撃に疲れが出てきた。だが、決して折れることなく、俺たちは次なる一手を練る。その時、俺の心の中に新たな決意が生まれた。正門の鉄扉が寒風に軋み、俺のコートに微かな湿気がまとわりつく。石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して揺れる。
「くっ……」
ルーナも俺も疲れが出てきたのか、息が荒れてきた。彼女の白タイツが戦闘で擦れて、薄紫の下着がさらに透けてくる。まだ奴は余裕そうだ。奥の手らしき大技も一つしか見てない。このままじゃジリ貧だ。何か手を打たねえと……。正門の石畳に微かな水溜まりが広がり、寒風がそれを冷たく撫でる。鉄扉が微かに軋み、戦場の空気が重くなる。
「貴様らは悪くないな! しかし、その強さをここで終わらせる!」
ドラコの圧のある声が俺たちを圧倒する。奴の声が寒風に混じり、正門周辺に低く響く。石畳に微かな霜が光り、正門の鉄扉がその圧に微かに軋む。瞬間、勝てる気がしてた気持ちが一瞬だけ削がれたような気がした。
そう言ってドラコが再び大砲を構え始めた。またあの弾丸が来る! そう思ったが違った。砲身が日光に鈍く光り、正門の石畳に不気味な影を落とす。寒風がその影を冷たく撫で、微かな水滴が石畳に落ちる。
「毒の力よ、砲身に宿り、毒の刃を放て。毒刃砲」
ドラコの大砲から毒の刃が放射された。次の瞬間、毒の刃が空を切り裂き、俺たちに迫る。刃が正門の石畳を切り裂き、微かな毒の霧が漂う。石畳に微かなひびが入り、寒風がそのひびを冷たく運ぶ。その威力は一瞬で俺とルーナを包み込み、俺たちは地面に叩きつけられた。石畳に身体がぶつかり、鈍い音が響く。なんとか起き上がろうとするが、体が言うことを聞かねえ。神経毒のようなものだろうか。寒風がその毒を冷たく運び、正門の鉄扉に微かな湿気がまとわりつく。日光が石畳を照らし、淡い影が揺れる。
「ぐっ……このままじゃ……」
俺の近くまで歩いてきて、ドラコが俺たちを見下す。奴の足音が石畳に重く響き、鎧が日光に鈍く光る。奴が俺たちにとどめを刺そうと大砲を構えた。砲身が正門を照らし、不気味な影が石畳に広がる。寒風がその影を冷たく撫で、正門の鉄扉が微かに軋む。日光が鎧に反射し、淡い輝きが戦場に広がる。
「死ぬがいい。強き者よ」
ドラコが砲撃し、俺は死を覚悟したが……その時だった! 俺の前に一人の少女が立ちはだかる。彼女の銀髪が寒風に揺れ、正門の石畳に冷たい影を落とす。裂けたブラウスが風に揺れ、薄紫の下着が剥き出しになってるのが目に入る。日光が彼女の白い肌を淡く照らし、正門の石畳に冷たい影を投げかける。
「よせ、ルーナ!!!」
ルーナが俺の目の前に立ってたのだ。正門の石畳に彼女の足跡が残り、寒風がその跡を冷たく撫でる。日光が彼女の銀髪に反射し、淡い輝きが戦場に広がる。
「ダメだ、ルーナ!!」
俺がそう叫ぶ。しかし、ドラコは無情に砲弾を放った。砲弾が正門を切り裂き、爆風が石畳を震わせる。石畳に微かなひびが広がり、寒風がそのひびを冷たく運ぶ。日光が爆風に霞み、戦場の空気が一瞬重くなる。
「アクイラさん……私ね…………幸せ…………だったよ。アクイ」
彼女が何かを言いたげだったが、その言葉は砲撃の音にかき消された。そして、彼女の姿は爆発に飲み込まれてしまった。俺の視界には爆風に包まれた彼女でほかには何も見えねえ。爆風が正門の鉄扉を震わせ、寒風が俺の叫び声を冷たく運ぶ。石畳に微かな焦げ跡が残り、日光に反射して不気味に揺れる。
「ルーナァァァァァ!!!」
彼女の名を叫びながら、俺は絶望に打ちひしがれた。護ると決めた彼女。護れると自惚れた自分。一緒に依頼を受けて危険な場所に立ち会って、いつの間にか彼女に背中を預けるほどには信頼して…………失ったんだ。爆風が寒風を切り裂き、正門の鉄扉が微かに軋む。石畳に微かな水溜まりが広がり、日光に反射して冷たく揺れる。太陽が空高く昇り、冷たい光が戦場の絶望を淡く照らす。
チクショー! カイラさんさえいれば!




