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71/203

・・?①

「んんー……トゥメイトゥ……」


「そう、こんだけやってもまた起きないのね? わかったわ……」


 すぅぅぅぅう!




「ホォーワチャァァァァアアアアアア」


 ずぬぅぅぅ!っという擬音が聞こえそうなくらいカズヒトの腹に拳が沈みこむ。


「コキャーーー! コクッコクッ! グエッ! って何すんだナツミ! ニワドルみたいな声出ちゃったじゃねぇか!」


「何度も何度も何度も、私は毎日何回兄さんを起こしたらいいんでしょうかねー?」


 あっ、ヤバい


「申し訳ございませんでした。ワタシがわるうございました。」


「はぁ……早く顔と手洗って居間に来てよね。朝ごはん冷めちゃう」


「ハイ、タダチニ」


 急いで普段着に着替え、手早く顔と手を洗う。


「お、今日も順調に育ってるな? いくらかは食卓に並んでるのかな?」


 家庭用菜園には、色んな植物が植えられている。


 モヤスィーニ、マメミョンミョン、ネギュイ、等々


 我が家の貴重な食料だ。うちで使う野菜のほとんどがこの家庭菜園で賄われている。

 植えたものが育ち、伸びたところを切って使うと、後から後からまた生えてくるので、ほぼ無限に食べられるのだ。(さすがに何度も繰り返すと生えてこなくなってくるので、新しく買う必要があるのだが)


「さて、今日は何かなぁ」



「あ、兄さん、用意できてるわよ」


「お、今日もうまそうだ。食べよう。」


「「いただきます。」」


 同時に手を合わせて、食事前の挨拶をする。


 今日のメニューは

 ・白麦パン

 ・ニワドルの卵 サンシャイン焼き ネギュイ掛け

 ・モヤスィーニとマメミョンミョンの炒め物


「うん、今日もおいしい!」


「そう?」


 ちょいとばかしヘルシーではあるのだが、採れたての野菜がふんだんに使ってある料理は、素朴ながらも新鮮で旨味に溢れており、実にうまい。

 あっという間に食べ終える。


「ふぃー」


 じゃぶじゃぶと、音を立てながら食器を洗う。

 料理を作るのはナツミで、食器を洗うのは俺だ。


 キュッ、と水を最後まで切ったところで、出掛ける支度を始める。


「あ、兄さん、一緒に挨拶しとこ?」


「そうだな」


 チン……と、小さな小さな鐘を鳴らし、

 今は亡き父と母の遺影に手を合わせる。



 ━━━━これは…………夢だな。と、朧気に理解する。


 俺は安宿で毎日1人で過ごしているはずだった。


 それにナツミと一緒に暮らせるはずがないのだ。


 なぜならナツミはもう……。

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