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【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】  作者: 浦田 緋色 (ウラタ ヒイロ)
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幕間 彼がそれを好きになったきっかけ

メインストーリーを終えたので、ゲームからログアウトした。

もちろん、一緒に遊んでくれたパイルバンカーニキこと、プレイヤー名【はぽたん】にもお礼を伝えてからログアウトした。


窓を見ると、西日が差し込んでいる。

もうそろそろ、母が帰ってきて夕食を作る時間だ。

夕食までには、まだそれなりの時間があった。

新太は本棚を見る。

続いて床で幾つもの塔となっている、本の山を見た。


「次はどれ読もうかな」


呟いて、適当に手を伸ばす。

そしていつも通り、今度は本の世界へと没頭するのだった。


そうして、夕食の時間となった。

今日は父は遅いらしいので、新太を含めた兄弟三人と母。

四人で先に食べることになった。

メニューは唐揚げである。

山盛りの唐揚げが、兄と弟によってあっという間に無くなる。

ついでにどんぶり飯も無くなっていく。

新太はもそもそと、ゆっくり食べていく。

母が苦笑してその光景を見ていた


「そういえば」


ガツガツと、そのイケメンぶりからは想像もつかない豪快さで白飯と唐揚げをかきこんでいた兄が、新太に声をかけてきた。


「ゲーム、ピラミッド出てくるんだってな」


兄がゲームのことを聞いてくるとは、珍しい。


「あー、うん、新しいエリアにあるよ。

中にも入れる」


新太は答えた。

兄は言葉を続ける。


「妹ちゃんと一緒に遊んだのか?」


妹ちゃん、というのはエトワールのことである。

兄が仲良くしている女子生徒、【鳥越える】の妹のことである。

名前は、【鳥越るりあ】である。


「すごい強いんだろ、妹ちゃん?

えるが言ってた」


「あ、あー、いや。

俺と遊ぶ時は、俺に合わせてくれたのか別のキャラクターだった」


「そうなのか。

でも名前は同じだったからわかりやすかったろ。

俺が教えた通り、お前が読んでた本のタイトルと同じ名前だったろ?

なんだったっけ?

えと、あ、エトルリヤだ」


新太は反応に困る。


「あー、いや、ちょっと変えてたよ」


困ったまま、そう返した。


「そうなのか」


兄はそう言うと、話題をまたピラミッドへ変えた。


「そうそう、ピラミッドだ。

母さんから聞いたけど、おばさんが作ってたゲームなんだろ?

俺もそのゲーム遊んでるやつから色々聞いてるんだけど、元ネタがあるんだってな。

なら、ラスールの話はあったか?」


兄が興味津々に言ってくる。


「ら、ラスール??」


そんな名前のNPCは知らない。

そもそもラスールの話とはなんのことだ??


「ラスールの話ってなに??」


「あんた達、ご飯食べながら話すのはやめなさい。

話すならさっさとたべちゃいなさい」


しゃべくっていたからか、母に注意されてしまった。



兄から話題を振って来たのも珍しかったが、なによりもその内容にピンと来るものがあった。

だから、夕食後に新太は兄に【ラスールの話】を詳しく訊ねた。


「え、それ、本当の話?」


兄から【ラスールの話】を聞いて、すぐに新太は聞き返した。


「映画みたいな話だけど、実話らしいぞ。

おばさんが持ってた漫画で読んだ。

俺が世界史好きになったきっかけ、その漫画本だから」


兄は懐かしそうにそう口にした。


「ありがと!兄ちゃん!!」


手短に礼を言って、兄の部屋を出る。

廊下で風呂から上がった弟とすれ違う。


「あ、兄ちゃん、風呂あいたよ」


新太はもう一度ゲームにログインするために、自室へ駆け込む。

駆け込みながら、


「先に颯太兄ちゃんに入れって言っといてくれ!」


そう返した。


「りょ〜か〜い」


のんびりとした弟の返事を背中に聴きながら、部屋の扉を閉める。

そして、新太はもう一度ゲームの世界へとログインしたのだった。

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― 新着の感想 ―
漫画!? 漫画だと!? 全然無知で何一つ話題が広がりませんが漫画なら読んでみたいものです……! エトワールちゃんもう気づかれていたのか……。
あの発掘をリアタイの如く体験できるなんて、なんてなんて恨めやましいψ(`∇´)ψ歴史好きにはたまらんネタではありませんか。しかし本当に謎ですよね、「開けたのにまた封印し直して去っていった」のって。何か…
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