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what・・?

 ん?


 聞き間違えか?


 結婚してって聞こえた気がするんだが……


「ごめんアルカ、ちょっと耳の調子がおかしかったみたいだ。えーっと……誰が誰と、なんて?」


「……アルカが……カズヒトと……結婚するの……」


 顔を真っ赤にしながらアルカがもう一度教えてくれる。


 ……


「け、」


「け?」


「っこん……?」


「うん、そう」


 聞き間違いじゃなかったー……


「えっと、あー……その、あれか? 竜族とかでは、一生同じ固定パーティー組みましょうね、とか、ライバルでいましょうね、みたいなことを結婚って言ったりする?」


「? しないよ? 人間と同じで、交尾して子供を作ることを言うの」


「生々しいいいいいいい」


 え? めっちゃどストレートでおじさん驚いちゃったよ! まだおじさんじゃないけどね!


「お、おおお……あれ……なんかうまく言葉が出てこないや……えーっと、その……あー……結婚ってほら、愛し合ったもの同士がするものじゃない?」


「むう……私、カズヒトのこと好き……愛してる……カズヒトは私のこと……嫌いなの?」


 またしてもアルカの目に大粒の涙が浮かび始める。

 あああああああ、どうしてこうなるぅぅうう!?


「ち、違うよ! 俺もアルカのことは好きだよ。一緒にダンジョン探索してて楽しいし、飽きない。でも……」


 でも……か。



 アルカとの初めて出会った時、呑気に食事をしていてブチギレてたっけな……。


 思わずボッコボコにしちゃって……そうだ、初めて幼女……人化形態のアルカを見た時もこんな感じで泣いてたっけ……。


 初めてご飯作ってあげたらめちゃくちゃ喜んで食べてくれて。


 そうだ。最初は置いていこうとしてたんだ。

 そしたらものすごい力で肩を掴まれて。あれは痛かったなぁ……今でも思い出す。


 チャリーンちゃんのところに連れていった時とか、アルカがわざとそれっぽく説明したせいでとんでもない誤解されたっけ。

 それから2人ともS級に昇格して、竜王のお膝元ってパーティー作って……


 そこからずっと2人でダンジョンを探索して……あ、お風呂誤解事件もあったな。

 いや、正確には誤解でなくもないんだが……。


 一緒にダークエルフの里にいったり……


 そうだ、チャリーンちゃんとのデートを快く見送ってくれて……チャリーンちゃんと初めての夜を迎えたんだっけ。

 ……ほんとは……ツラかったのかな……


 出会ってからまだそこまで年月は経っていないけど……



「そうか……俺は……アルカのことも好きになっていたんだな……」


 数々の出来事を思い出し、思わず素直な気持ちが口からこぼれ落ちる。


「カズヒト……! じゃあ……結婚してくれる?」


「ごめん、アルカのことは特別に想っているけど、チャリーンちゃんのことは裏切れないよ……」


「…………クスン」


 ざ、罪悪感がすごいが、こればっかりはダメだ! 俺はチャリーンちゃんに一途なんだ……!


「グスっ……じゃあ……チャリーンさんとも、私とも結婚していいって、チャリーンさんが言ってくれたら結婚してくれる?」


「え? いや……でも……うーん」


 いいのか? いやでもこの状況どう説明するんだ……

 下手したら浮気疑惑で即破滅だぞ……


「いやまぁ……チャリーンちゃんがオッケー出してるって前提があったらまぁ可能なのかもしれないけど……」


「……チャリーンさん、どうですか?」


「え!?」


 驚き、後ろを振り返るとそこには、


「チャリーンちゃん……」


 愛しの彼女がいた。



 どうしてここに……という言葉を飲み込む。

 そうか……俺がアルカを放置してたって話をしてた時からここにくる可能性に思い至っていたのか……。


「ふふっ、いいわよ」


「え? チャリーンちゃん……? それってどういう……? それに話は半分も聞いてないはずじゃ?」


 いいわよ、の意味がすぐに理解できず、困惑する。


「やったぁぁぁあああ! チャリーンさん、ありがとう!」


「うふふ、よかったわね」


「え!? え? 何何何? どういうこと?」


 謎は深まるばかりである。



「鈍いわね、カズヒトは。アルカちゃんとは既にそういう話はとっくにしてるってこと」


「え? そういう話?」


「アルカちゃんもカズヒトのことが好きだって話よ。まぁ私はもっと最初のほうからなんとなく気付いてたけどね。いずれこうなるんじゃないかなって」


「え? そうなの?」


 え? 一体いつからだ? そんなそぶりあったか?

 もしかして俺鈍感なのか……?

 ただただチャリーンちゃんのことだけしか見ようとしてなかったから、アルカからの気持ちに気付いていなかったのか……


「ええ。それで、どうなの?」


「どう、とは?」


「だから。私は別に問題ないって言ってるのよ? この国は重婚が認められてるし、妻を何人も迎えている男性もあちこちで見かけるわ。あなたはどうするのかしら? カズヒト」


「俺……俺は……」


「カズヒト……」


 アルカが不安そうに見つめてくる。


 ええい、何をそんな迷っているのだ俺は!

 アルカにこんな顔をさせていいわけがないじゃないか。

 それに俺は……


「俺も……アルカのことが好きだ。いや、愛している」


「!!」


「だから……その……俺と結婚してください」


「カズヒト!!!!」


「ぶげぇっ!」


 アルカが全体重をかけて飛び付いてくる。


「ちょ、アルカ!? いたたたたた! し、絞まってる! 絞まってる!」


 身体中がすごい力で抱き締められ……バカな!? この人外ステータスになった身体でも振りほどけないだと!?


「アルカ、わかった! わかったから! ちょっとだけ離して! 身体中の骨が……アッー!」


「うふふ、嬉しそうね。アルカもカズヒトも」


「チャリーンちゃん!? よく見てこの光景! 俺が俺じゃなくなっちゃう!?」


「カズヒトーーー好きーーー! もう離さないから!」







「わかったからちょっと離してぇぇええええええ」

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