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炎焔の鎧  作者: なとな
第4章 復讐
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第4章6話 盾将軍グラディアス

 今日の編成は俺、ルーナ、エリスの三人だ。昨日は目立った収穫もなく、巡回エリア外で変死体が見つかっただけ。目撃情報もねえって話で、朝から気分が重い。食堂で軽くパンとスープをかき込んで、ルーナとエリスと合流した。暖炉の火がパチパチ鳴り、木のテーブルにはスープの染みが残ってる。ルーナは腰にくっついて離れねえから放っとくとして、エリスに話しかける。窓から冷たい風の音が漏れ、食堂の空気が少しひんやりしてる。


「今日は先に闘技場を見ていきたいんだが?」


 エリスが薄紫の長袖ブラウスと白い膝丈スカートに灰色のタイツで、少し驚いた顔をする。昨日とは違って、淡い色の服が彼女の明るさを引き立ててる。


「え? ですがリストに闘技場関係者なんていませんよ?」

「人手不足だから戦力増強もかねての立ち寄りだ」

「そういう事でしたらお供します」


 エリスが納得してくれた。ルーナは大丈夫だ。俺にくっついてくるだけだし。今日は赤い長袖チュニックと黒いフレアスカートに黒タイツで、ピッタリ寄り添ってくる彼女の頬を撫でてやると、嬉しそうに擦り付けてくる。タイツ越しの太ももが俺の脚に当たって、つい手を伸ばしてスカート越しに尻を揉んでやった。彼女は顔を赤らめるが、離れない。俺はさらに手を滑らせて太ももを撫で回す。


「じゃあ行くか」


 俺たちは闘技場に向かうことにした。外はアスカリの寒さが身に染みる。俺は厚手の灰色コートを羽織り、ルーナとエリスも毛皮のコートで防寒してる。街の石畳は霜で白く、冷たい風が吹き抜ける。ルーナのスカートが風に煽られて少しめくれ、黒タイツと赤いレースの下着がチラッと見えた。闘技場は街の中心に構える石造りの大きな建物で、近づくと血と汗の匂いが鼻をつく。入口の門は鉄格子が重々しく、足音が石に響く。受付のお姉さんが深紅の長袖ドレスに黒タイツで立ってて、胸元が少し開いてる。俺が挨拶すると、風が彼女のスカートを軽くめくり、黒タイツ越しに白いシルクの下着が見えた。


「きゃあ!?」


 お姉さんは顔を赤らめ、スカートを抑える。朝からいいものが見れたな。ハプニングはあったが中に通してもらうと、観客席のざわめきと剣戟の音が耳に飛び込んでくる。石壁には古い傷跡が刻まれ、闘技場の歴史を感じさせる。


「俺はちょっと出てくるから好きに見ていてくれ」

「わかりました」


 エリスが頷く。ルーナが俺のコートを掴むが、エリスに引き剥がされて観客席へ向かう。ルーナがエリスに引っ張られながら、スカートが少しめくれて太ももが露わになる。俺はグラディアスを探すため、闘技場に併設された施設を見て回った。石壁に沿った通路を進むと、汗と鉄の匂いが濃くなる。訓練場の隅に差し掛かると、俺よりずいぶん年上に見える男が装備の手入れをしてた。濃緑の長袖チュニックと黒ズボンに革のマント、人一人覆える大盾を磨いてる。がっしりした体格と、盾に刻まれた無数の傷跡から見て、この人が盾将軍グラディアスだろう。近くの暖炉がチリチリと燃え、鉄の擦れる音が響く。壁には古い剣や盾が飾られ、闘技場の厳粛な雰囲気を漂わせてる。


「あのー」

「何だ貴様」


 グラディアスが俺を見るなり警戒する。鋭い目つきで、盾を手に持ったままこっちを睨む。まあ、いきなり話しかけたらそうなるよな。近くに置かれた刀が鈍く光り、戦いの準備が整ってる感じだ。


「俺はアクイラって言います。今日はお願いがあって来ました」

「なんだ?」

「実は……」


 俺が変死事件と伯爵家の護衛依頼を説明すると、グラディアスは顎に手を当てて考え始めた。暖炉の火が彼の顔を照らし、静かな空気が流れる。しばらくすると口を開く。


「貴様の力を示せ。ここは闘技場だ。俺と一対一で戦うんだ」


 俺はグラディアスの言葉に驚いた。てっきり断られるか条件を突きつけられると思ってたが、まさか戦えとはな。観客席から野次が聞こえ、闘技場の空気が一気に熱を帯びる。まあ、やってやってもいいけど、エリスとルーナが待ってるし、さっさと終わらせたい。


「わかりました」


 俺が答えると、闘技場のスタッフが審判として近づいてきた。革鎧に剣を佩いた男で、俺たちの戦いを仕切るらしい。ならルールはどうする? と目で聞くと、グラディアスが先に口を開く。


「俺が貴様の強さを納得できれば、応じよう」


 一対一ならルーナやエリスの協力は無理か。闘技場のルールに則った戦いだ。観客席のざわめきが一段と大きくなり、石壁に反響する。


「わかりました。では、武器は?」

「俺は刀と盾だ。貴様は好きに選べ」

「いえ、俺は拳と脚で大丈夫です」


 俺がそう言うと、グラディアスがニヤリと笑う。観客席から歓声が上がる。合図と共に試合が始まった。最初に動いたのは俺だ。グラディアスの間合いに入り込み、拳を突き出す。だが、簡単に盾で防がれ、そのまま刀の斬撃が飛んでくる。ギリギリ避けたと思ったが、肩に鋭い痛みが走る。わずかに斬られたらしい。


「くっ」


 痛みに耐えながら今度は蹴りを出すが、これも避けられる。グラディアスの動きは重そうに見えて素早い。どうやら今の俺じゃ勝てねえみたいだ。なら戦い方を変えるしかねえ。俺は一旦距離を取ると、呼吸を整えた。闘技場の地面に汗と血の染みが点在し、観客の野次が耳に響く。するとグラディアスが俺に話しかけてくる。


「どうした? もう終わりか?」


 余裕そうな表情を浮かべてやがる。まあ、実際そうなんだろう。だが、ここで負けるわけにはいかねえ。俺は覚悟を決めると、拳に魔力を込めてグラディアスに向かって走り出した。グラディアスは盾を構え、俺が炎の鎧を纏って殴りかかると、その攻撃を受け止める。今度はそのまま押し込んでいくが、グラディアスが余裕そうな顔で盾を振り上げ、俺の拳を弾き飛ばす。そして刀を振りかざしてきた。俺は咄嗟に避けるが、今度はグラディアスの蹴りが飛んでくる。


「くそっ」


 なんとかガードするが、その衝撃は凄まじく、俺は吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。なんとか体勢を立て直すが、グラディアスの攻撃はまだ終わっていない。彼が再び斬りかかってきた。俺はかわそうとするが間に合わず、刀が腹に当たる。


「ぐはっ!」


 口から血を吐くと同時に地面に倒れる。グラディアスが俺を見下ろしてくる。観客席が静まり返り、血の匂いが鼻をつく。


「ふん、こんなものか? もう少し粘って欲しいところだったが」


 俺は立ち上がろうとするが、力が入らねえ。グラディアスが倒れてる俺に向かって刀を振りかざしてきた。刀が振り下ろされる直前、俺は魔法を発動した。炎の鎧の炎を射出して推進力に変え、立てねえ体を無理やり直立させる。そしてグラディアスの刀を避けることに成功した。観客席から歓声が上がる。


「ほう、なかなかやるな。体が動かなくても立ち上がる術か。ならば俺も使うとするか。盾よ、我が命に従い、小さくなれ。縮盾シュリンク・シールド


 グラディアスが魔法を唱えると、彼の盾が小さくなる。身軽になった彼が盾を付けてた腕を振り下ろし、同時に魔法を解除して元の大盾に戻す。そしてその盾で殴りかかってきた。俺は防ぐなんて考えなかった。これは受けたら死ぬ。咄嗟に横に避けるが、グラディアスは冷静に刀で追撃してくる。闘技場の地面に砂埃が舞い、観客の歓声が一段と高まる。

 俺はそれを寸前で避けたつもりだったが、刀が右腕をかすめる。血が流れ、激痛が走る。だが、ここで怯んじゃいけねえと自分を鼓舞し、グラディアスに向かって走り出した。今度は拳じゃなく脚に魔力を込める。紅く燃え上がる脚で蹴りを放つが、それも簡単に盾で防がれ、そのまま弾き飛ばされた。地面に叩きつけられ、一瞬息が止まる。観客席から野次が飛ぶが、体が重い。それでもすぐに立ち上がった。


「貴様の力はその程度か? もっと本気でかかってこい」


 俺はその言葉に答えるように、再び拳に魔力を込めてグラディアスに向かって殴りかかる。この人は俺に何を求めてんだ? 本気でってことは、俺が本気じゃねえと思われてんのか? なら見せてやるしかねえ。

「貴様の二つ名は灼熱の拳と言ったな。その一端も見えぬぞ」

「…………なるほど、知っていたのか。確かにその名由来の技は強力ですが、俺が誰の弟子とも知らずについた二つ名。勝手に最高の一撃にしないで貰いたいですね」

「ほう、期待してるぞ」


 グラディアスの挑発に乗ることにした。俺は右足に魔力を込め、一気に解き放つ。すべての鎧を足の裏に集中させ、腰を低くして走り出す態勢じゃ魔法を使ってるようには見えねえはずだ。そしてグラディアスに向かって走りながらジャンプすると、足の裏の炎が噴射して一気に飛び上がる。足の裏をグラディアスの反対側に向けて炎を噴射し、斜め下に落下しながら噴射を止めて足をグラディアスの方に。炎の鎧を足先に集中させ、肩から少し残った魔力で炎を噴射して落下速度を速めた。闘技場の空気が熱を帯び、観客席がどよめく。


「喰らいやがれぇ!!!」


 グラディアスは俺の蹴りを避けることもせず、真正面から受ける。盾が俺の蹴りを防ぎ、その衝撃でグラディアスが一歩後ろに下がる。観客席が歓声で沸き立つ。だが、俺の最高の一撃でもグラディアスを一歩下げるだけ。俺の完敗だ。


「ありがとうございました、俺の負けです」

「そうだな、貴様の負けだ。だが…………俺は勝てとは言ってねえ」

「へ?」


 俺が間抜けな声を出すと、グラディアスが笑い出した。観客席もざわつき、俺の血が地面に滴る音が小さく響く。そしてそのまま俺に近づいてくる。俺は反射的に後ろへ下がるが、すぐ捕まっちまった。


「依頼の件、引き受けよう」

「……本当ですか?」

「ああ、男に二言はない」


 グラディアスが俺の頭を撫でる。でけえ手がゴツゴツしてて、汗と血の匂いが鼻につく。


「だがな、俺を倒すにはまだまだ実力が足りないな」


 俺は苦笑いしながら答える。グラディアスに肩を貸してもらい、闘技場を後にした。観客席から拍手が響き、石壁に反響して耳に残る。その後、グラディアスは約束通りアカンサの依頼を受けてくれることを伯爵家の屋敷まで報告に行ってくれた。俺はルーナとエリスと合流する。

 ルーナが駆け寄ってきて、俺の腕にしがみつく。コートの裾が少しめくれて、黒タイツと赤い下着がチラッと見えた。

名前: グラディアス

二つ名: 盾将軍

傭兵ランク: 特級傭兵ランクダイヤモンド

年齢: 32歳

出身: アスカリ

職業: 傭兵(アスカリ傭兵ギルド常駐)

外見: 白髪、翠色の瞳、がっしりした体型

服装: 白と金を基調とした重鎧(外出時は革マントで防寒)、盾に守護の紋章刻印

武器: 刀と大盾(縮盾シュリンク・シールド使用可能)

戦闘スタイル: 刀と盾で防御に優れ、戦術的判断で戦場を制圧

特技: ローストビーフ調理(一流の腕前)、戦術分析

性格: 真面目で義理堅い、強い意志と責任感を持つ

趣味: 演説(仲間を鼓舞)、戦術知識の探求

好物: 甘いもの(特にハチミツ菓子)

苦手なもの: 不義理な行為

性事情: 非童貞、妻子持ち(妻は元傭兵、子は幼子)

家族: 妻と子がアスカリに在住、家族を大切にする

背景: 若い頃からの戦闘経験豊富、アスカリで育ち闘技場で名を上げる

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