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炎焔の鎧  作者: なとな
第7章 敵地
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第7章5話 魔族の住処の入り口で

 ジェンマを先頭にしてそのすぐ後ろには明かり役の獅子の戦士レグルス。その後ろに私で隣にルーナがいる。後はぞろぞろと後ろをついてきていて最後列に闇鎖闘士レクサを配置している。ジェンマは周囲を警戒しながら進んでいく。やがて道が分岐している場所に出る。


「どっちに行く?」


 私がそう問いかけると、ジェンマはしばらく悩んでからこう言ったのだ。


「右の方がアクイラに近いかなぁ?」

「わかった、ならば行こう」


 そうして私たちは右の道を歩き始めるのだった。しばらく歩いていると、魔獣の群れの様だが、このメンバーで苦戦することはなく問題なく進んでいく。


 しかし、先に進めば進むほど魔獣たちの強さと禍々しさが増している。


「やはりこの先は魔族の本拠地の可能性が高そうだな」


 私はそう呟く。ジェンマもそれに同意する。


「そうだねぇ…………だんだんアクイラの距離は近づいているはずなんだけどどんどん暗く沈んでく感じ。妖精族これ苦手!」


 そしてまたしばらく歩いていると、今度は大きな水辺が洞窟内にあった。


「ここは……大きな湖か」

「かなり深いね。この底から禍々しい気配がするよ」


 ジェンマはそう言いながら湖を見つめている。

 すると、レクサが辺りを警戒しながら呟く。


「気をつけると良い。この先は魔獣じゃない。魔族が出るぞ」


 レクサの言葉に全員が警戒を強める。そして、その時だった。


「グギャァァァァア!」


 湖から大きな水柱が上がりそこから巨大な魔獣が現れる。その姿はまるで龍のような姿をしており、その鱗は黒く禍々しい光を放っている。


「知らない魔獣!?」


 私は先手必勝。龍のような魔獣の顎を蹴り飛ばすと、魔獣は洞窟の壁に後頭部を強く打ち付ける。


「レクサ、あいつはなんだ!? お前はまさか知っているのではないか?」


 私が問いかけると彼は静かに答えた。


「獣には興味がなくてね。知らないんだ」

「そうか…………貴様には後で話がある。死ぬなよ?」

「この程度、問題ないさ」


 レクサはそう言うと、影から鎖を飛ばし、魔獣を貫いていく。他のメンバーも遠距離攻撃をしかけ魔獣を攻撃していく。


「ルーナ、君は私の後ろにいろ」


 私はそう言うと、龍のような魔獣に殴りかかる。すると魔獣は私の攻撃を避けつつ尻尾を振り回してくる。私はその尻尾をがっしりと掴むと思い切りぶん回すのだった。


「これで……どうだ!」


 そのまま投げ飛ばすと、魔獣は壁に叩きつけられ大きな衝撃と共に壁が崩れる。しかし、それでもなお魔獣の勢いは衰えず、再びこちらに突進してくるのだ。


「くっ! タフな奴だ」

「カイラ様! 私も行きます!!」


 そう言って飛び出してきたのは、大斧を担いで振りかぶるクリスタラだ。斧の刃は全てが氷でできていて神秘的な見た目をしている。


「氷の斧よ、我が力を受けてさらに巨大化せよ。氷斧増幅グラキエス・アクシス・マグニフィカ


 斧が巨大化していく。しかし、その大きさでも魔獣は倒れない。今度は口を開いて熱線を吐き出して氷の斧と衝突する。


「グルルルル……ガァァア!」


「強すぎますね」


 クリスタラは必死に押し返そうとするが、魔獣の熱線はどんどん強くなっていく。このままではまずいと私は思った。


「みんな、クリスタラの援護だ!」


 指示を出した後に、同時に私は熱線を防ぐため、魔獣の下あごを蹴り上げた。皆には同時に見えただろうか。


「水よ、我が身を覆いその姿を隠せ。水中融解アクア・デグレデ


 エルフのミズキが湖に溶け込み、消えると同時に水中から無数の水の弾丸が魔獣を襲い続ける。


「僕も…………大地よ、我が手に金属を集め、剣を創り出さん。金属創刀メタルクリエイティオ


 テラは空中に無数の剣を創造し、その剣が魔獣に降り注いだ。そして、レクサの鎖による攻撃も加わり、魔獣はどんどん弱っていく。


「終わりだ」


 私は本気で地面を蹴り、飛び上がると魔獣の顔面に空中で回し蹴りを決めて水中に叩き落としてやった。


「グルゥ……ァ……」


 水中で暴れる魔獣。だが、その抵抗もすぐに終わりを迎えることになる。ルーナが魔獣に向かって歩き出して行くのだ。私は思わずルーナの手を取ったが、彼女はこちらを振り向かずにこう言った。


「大丈夫です」


そして、彼女は水の中に入っていき、やがて魔獣にたどり着くと手を翳した。


「水よ、周囲の流れを集め、目の前の者を圧縮せよ。水圧圧縮スプリプリッサ


 ルーナの手のひらに魔法陣が浮かぶと、魔獣を中心に水が集まりだす。やがて水の球となりその中に魔獣が閉じ込められる。そして最後にその水は一気に圧縮されてしまい、魔獣だった物は球体となって地面に転がったのだ。


「これが……君の魔法か」


 私は成長していくルーナの姿を見て、思わずそう呟いていた。

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