・・?①
「んんー……トゥメイトゥ……」
「そう、こんだけやってもまた起きないのね? わかったわ……」
すぅぅぅぅう!
「ホォーワチャァァァァアアアアアア」
ずぬぅぅぅ!っという擬音が聞こえそうなくらいカズヒトの腹に拳が沈みこむ。
「コキャーーー! コクッコクッ! グエッ! って何すんだナツミ! ニワドルみたいな声出ちゃったじゃねぇか!」
「何度も何度も何度も、私は毎日何回兄さんを起こしたらいいんでしょうかねー?」
あっ、ヤバい
「申し訳ございませんでした。ワタシがわるうございました。」
「はぁ……早く顔と手洗って居間に来てよね。朝ごはん冷めちゃう」
「ハイ、タダチニ」
急いで普段着に着替え、手早く顔と手を洗う。
「お、今日も順調に育ってるな? いくらかは食卓に並んでるのかな?」
家庭用菜園には、色んな植物が植えられている。
モヤスィーニ、マメミョンミョン、ネギュイ、等々
我が家の貴重な食料だ。うちで使う野菜のほとんどがこの家庭菜園で賄われている。
植えたものが育ち、伸びたところを切って使うと、後から後からまた生えてくるので、ほぼ無限に食べられるのだ。(さすがに何度も繰り返すと生えてこなくなってくるので、新しく買う必要があるのだが)
「さて、今日は何かなぁ」
「あ、兄さん、用意できてるわよ」
「お、今日もうまそうだ。食べよう。」
「「いただきます。」」
同時に手を合わせて、食事前の挨拶をする。
今日のメニューは
・白麦パン
・ニワドルの卵 サンシャイン焼き ネギュイ掛け
・モヤスィーニとマメミョンミョンの炒め物
「うん、今日もおいしい!」
「そう?」
ちょいとばかしヘルシーではあるのだが、採れたての野菜がふんだんに使ってある料理は、素朴ながらも新鮮で旨味に溢れており、実にうまい。
あっという間に食べ終える。
「ふぃー」
じゃぶじゃぶと、音を立てながら食器を洗う。
料理を作るのはナツミで、食器を洗うのは俺だ。
キュッ、と水を最後まで切ったところで、出掛ける支度を始める。
「あ、兄さん、一緒に挨拶しとこ?」
「そうだな」
チン……と、小さな小さな鐘を鳴らし、
今は亡き父と母の遺影に手を合わせる。
━━━━これは…………夢だな。と、朧気に理解する。
俺は安宿で毎日1人で過ごしているはずだった。
それにナツミと一緒に暮らせるはずがないのだ。
なぜならナツミはもう……。




