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炎焔の鎧  作者: なとな
第3章 祝福の証
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第3章4話 接触

 地剣のテラ。彼女とパーティを組んでいたのは一年ほど前だ。当時の俺は初級傭兵ランクサファイアで、彼女は見習い傭兵ランクアメジストだった。今は俺が馬車でテミスに向かう中級傭兵ランクエメラルドだ。俺は黒いレザージャケットに赤いラインが入った長袖シャツ、動きやすい灰色のズボンを履いてる。膝下まである革ブーツが馬車の床を叩き、右手首にはカイラさんからもらった炎の紋様が刻まれた革バングルが光る。馬車移動用の薄いマントが肩に掛かり、埃っぽい道を進む中でも俺の姿を際立たせる。

 テラは二つ名通り地属性の魔法を使う剣士で、地属性の武器生成魔法で剣を作り、身体硬化魔法で防御力を上げていた。どちらもばりばりの前衛で、前に出てごり押しする感じのパーティだった。彼女は比較的無口だったが、真面目でまっすぐな性格をしてて好感が持てた。戦闘では頼りになるし、一緒にいて楽しかった。

 でも、ある日突然、彼女はパーティを抜けると言い出した。理由は教えてくれなかったが、俺は了承した。そしてその後すぐ、彼女は別の街へ旅立っていった。どうやら今はテミスの街にいるらしいな。


「テラのやつ元気かな」


 そんなことを思い出しながら、俺はテミスの街を歩いていた。馬車から降りたばかりで、埃っぽい道の感触がまだ足に残ってる。ここは法王国にあたり、国領はこの都市だけだが、それでも十分大都市と言える街だ。石畳の道には商人や市民が行き交い、遠くに中央教会の尖塔がそびえる。聖王の宮殿や教会の威厳が漂い、外側には活気ある市場が広がってる。馬車の軋む音や商人の呼び声が耳に届き、ルナリスとは違う喧騒が新鮮だ。


「テラ? 知り合い? 浮気?」

「え? 何? アクイラの知り合いなの?」


 ルーナとセレナが俺を睨んだ。ルーナは青いシルクのブラウスに白い膝丈スカート、足元に白銀のショートブーツを履いてる。ブラウスは袖が長く、月と星の刺繍が幻想的な雰囲気を漂わせ、スカートは軽やかで馬車移動でも動きやすい。首には月の装飾付きチョーカーが光り、銀髪が一部編み込まれて風に揺れる。セレナは薄緑のノースリーブトップに茶色の膝丈スカート、膝下のレザーブーツが狩人らしい。トップには葉の刺繍が自然愛を表し、茶色のウェーブ髪を軽く束ねてる。正直、どちらも可愛いだけである。


「え? ああ、そうか。お前らは会ったことないよな。テラっていうのは俺が以前三ヶ月ほどパーティを組んでいた仲間だ。この街にいたんだな」


 そう言えば、テラはテミス出身だったな。そんなことを考えていたら、左右から思いっきり腕を抱き締められたり、服を引っ張られたりして歩きにくい。ルーナの柔らかい感触が右腕に、セレナのしなやかな体が左腕に絡む。街行く人々の視線がチラチラ刺さる。


「浮気禁止」

「ねえアタシはー?」


 俺は二人に腕を引っ張られながら街を散策していった。ルーナの白いスカートが風に揺れ、セレナの茶色いスカートが軽快に翻る。この街には来たことないが、とりあえず傭兵ギルドに行けば何とかなるだろう。道中、視線が痛かったのは、ルナリスと違って俺たちのいつもの光景を周囲は見慣れてないからだ。いや、ルナリスでも結構視線痛かったかも。商人たちが荷物を運びながら、俺たちをちらちら見てる。

 傭兵ギルドに着くと、俺たちは酒場の席につき、食事をとりながら周囲を見渡した。木製のテーブルには酒の染みが残り、壁には依頼書が雑に貼られてる。ギルド内は傭兵たちの笑い声と酒杯がぶつかる音で賑やかだ。知っている顔はいないか探してみる。俺は鳥の串焼きを手に持つ。ルーナは甘いケーキをフォークで切り、セレナは野菜サンドをかじってた。


「この野菜、新鮮で美味しいね! ルナリスと全然違うよ」


 セレナが目を輝かせて言う。ルーナはケーキを口に運びながら、静かに頷く。しばらく食事をしていたが、特に変わったことは起こらなかった。イオンやテラの姿も見かけない。酒場の喧騒が耳に残るが、目的の気配はない。

 その後、俺たちは宿をとり、その日は休むことにした。宿の看板が軋み、入口には旅人の荷物が積まれてる。宿は二部屋とるつもりだったが、ルーナが俺から離れることはなく、セレナも「だったらアタシも!」と言い出し、三人一部屋となった。宿の主人が怪訝そうな顔をしたが、金を払えば文句はないらしい。

 部屋に入ると、一応ベッドは二つだ。部屋は狭く、木の壁には旅人の落書きが残り、窓からはテミスの夜の灯りが漏れ込んでくる。ルーナもセレナも小柄な方だから、俺が一つ、二人で一つが定石なのだろうが、なぜかベッドは二つ並べられ、俺が中央、セレナとルーナが両サイドになった。二人が俺に密着して眠るのはもう慣れた。

 ベッドの中のルーナとセレナは薄着だ。ルーナは薄い白のキャミソール、セレナは緑のタンクトップで、馬車移動の疲れを癒す軽い格好だ。二人に腕を絡められ、俺は軽く肩を抱く。


「アクイラぁ……」


 セレナが甘ったるい声で俺の名前を呼び、強く抱きついてくる。俺は二人をぎゅっと抱き締め、頭を撫でてやった。ルーナが静かに俺に寄り添い、セレナが笑顔で俺の腕を掴む。


「アクイラと一緒なら安心だね」

「私もそう思う」


 セレナが明るく言い、ルーナが穏やかに頷く。俺は二人を見て苦笑しつつ、眠りに落ちていった。

 翌朝、目を覚ますと、二人がまだ俺に絡みついて眠ってる。ルーナの銀髪が顔に張り付き、セレナの茶髪が枕に広がってる。俺はそっと抜け出し、服を着た。偽イオンパーティへの張り込みとして、今日も傭兵ギルドの酒場に足を運ぶ。しかし、毎日何もしないのも怪しまれるので、何か依頼を探そうと思った時だ。依頼掲示板の前にいた女性を見て、俺は目を見開いた。

 彼女は強靭な体つきをしており、その筋肉は一目で力強さを物語っていた。赤い髪と黄色い瞳は、その強さと相まって印象的だ。彼女は赤と黄色を基調としたタンクトップを着てて、胸元に金のラインが走り、筋肉質な体を強調してる。黒のレザーパンツが強靭な体を引き立て、黒のレザーブーツが足元に安定感を与える。腰に革のベルトが巻かれ、剣士としての実用性が感じられる。赤髪が肩で揺れ、黄色い瞳が鋭く光る。


「テラ!」


 俺は思わず彼女に声をかけた。彼女は驚いた顔をしていたが、やがて笑顔を浮かべた。


「? アクイラ?」

「久しぶりだな。最近見かけなかったが、元気にしてたか?」

「それなりにね」


 テラは笑顔で答えた。その笑顔は以前と全く変わらない。


「アクイラこそ元気そうで良かった」

「ああ、俺も元気だ」


 俺はそう言って笑った後、彼女に話しかけた。


「なあ、今暇か? ちょっと話そうぜ」


 俺がそう言うと、彼女は少し考え込んだ後、口を開いた。


「んー? 僕は平気。アクイラの連れは良いの?」


 テラは俺の両サイドにいるルーナとセレナを見てそう言った。ルーナは完全に敵意を向けている。仲良くしろ。セレナはぎゅっと強く俺の腕を掴み、テラを興味津々で見ていた。


「ああ、久しぶりにお前と話したいんだ。それに俺の仲間も紹介したい」


 俺がそう言うと、ルーナとセレナも静かに頷いた。テラは二人を見て不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔を浮かべた。


「ふーん? まあいいや」


 席について、早速テラに二人を紹介する。酒場の喧騒の中、木製のテーブルに酒杯が置かれ、俺たちの声が響く。


「こっちがルーナ、水属性の魔法使いだ。それでこっちがセレナ、狩人だ」

「よろしくね~」


 セレナが手を振る。ルーナはこくりと頷くだけだった。その様子を見て、テラはこくりと頷いた。


「僕はテラ、剣士、よろしく」


 剣士となる彼女に、セレナがとある疑問を投げかけた。


「え? 剣はどこにあるんですか?」

「ああ、テラは魔法で剣を生成するんだ」


 セレナの疑問に俺が答えると、テラは右手を前にかざした。すると彼女の手に一本の剣が現れた。シンプルで美しいデザインの剣で、銀色に輝く刃がとても綺麗だ。何より驚くのはその軽さだ。彼女はそれを片手で持っている。


「す、すごいですね」


 セレナが驚くのも無理はないだろう。いくら魔法でも、こんな精密に武具を作れるのはそうそうない。


「僕の魔法。金属、操る」


 そう言うと、テラは剣を粒子にして消した。俺はその様子を懐かしそうに見つめる。


「俺はまだルナリスにいるよ。そこでこいつらと三人パーティをしてるんだ。お前は?」


 俺がそう言ってテラに尋ねると、彼女は少し考えた後、口を開いた。


「僕はテミスを拠点にしてる。今はパーティメンバーが一人いるよ」


 知っている。イオンという人物だ。俺たちはそいつが本物か偽物かの調査をしてるのだから当然か。


「へえ、どんな奴なんだ?」

「静寂のイオン、銃士。無口、あまりしゃべらない」


 それ、お前が言うんだ。


「へえそうか。会えたりするのか?」

「…………? 何故?」

「えっと興味本位だ」

「そう。イオン、休み、わからない。明日、依頼。…………来る?」

「いいのか?」

「多分」


 とりあえず明日の約束を取り付ける。朝になったら傭兵ギルドに行けばいいらしい。了承を得て、俺たちは翌日に備えるために準備をして宿に戻ることにした。宿に戻る道中、セレナが市場で買った野菜をかじりながら歩いてた。すると、彼女が石につまずき、スカートが勢いよくめくれ上がった。膝丈のスカートが風に翻り、太ももが一瞬見えた。


「うわっ!」


 俺は視線を彼女の足元にやった。ルーナが俺の腕をつねってくる。


「アクイラ、見過ぎ」


 セレナは顔を赤くしてスカートを押さえ、慌てて立ち直った。宿に着くと、ルーナが荷物を整理中、棚の角にスカートが引っかかり、少しずり下がった。白い太ももがチラリと覗く。

 ルーナは顔を赤くしてスカートを直し、俺を見つめる。


「…………脱ごうか?」

「もう少し恥じらえ」


 俺はルーナの頭を軽く叩いた。

名前: テラ

二つ名: 地剣

一人称: 僕

出身: テミス聖王国

年齢: 20歳

職業: 剣士(初級傭兵ランクサファイア

外見: 強靭で筋肉質な体つき、赤い髪が軽やかなウェーブを描き、鮮やかな黄色の瞳を持つ。

性格: 真面目で努力家、無口だがまっすぐで優しさを持つ。仲間には厳格ながら信頼を寄せる。

戦闘スタイル: 地属性の魔法を駆使し、武器生成魔法で剣を作り、身体硬化魔法で防御を強化。近接戦闘で力強さと精密さを発揮。

得意技: 地属性の剣術と防御魔法の組み合わせによる圧倒的な前衛戦闘。

趣味: 武道修行(自己鍛錬に情熱を注ぐ)。

好物: ステーキ(肉好き)。

苦手なもの: 魚介類。

人間関係: 過去にアクイラと3ヶ月間パーティを組み、信頼を築くも理由不明で離脱。現在は静寂のイオンとパーティを組む。

服装: 赤と黄色を基調としたタンクトップ(胸元に金のライン、筋肉質な体を強調)、黒のレザーパンツ(強靭な体を引き立て、動きやすさ重視)、黒のレザーブーツ(安定感と実用性)。腰に革ベルトを着用。

目標: 自己鍛錬を続け、強さを追求しつつ仲間を守り絆を大切にする。

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