第一話
初投稿です。
大学の暇な時期に思いつきで投稿したので、趣味程度のものです。
本当に人様に見られる文章を最初はかけないと思いますが、よろしくお願いします。
俺の名前は楠蓮18歳。
祖父の家に暮らす盲目のニートだ。
目が見えなくなってから3年、いまだに行方不明の家族の情報は出てこないし、あのときのことは思い出せていない。
15歳の頃、家族でカナダに旅行に行った際、原因不明の吹雪にあったらしい。
その旅行はツアー形式で、他の参加者もいたようだが、同様に行方不明。
見つかったのは半身氷漬けで倒れていた俺1人だった。
なぜ『らしい』という断定的な言い方を避けていったのかというと、つまり、俺はその当時のカナダに行ったときの記憶を持っていないのである。
相当ショックなことがあったのかわからないが、カナダの原住民に拾われて日本の病院に送られてくるまで、廃人状態だったとのことだ。
病院で正気に返り、意識を取り戻した頃には目が見えなくなっていた。
幸せな家庭は一気に崩れ、カナダで起こった出来事を思い出そうとすると、頭が割れそうなほど痛くなる。
このときの俺は人生が終わったような気持ちだった。
じいちゃんに引き取って貰ったが、今まで見えていたものが見えなくなる恐怖、突然親がいなくなる絶望、これらのせいでまともに学校へは通えなかった。
それからというもの、学校をやめ、家で引きこもる日が続いた。
そんな俺に対しても、じいちゃんは何も言わず、今まで通り優しく接してくれた。
「さて、今日も今日とてやることがないわけですが・・・」
いつも通りベッドの上でゴロゴロしながら腕を上げ、ガサゴソとテレビのリモコンを探す。
目が見えなくなってからやることと言えば、音楽を聴くことかテレビをつけて音声だけで番組を楽しんだり、ニュースを聞いて情報を得ることである。
1日の大半は、これらで時間を潰すことができる。
やっと見つけたリモコンを手に取り、起き上がりつつテレビをつけ、ニュースを見る。
『やはり今日の目玉は! 本日より使用可能なバルザイ・ギアでーす!皆さんが知っていますようにこれは世界初のフルダイブ型マシンでして・・・』
世界初のフルダイブ型マシン“バルザイ・ギア”。
日本の他の企業を見ても、また、他の国の企業を観察しても、このようなバーチャルリアリティを搭載したゲームは存在しない、そしてこの機械を作った企業が無名だったというのがまた驚きだ。
『さらにこちらは、バルザイ・ギア専用オンラインソフト、abyssです! こちらも本日午前10時よりより、アクセス可能です!』
そしてabyssというこのソフト。
先ほどの企業が同様に作り出したバルザイ・ギア最初のソフトだ。
いわゆるVRMMORPGとして完全なる異世界を自らが、“人族““魔族““妖精族”“獣族”“土人族”の5つの種族のどれかになって体験するというゲームだ。
「まぁ・・・ 俺には関係ないよなぁ・・・。」
正直とても興味がある。
だが、完全予約制であり、セットで10万もしてしまう。
そんなものを買う余裕はニートの俺にはなかった。
だらだらとニュースを見ていると、下の階が騒がしくなった。
「れーーーーーん!!! じいちゃん良いもの手に入れたぞーーーーー!!!」
ドタドタと2階の俺の部屋まで走ってくる。
いつまでも元気なじいさんだな、微笑ましく思っていると、ドアを開け鼻息が荒い祖父が入ってきた。
「蓮・・・ これ、何だと思う?」
声色から相当興奮して言うのがわかる。
「・・・? ヘルメットみたいだな・・・?」
両手に乗せられたソレを触りながら答えた。
「正解はな・・・。バルサン・・・バルガ・・・」
「もしかしてバルザイ・ギアか?」
「それじゃ!それ!」
嘘だろ・・・!? なんでこんなの持ってるんだ!?
「これは完全予約制のはずじゃ・・・っていうかなんで買ったんだ? もしかしてその年でバーチャルの世界に行こうとしてるのか・・・!?」
「馬鹿言え! じいちゃんはゲームのことなんか全然知らんし、興味も無い! ただ、いつもつまらなさそうにしているお前を見とっての・・・。この世界なら目が見えるようになるかもしれんと思って買ったんじゃ。」
俺のために・・・こんな家で何もしていない俺を気遣って買ってくれたのか・・・
「じいちゃん・・・本当にありがとう。大事に使うよ」
「かまわんかまわん。これで元気を取り戻してくれればええて。それより、早速やってみるか?」
セッティングはすべてじいちゃんがやってくれた。
そのときの俺と言えば、頭の中は異世界のことばかりだった。
どんなモンスターがいて、どんな風景があって、どんな設定でこの世界が作られているのか。
子供の頃の俺は探索するのが好きで、自分が住んでいた町の隅々まで知っていた。
その頃と同じようにこのゲームもプレイできたら良いななどそんなことを考えているとどうやら終わったらしい。
頭にギアをかぶせられ、そのまま寝かされた。
「準備は良いか?」
「うん、バッチリ」
「楽しんでくるんじゃぞ。じゃが、昼食の時までには帰ってきなさい。今は10時3分だから2時間程度遊べるな」
そんな忠告と共にじいちゃんがボタンをカチッと押す音が聞こえた。
瞬間、俺の意識は電子の海に沈み、精神が肉体から解放され別世界に解き放たれた。
別世界に完全に溶け込んだと感じた俺は、恐る恐る重いまぶたを上げ、目を見開いた。
そこは今まで通りのただの真っ暗な世界だった。
やっぱりそうだよな・・・。バーチャルの世界に入ったら目が見えるようになるだなんてなんでそんな希望を持っちゃったんだ・・・。
『ログイン確認完了』
どこからともなくそんなような声が聞こえた。
すると真っ暗だった目の前が光り出し、名前、初期スキルの選択画面が広がった。
「え・・・?あっと・・・。え・・・?」
見えて・・・る・・・?
嘘じゃないよな、これ。
3年間我慢してきた・・・。もう一生外の風景が見れず退屈な人生を送るものだろうと思っていたが、この世界なら・・・。
困惑しながらも自然と笑みが浮かぶ。
「決めた。俺は何があってもこの世界を知り尽くす。すべてを見てすべてを知って、この世界を楽しみ尽くす!!」
名前を入力しながらそう誓い、初期スキル選択画面に目をやった。
スキルの数・・・多すぎないか・・・?
設定は練ってるけど文章力が・・・