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炎焔の鎧  作者: なとな
第4章 復讐
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第4章5話 変死体事件調査開始

 翌日、なんとか昼前に目を覚ました俺は、ベッドから這い出て食堂に向かった。食堂に入ると、もうみんな揃ってた。暖かいスープの香りが漂い、テーブルにはパンとチーズが並んでる。壁の暖炉がパチパチ鳴り、窓の外から冷たい風の音が聞こえる。俺以外の全員が食事を済ませてて、今日から変死体調査が始まるって雰囲気だ。アカンサからその説明が食事の後にあるらしい。


「おはようございますアクイラ、よく眠れましたか?」


 アカンサが淡緑の長袖ブラウスとダークグリーンの膝丈スカートに厚手の黒タイツを履いて、優雅に話しかけてくる。俺に気付いたルーナがセリカのそばからトコトコやってきた。青い長袖チュニックと白いフレアスカートに白タイツだ。いつの間にかセリカに懐いてたみたいで、俺が席に着くと隣にピタッとくっついてくる。タイツ越しの太ももが俺の脚に当たって、つい手を伸ばしてスカート越しに尻を揉んでやった。彼女は顔を赤らめているが、離れる気配はない。

 食事を終えると、みんながアカンサの方に視線を向けた。俺はスープを啜り終え、パンを手に持ったまま彼女の話を待つ。食堂の木製テーブルにはスープの染みが少し残り、窓から差し込む薄い光が床に反射してる。


「まあ皆様にお願いしたい調査なのですが、変死事件の調査において共通点まではお話しましたよね?」

「ああ、異種族間で結婚してる夫婦を対象に灰になって亡くなってるんだったな」


 この話題が出たとたん、ルーナの顔色が悪くなった。俺の服をぎゅっと掴む手が震えてる。両親の死と同じ手口だから、辛いんだろう。俺は彼女の肩に手を回し、軽く抱き寄せてやった。


「その通りです。遺体だけ残して人体を灰にする何者かの力。犯人はわかりませんが、伯爵家はこれを殺人事件として調査をしています」


 アカンサの話を俺たちは黙って聞く。暖炉の火が部屋を暖め、静かな空気が流れる。


「今はアスカリに届け出を出してる夫婦は全員保護済みですが、保護されてる屋敷を襲撃されないとは限りません。保護した夫婦の護衛は伯爵家で行いますので、皆様は保護されてない夫婦の張り込みや巡回をお願いします」

「わかった…………リストはあるのか?」


 俺が聞くと、セリカが黒いシルクブラウスとタイトスカートに厚手の黒タイツを履いた姿で紙を渡してきた。食堂の床に彼女の足音が軽く響き、俺は受け取ったリストを眺める。偏屈なドワーフや群れを嫌う竜人が夫婦になってる家が保護から外れてるらしい。頑固で協調性のねえ連中が多そうだ。数が多いな。


「六人でまとまっても仕方ないな。二手に分かれよう。どう分かれる?」


 俺がみんなに聞くと、真っ先にルーナが反応する。


「アクイラさんと一緒!」


 その言葉にセレナとテラがすぐ食いついてきた。セレナは緑の長袖シャツと茶色の膝丈スカートに茶タイツ、テラは赤い長袖チュニックと黒のフレアスカートに黒タイツだ。


「ずるい、アタシも!」

「僕もアクイラと一緒がいいな」


 これで四対二か。面倒なことになった。


「…………わ、私は別に…………一緒じゃなくても」


 リーシャが深緑の長袖ブラウスと黒い膝丈スカートに灰色タイツで遠慮がちに言う。でも、チラチラこっち見てんのがバレバレだ。俺と一緒いいが遠慮しているのだろう。エリスが水色の長袖シャツと白い膝丈スカートに白タイツで苦笑してる。


「えーと…………これは決まりませんね」


 とりあえず戦力のバランスを考え、ランクで分けることにした。中級傭兵ランクエメラルドの俺とリーシャは別々。初級傭兵ランクサファイアのテラとエリスも分ける。後は見習い傭兵(ランクアメジスト)のルーナとセレナだ。

 希望通りなら俺とテラ、リーシャとエリスが一緒で、ルーナとセレナが俺と組みたいってとこだが……


「俺とテラは前衛だな」

「私は前衛、エリスは後衛だから、こちらは前衛ができるメンバーが良いな」


 つまり、こちらに必要なのはセレナだ。ルーナは最近後衛寄りだが、基本は前衛の攻撃手段だ。ルーナもそれに気付き、ウルウルした目で俺を見つめてくる。タイツ越しの脚が俺に擦れて、つい手を伸ばして太ももを撫でてやるが、唇を尖らせて抗議する。だがルーナの意見だけ尊重する訳にもいかねえからな。


「とりあえず今日は俺、セレナ、テラの三人と、ルーナ、リーシャ、エリスの三人でエリア決めて行動するか」


 ルーナがぎゅっと俺の服を掴むが、ダメだ。


「じゃあ明日は俺とルーナが一緒になるようにしような」

「…………むぅ」


 やっと納得したみたいだ。そんな話をしながら、アカンサとセリカの方を見ると、アカンサがニヤリと笑う。一週間後のトーナメント出場権を賭けた個人的なお願いが待ってる。


「アクイラには個人的なお願いがありますので、巡回に行く前について来てくださいね」

「ああ、わかったよ」


 アカンサが空気を読んで俺だけ呼び出す。彼女の目は企みで光ってやがる。


「では私たちはもう行こう。行くぞエリス、ルーナ」


 リーシャが立ち上がり、ルーナとエリスを連れて食堂を出る。ルーナが俺を振り返りつつ渋々従う。食堂にはテラとセレナとセリカが残り、俺はアカンサに連れていかれた。彼女の部屋に招かれる。暖炉の火がパチパチ鳴り、絨毯が足元を柔らかく包む。壁には古い絵が掛かり、窓から差し込む光が部屋を淡く照らす。


「それで出場権の条件ってなんだ?」


 俺が尋ねると、アカンサは少し考え込む。暖炉の火が彼女の顔を照らし、静かな部屋に薪の爆ぜる音が響く。まだ決めかねてるのか、俺をどう弄ぶか企んでるのか。


「そうですね。一晩何が面白いか考えていまして…………決まりました。盾将軍グラディウス。彼を伯爵家の護衛に参加するように説得してください」

「盾将軍…………会ったことはねえが、そういえばこの街にいるんだったな」


 盾将軍グラディウス。特級傭兵ランクダイヤモンドで、アスカリのギルドに常駐してるらしい。頑丈な盾使いで、戦場じゃ壁そのものだ。確かに彼が参加すれば強力な戦力になる。変死体調査にも集中できるし、声をかけよう。

 俺とテラとセレナの三人は、アスカリの傭兵ギルドに向かうことにした。外は寒く、俺は厚手のコートを羽織り、セレナとテラも毛皮のコートで防寒してる。アスカリの街は石畳の道が霜で白く、冷たい風が吹き抜ける。セレナのスカートが少し揺れ、タイツ越しに太ももがチラッと見えた。そういえば、アスカリにもギルドがあるのに、なんでアカンサはルナリスで傭兵活動してんだ? この街から出たかったのか? よくわからないが、案外俺と同じ気持ちだったのかもな。

 アスカリの傭兵ギルドは、俺たちの巡回エリアでもある。石造りの建物が街の中心にデンと構えてて、周りには酒場や市場が賑わってる。ギルドの入り口には傭兵たちがたむろし、武器の手入れや酒を飲む音が聞こえる。巡回って言っても、大したことはねえ。リストにある異種族夫婦の家近くで、不審な奴を探すだけだ。手がかりはルーナの親を殺した「黒い大きな鎧の人物」と、ヴァルガスの話から魔の九将(マギス・ノナ)の毒砲魔将が怪しいくらい。異様な魔力を感じる奴を探す手もあるが、三人じゃ戦力が足りないな。

 ギルドに着くと、赤い髪に黒い瞳の青年が近づいてきた。鎖をじゃらじゃら鳴らして、厚手の革ジャケットに黒いズボン、毛皮のマントを羽織ってる。


「アクイラ…………帰ってきてたのか」

「レクサさん」

「え? 知り合い?」


 セレナが驚いて聞く。俺は二人に紹介した。


「この人は闇鎖闘士のレクサさん。珍しい闇属性の魔法使いで、鎖を使って戦うんだ。実力はある癖にギルドでずっとワイン飲んでるから、中級傭兵ランクエメラルドどまりの人だ」

「そうさ、俺は昇格してしまうような依頼を一度も受けていないからね」


 レクサさんが自慢げに言うが、かっこ悪いだけだ。でも、この人は本当に強い。昔、この街でカイラさんから師事を受けていた時、組手の相手をしてくれた。鎖が空を切り裂く音が今でも耳に残ってる。この人はこの人で化け物の一角なのは間違いない。


「レクサさん、実は今依頼を受けてて、手伝ってくれませんか?」

「ふむ」


 俺が変死体調査を説明すると、レクサさんが唸る。ギルドの喧騒が一瞬遠のき、彼の鎖が微かに揺れる。


「俺も実は混血でな。そういう事なら協力してやりたい」

「レクサさんが?」


 それ以上は話してくれなかった。とりあえず、彼に俺たちが動けねえ間の巡回を頼んだ。本当はもっと人に声かけたいが、もし魔将じゃなく傭兵の中に犯人がいたら情報が漏れる。信頼できねえ奴には頼めない。レクサさんが協力してくれたから、しばらくはなんとかなるだろう。


「では俺は酒を煽ってから動かせてもらおう。我がパートナーもそろそろ来るだろう」

「了解です。あ、そうだ。盾将軍を見かけませんでしたか?」


 レクサさんにグラディウスの情報を聞くと、答えてくれた。


「グラディウス氏はしばらく闘技場にいるだろう」


 闘技場か。明日巡回予定のエリアだ。なら、明日行けばいい。俺はレクサさんと別れ、セレナとテラを連れてギルドを出た。外の寒風がコートをはためかせ、セレナのスカートが少し揺れる。俺がセレナの尻を撫でるとセレナが顔を真っ赤にして怒っていた。通りすがりの傭兵が俺たちを一瞥したが、気にしない。


「アクイラ! 人前では…………もう!!! それはそうと、レクサさん、結構いい人そうだったね」

「うん…………アクイラの知り合いだし、多分」


 セレナとテラが話す。基準が分からねえが、レクサさんは良い人の部類だ。その夜、俺たちの巡回エリアもリーシャたちのエリアも被害は出なかったが、別の地区で変死体が見つかったらしい。ギルドの外で聞こえた噂話が耳に入り、背筋が冷たくなった。

名前: レクサ

二つ名: 闇鎖闘士

傭兵ランク: 中級傭兵ランクエメラルド

年齢: 27歳

出身: アスカリ・モルス伯爵領

職業: 傭兵

外見: 赤髪、黒瞳、がっしりとした筋肉質な体型

服装: 黒と赤を基調とした革ジャケットとズボン、腰に鎖を巻く(外出時は厚手の毛皮マントを追加)

武器: 鎖

戦闘スタイル: 鎖で敵を縛り、闇の力で攻撃。戦場を自在にコントロール

特技: 心理学に優れ、相手の心を読む。闘技での技術向上

性格: 自信家でクール。仕事に不真面目だが戦闘では高い能力を発揮

好物: ステーキ

苦手なもの: 苦いもの

仲間: リヴァイアとパーティを組む

背景: 他種族との混血(詳細不明)。

過去: アクイラがアスカリにいた頃、カイラの指示で組手相手を務めた。

異種族への姿勢: 混血ゆえに異種族夫婦への理解があり、変死事件調査に協力

酒場での評判: ギルドでワインを飲む姿が常で、「昇格しない傭兵」として知られる

戦闘時の印象: 鎖の音と闇魔法の重い気配で敵を圧倒。化け物級の強さを持つ

心理戦の得意分野: 敵の動きを予測し、鎖で封じる戦術に長ける

アスカリでの生活: 闘技場近くの酒場を拠点に、気ままに過ごすことが多い

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