幕間 プレイスタイル
「それじゃあ、お疲れ様でした」
シャーロットは、クエストクリアと共にエトワールへそう言葉をかけた。
エトワールは、初期装備の魔法使い姿である。
真っ黒のローブに、少し大きめのとんがり帽子。
手には身の丈より少し大きい木の杖があった。
髪は真っ黒のストレート、瞳も黒だ。
ただのおしゃれアイテムであるメガネをかけている。
「あ、はい、お疲れ様でした!」
返して、エトワールは頭を下げた。
そして目の前でログアウトした彼女を確認して、シャーロットはすぐにフレンド登録も確認する。
ここにはフレンド登録もしたプレイヤーが、ログインしているか否かが表示されるためだ。
少なくとも、エトワールはちゃんとログアウトしていた。
「…………」
そのことを確認したうえで、シャーロットは【底辺ガンター】ことウォーレンへメッセージを送った。
ちなみに、ウォーレンはログイン中だ。
メッセージの中身は、新しくイースターエッグを見つけたから一緒にプレイしないか、という内容である。
そして、以前話を聞いて気になっていたガンター専用スレで実況したいから、ということも記載した。
というのも、ゲーム内の掲示板にはスレを立てたプレイヤーが鍵を掛けられるよう設定できるのだ。
つまり、任意の相手同士だけでのやりとりが可能なのである。
やり方は簡単で、スレ立ての時にその機能をオンにする。
そうすると、自動でランダムな文字列のパスワードが表示されるから、それをやりとりしたいプレイヤーに教えればいいだけだ。
もしも、そのパスワードが嫌なら自分で設定し直せる。
ガンター専用スレ、とスレタイにある掲示板の七割から八割はこの機能を使用している。
返信は、すぐに来た。
【相変わらず、ガンガン見つけていくなぁ。
いいぜ。
でも、この前と今日と一緒に遊んだ子は誘わなくていいのか?】
これに、シャーロットは返信した。
【うん、ほら情報はあまり流さない方がいいって、他のスレで言われてるの見たから。
それに、このイースターエッグまでの道のりはその子も知ってるから。
プレイしたいなら、たぶん自力で遊ぶと思う】
またすぐに返信が来た。
【珍しいな。
お前はそういうの、無頓着だと思ってた。
てっきりその子も一緒に誘うものかと。
まぁ、お前がいいならいいけど。
それで、いつプレイする?】
【来週の土曜日で】
【了解。じゃ、また来週】
【うん、よろしく】
それで、ウォーレンとのやり取りは終わった。
しかし、すぐに、
「あ、クロさんにも連絡しとこ」
クロさん、というのは【✝︎漆黒の堕天使✝︎】のことだ。
結局、クロさん呼称に落ち着いたのだ。
クロにも、今回見つけたイースターエッグについてメッセージを送る。
こちらもすぐに返信が来た。
クロも来週、一緒にプレイできるとのことだった。
【追記】
実家の田植え諸々で更新不定期になります。