表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎焔の鎧  作者: なとな
第1章 出会い
10/121

第1章10話 ベラトリックス再び

 翌日、俺はギルドに向かう準備を整えた。早朝の光が窓から差し込み、小屋の中を優しく照らしている。焚き火の残り香がまだ漂う中、ルーナが眠そうな目をこすりながら俺の隣に座ってきた。彼女の銀髪が朝日を受けてキラキラ輝いてて、青銀の魔導士服が少し乱れて胸元を強調してる。細い腰に目が行っちまうが、今は我慢だ。昨日、カイラさんとの一件で少し疲れてる俺を見て、彼女が心配そうに聞いてきた。


「アクイラさん、今日も調査に行くんですか?」

「ああ、そうだ。昨日の話、まだ終わってねえからな。お前も来るか?」


 ルーナが小さく頷く。危険なのは分かってるはずなのに、その決意がハッキリした瞳に宿ってて、俺は感心せずにはいられなかった。とはいえ、彼女の俺への依存が日に日に強くなってる気がする。初めて会った頃の不安そうな目が脳裏をよぎる。あのトラウマを癒すためなら仕方ねえが、いつまでも俺にしがみつかれるのも困る。少しずつ自立させねえとな、なんて考えながら、彼女の柔らかい手を握り返した。

 準備を終えて外に出ると、カイラさんが待っててくれた。銀髪が風に揺れて、淡い緑のシフォンブラウスが朝日に透けて色っぽい。フレアスカートが細い脚をチラ見せしてて、俺の視線が自然と下がっちまう。右手にはルーナの手がしっかりと絡みつき、左手はカイラさんがサラッと握ってきた。二人に挟まれて街を歩く俺は、まるで王様にでもなった気分だ。周囲の視線が俺たちを追いかけてくるのが分かる。男どもは羨ましそうに、女どもは好奇心丸出しでこっちを見てやがる。まあ、こんな美女二人を引き連れてりゃ注目されても当然だな。

 ギルドに到着すると、受付のリズさんがいつもの親しげな笑顔で迎えてくれた。金髪が軽やかに揺れて、エメラルドグリーンの瞳が朝の光に映えてる。ボレロジャケットが胸の膨らみを際立たせてて、スカートのスリットから覗く脚に目が離せねえ。俺はニヤけそうになるのを抑えて声をかけた。


「よう、リズさん。今日も綺麗だな」

「おはようございます、アクイラさん。褒め言葉は嬉しいですけど、今日は何かご用ですか?」


 リズさんがクスクス笑いながら返す。俺の軽口にも慣れたもんだ。ルーナが少し不満げに俺の手をぎゅっと握ってくるが、無視して話を切り出した。


「すみません、大事な話があります。ギルドマスターのところに通してもらえますか?」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」


 リズさんが俺たちをギルドマスターの部屋へと案内してくれた。扉が開くと、そこには一人の女性が優雅な立ち姿で待っていた。ギルドマスターのレアさんだ。その存在感に、俺は一瞬言葉を失っちまった。長い黒髪が光を吸い込むように艶やかで、灰色の瞳はまるで俺の心を見透かすような深い知性を秘めてる。年齢は三十代半ばくらいか? でもその落ち着いた雰囲気は、ただの傭兵上がりじゃ出せねえ貫禄だ。

 彼女の装いは、ギルドマスターとしての責任感と知性をバッチリ反映してる。ダークグレーのロングコートはシンプルだが、知的で優雅な印象を放ってる。金の刺繍が施された襟元や袖口がさりげなく高貴さを際立たせてて、ブラックのスリムフィットパンツは動きやすさと洗練された雰囲気を両立してる。白いブラウスは控えめなデザインながら、胸の膨らみを柔らかく包んでて、上品さが滲み出てやがる。足元にはブラックのローヒールブーツがピシッと決まってて、全体の調和が完璧だ。首元に光るシルバーのペンダントは、彼女が魔法の研究に打ち込んできた情熱を象徴してるらしい。知性と責任感がビンビン伝わってくる姿に、俺はつい見とれちまった。

 レアさんが柔らかい笑顔で俺たちを迎えてくれる。


「さて、何かご用ですか、アクイラ君? そして、カイラ様と、新しい仲間のルーナ君も一緒ですね」

「はい、ギルドマスター」


 俺は一呼吸置いてから話し始めた。ルーナの手がちょっと震えてるのが分かるが、カイラさんは冷静に俺の横に立ってる。


「昨日、リズさんから聖女様の失踪に関する情報をいただきました。まず第一に、なぜ中級傭兵(ランクエメラルド)の俺に?」

「それは君が適任と判断したからだ」


 レアさんが即答する。俺は眉をひそめた。このギルドには上級傭兵がゴロゴロいるし、特級傭兵ランクダイヤモンドのカイラさんも立ち寄っている。


「このギルドに常駐してる傭兵は上級傭兵(ランクルビー)が複数名います。それに今は特級傭兵(ランクダイヤモンド)のカイラさんもです。その上で、一種類の魔法しか使えず、ここ最近までソロだった俺が…………適任? それはどういうことですか?」


 レアさんはテーブルの上にあったコーヒーを一口飲むと、ゆっくりカップを置いて真剣な顔で答えた。


「それは君にしかできないことがあるからだよ、アクイラ君」


 その言葉がズシンと胸に響いた。彼女の灰色の瞳が真っ直ぐ俺を捉えてて、心の奥まで見透かされてる気がする。俺以外に適任がいねえって言われたことに、ちょっとした嬉しさが湧いてきちまった。確かに俺は火属性の「炎焔の鎧(エンフレクス・アルマ)」しか使えねえし、ソロでやってきた期間が長い。だが、それが逆に何か特別な意味を持つってのか? 俺は深呼吸して気持ちを落ち着け、ゆっくり口を開いた。


「わかりました、お受けしましょう。それから一つお聞きしたいことがありまして」

「なんだね?」

「聖女様の失踪情報はギルドマスター経由でリズさん、そして俺へと来たと思いますが…………ギルドへ報告した者は誰ですか?」

「それは機密事項扱いだ」


 レアさんが静かに答える。俺が一番知りてえのは、聖女失踪の情報がギルドに上がる前に誰がそれを知ってたかだ。ベラの密命と絡んでるのか、それとも別の何かか。だが、レアさんの口は固い。一番肝心な部分は分からなかったが、まあいい。焦っても仕方ねえ。

 俺たちはギルドマスターの部屋を出て、リズさんに軽く挨拶してからすぐに出発の準備に取りかかった。リズさんの笑顔が眩しくて、つい胸元を覗きそうになったが、ルーナの視線を感じて我慢した。まずは聖女失踪の情報をギルドに報告した人物を探すのが先決だ。ベラの再調査が絡んでるなら、あの洞窟から手がかりを掴むしかねえ。

 街を出て、俺たちは草原を進んでいった。風が草を揺らし、遠くで魔獣の咆哮が聞こえる。草原には狼型や猪型の魔獣がうろついてて、時折その姿が視界に入る。俺たちはそいつらを倒しながら、素材を回収していった。ルーナが水の魔法で猪型の魔獣を仕留める姿を見て、成長したなと感心する。カイラさんは一蹴りで狼を吹っ飛ばし、俺は炎の拳で焼き払った。素材集めも兼ねてたから、効率よく進める必要があった。


「ルーナ、魔獣を倒すだけじゃなく、解体することも大切だ。解体の技術は知識と経験がいるが、まずは見本を見て学ぼう」


 俺がそう言うと、ルーナが首をかしげてきた。蒼い瞳がキラキラしてて、ちょっとドキッとしちまう。


「解体って、どうやるんですか?」

「見てりゃ分かる。俺が手本を見せてやる」


 俺はリュックから大きめのナイフを取り出し、地面に置いた。それから解体用のナイフをルーナに手渡す。彼女は興味津々にそれを受け取り、目を輝かせて俺を見つめてくる。俺は倒した狼型魔獣の前にしゃがみ込んで、作業を始めた。


「いいか? まずこの腹の部分からナイフを入れて、こうやって毛皮を剥いでいくんだ。力加減が大事だから、よく見とけ」


 ナイフを滑らせて毛皮を丁寧に剥ぎ、肉と骨を分ける手順を見せていく。血の匂いが鼻をつくが、慣れたもんだ。ルーナはその様子を食い入るように見てた。剥ぎ終わった毛皮を広げて見せると、彼女が感心したように頷いた。


「へえ、すごいですね。こんな風に綺麗に剥げるんだ」

「だろう? 次はお前がやってみろ。最初は難しいが、慣れれば簡単だ」


 俺が残りの魔獣を次々に解体していくと、最後の1匹を終えた時、ルーナが興奮気味に拍手してきた。


「すごい! こんなに簡単にできるなんて! アクイラさんって本当に器用ですね!」


 その無邪気な笑顔に俺もつられて笑っちまった。彼女がこんなに喜んでくれるとは思わなかった。


「だろう? だがな、これはあくまで手本だ。自分でやると結構難しいんだぞ。失敗してもいいから、挑戦してみな」


 ルーナが目を輝かせて即答してきた。


「じゃあ、私にもできるかな? やってみたいです!」


 その言葉に俺は思わず笑いがこみ上げてきた。解体なんかに興味を持つなんて、こいつらしいっちゃらしい。彼女がそんな気分なら、教えてやるのも悪くねえな。だが、ルーナは俺の笑いを見て頬を膨らませてきた。


「なんで笑うんですか?」

「いや、別に馬鹿にしたわけじゃねえよ。ただ、お前がそんなのに興味を持つとは思わなかったからさ。意外で嬉しくなっちまった」


 俺の言葉に、ルーナはまだ不満げな顔をしてたが、その表情すら可愛くて仕方ねえ。カイラさんがクスクス笑いながら見てたが、特に何も言わねえ。まあ、こいつも俺たちのやり取りに慣れてきたんだろう。

 そんなこんなで、俺たち三人はベラと出会った洞窟までたどり着いた。薄暗い森の中、木々の間から漏れる光が地面にまだら模様を描いてる。あの不気味な空気がまだ残ってて、背筋が少し寒くなった。


「ここです、カイラさん」


 俺がそう言うと、ルーナが俺の腕にギュッと抱きついて頷いてきた。彼女の柔らかい胸が腕に当たって、ちょっと集中が乱れそうになる。


「この洞窟は聖女様失踪の情報と同じ頃に、俺たちが地の聖女を名乗る女と会った場所です」


 俺の説明を聞きながら、カイラさんがスッと洞窟の中へ入っていく。俺もルーナの手を引いて後に続いた。道中、魔獣が何匹か襲ってきたが、カイラさんの蹴りが炸裂するたびにあっさり沈んでいく。俺は炎の拳で援護しつつ、彼女の動きに見とれちまった。スカートが翻るたびにチラッと見える白い太ももがたまんねえ。つい出来心で、カイラさんが近くを通った瞬間に彼女のお尻に手を伸ばして軽く触っちまった。柔らかくて弾力のある感触が指先に伝わってきて、俺の心臓がドキッと跳ねる。


「アクイラ、何だ?」


 カイラさんが振り返って俺を睨んできたが、その声にはどこか楽しげな響きがある。師匠として俺を鍛えてきた彼女は、こういう軽いスキンシップにも慣れてるのか、怒るどころかニヤリと笑ってやがる。


「いや、つい手が滑っちまってさ。師匠のお尻、いい形してるなって感心しただけだよ」

「私の身体を不躾に触りすぎだが…………だが、褒め言葉は悪くない気分だ」


 カイラさんが軽く肩をすくめて笑う。ルーナが俺の手をギュッと握って不満げに睨んできたが、カイラさんとの信頼関係は揺るがねえ。まあ、こいつもそのうち慣れるさ。

 洞窟の奥に進むと、大きな空洞にたどり着いた。以前ベラと会った場所だ。だが、雰囲気はあの時と違ってる。空気が重く、何か不穏な気配が漂ってやがる。俺はルーナの手を引っ張って岩陰に身を隠し、カイラさんに小声で話しかけた。


「そこに倒れてる人がいるんで、カイラさんだけで話しかけてください」

「わかった」


 カイラさんが静かに近づいていく。倒れてるのは美しい黒髪の女だった。しばらくして、彼女が目を覚ましたらしい。


「ううっ……ここは一体」


 その声は弱々しく、まるで洞窟の魔獣に襲われた後のようだ。カイラさんが優しく声をかける。


「気が付いたか?」


 女が体を起こし、周囲を見回す姿を見て、俺は少し胸を撫で下ろした。命に別状はなさそうだ。年齢は二十歳くらいか? 長い黒髪をポニーテールにまとめてて、整った顔立ちが目を引く。だが、服装が問題だ。ボロボロに破れた黒と赤の衣装は露出度が高く、胸元が大胆に開いて平らな胸元が丸見えになってる。スカートもズタズタで、むっちりした太ももがほとんど露わだ。白い肌に傷跡が残ってるが、それが逆に色っぽさを増してやがる。そして何より、深緑の瞳が宝石みたいに透き通ってて、吸い込まれそうな感覚に襲われた。俺がそんなことをボーッと考えてる間に、彼女が口を開いた。


「助けていただいてありがとうございます」


 礼儀正しく頭を下げる姿に、俺は思わず疑念を抱かざるを得なかった。カイラさんが応じる。


「気にするな。君は何者だい?」

「私の名前はベラトリックスと申します」


 その名前を聞いた瞬間、俺の中で疑念が確信に変わっちまった。

名前: レア・アヴェリック

二つ名: 女傑

年齢: 35歳

職業: ギルドマスター(元特級傭兵ランクダイヤモンド

出身: ルナリス

容姿: 黒髪(金装飾のウェーブ)、灰色の鋭い瞳、細身で引き締まった体型(身長約165cm)

服装: ダークグレーのロングコート(金刺繍入り)、白ブラウス、黒スリムパンツ、黒ローヒールブーツ、シルバーペンダント

性格: 知的で温和、決断力あり、責任感強い

戦闘: 光属性魔法(光の柱、盾、治癒)、後方支援型

趣味: 料理(フルーツタルト得意)

家族: 夫と娘を大切にする母親

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ