一方その頃・・SIDE ブル③
「ぐぅぅぅうう サキぃぃ……デルティアぁぁぁ……」
あまりの悔しさに怨嗟の声が漏れ出すブル。
失意のままに、だがどうすることも出来ずに激安宿に……狭く、ただギリギリ寝るだけのスペースがあるのみの宿に戻る。
「絶対に許せねぇ……絶対に……だが……」
金がねぇ……力もねぇ……どうしようも…………ねぇ……。
「はぁぁ……腸が煮えくり返るような想いで宿に帰ってきたってのに、腹は減るんだな……」
買い置きしていた保存用の固いパンを口の中へ放り込む。
「まずいな……」
固くボソボソしたパンを噛み締める度に、パーティーで豪遊した日々を思い出す。
「サキ……デルティア……アイツらとも深い仲になったと思ってたのに……」
ほんとにどうしてこうなっちまったのか……。
ちょっと前まではこんな悲惨な暮らしじゃなかったはずだ。
「ふう……寝るか……」
おもむろに左側に寝返りを打つと
くしゃり
と、ポケットの中から音が聞こえる。
「あ? なんだ?」
おもむろに手を突っ込むと、紙が入っていた。
この街の少し外れの住所が記載されている。
………………?
行ったことの無い場所だ。
こんな紙は知らない。
…………いや?
待てよ、と。微かな記憶を呼び覚ます。
━━━━「ダンナ」
━━━━「ええ、そうでさぁ……ダンナ、もしかしてカネに困ってやしませんか?」
━━━━「いい稼ぎ、ありやすよ……」
━━━━「へへっ、まぁ困った時でいいんで、ここまできてくだせぇ……悪いようにはしませんや」
「!!!」
屋台でやけ酒してた時の黒マントの男か!
見るからに怪しい風貌をしていたのを思い出す。
「どうする……」
いくらカネがないとは言えあんな怪しいヤツを頼るなんて……
だが今はサキもデルティアもいない。
ダンジョンもろくに行ってないから身体も鈍りきってる。
こんな状況で何ができるっていうんだ……
フラフラと、何かに誘われるように、住所の場所へ向かい、歩き出す。
それがさらなる破滅の道へ繋がっているとも知らずに。




