これから・・③
いかに一般人が魔法……モドキではあるのだが、活かすことが難しいかわかっていただけただろうか。
正直ゴブリンくらいなら剣で切った方が早いし、疲れない。その分武器の磨き粉等を使って定期的にメンテする必要はあるが、そっちのほうがよっぽど効率が良い。
やるなら牽制用に火の玉を一発かまして、怯んだ隙を突いてサクッと倒すって感じがせいぜい。
「浪費が激しいことは非常に大きな欠点だったけど、アイツらがいないと戦闘職じゃない俺がダンジョンででっかく稼ぐのは厳しいよなぁ……」
思わずため息交じりの独り言を喋ると、とりあえずゴミ箱に食べ終わった串と飲み物のカップを捨てた。
あれ?俺いつの間に串焼き食ってたんだ?もったいねぇ……もっと味わえばよかった……すまん、おっちゃん
気付くと空も赤らんできていた。もうすぐ夜になる。
━━━
「はぁ……それにしても金がねぇ……」
ちょっと前まで一人頭1000万ドゥルルくらいの蓄えがあったってのに……
いくら俺が戦闘職じゃないからってなんもしてないわけじゃなかったのにアイツらにはなんも伝わってなかったんだな……。
ギルドの職員と交渉しながら最もコスパのいいクエストを選んで受注するようにしたり、アイテムや武器だって……なんか虚しくなってき……いややっぱめっっちゃ腹立ってきたな!?
これ遅れた頃に次から次に怒りが湧いてくるやつだ!
ああああああああ くっそ!なんで俺は何も考えずにあんなやつらのパーティーに入ってしまったんだ!腹立つぅぅううううう!
怒りを胸に、欲望の坩堝で使っていた常宿、マニボーンの木へたどり着く。パーティーを抜ける以上、リーダーのブルのごり押しで使ってた1人1万2000ドゥルルもするような宿に泊まり続けていてはあっという間に破産してしまう。
さっさと別の安宿に移らねば……っと、ちょうど顔馴染みの店員のナオさんが受付にいるじゃないか。
「どうも」
「あ、カズヒトさん。こんにちは。いつもより早いですがどうしたんですか?」
中堅宿屋であるマニボーンの木だが、看板娘のナオさんの笑顔に癒される客続出で人気である。(その分ちーっと高いが……やむ無し)
ナオさんは黒髪セミロングのケモミミっ娘。もふもふしたくなる素晴らしい耳をお持ちである。
おっと、脱線してしまう。
「実は………」
ナオさんに追放の契機や状況等を説明する。




