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175/203

vs ブル・・③

「さぁさぁ! 間もなく締め切りだよ!」


「よーし、1回目の賭けを帳消しにするくらい賭けてやったぜ!」


「俺は300万!」


「すくねぇすくねぇ! 俺は1000万だぜ」


「バッツ……お前そんなにカネ持ってやがったのか……」


「おめーらもいっぱい貰ってんだろうがよ。何に使ってんだ?」


「そりゃおめー……酒と女とカジノよ。ここらでいっちょドカンと勝たないとな」


「はっ、負けるやつのセリフじゃねぇか」


「言ってろ」


 デカイ声で喋るやつが多いが、あそこのやつらさらにうるせぇな。聞きたくもねぇ会話がガンガン聞こえてくる。


 数分ほど経過しただろうか。


「はい! 現時刻をもって締め切りとしまーす! オッズはこちら!」


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ①0~2分00秒でダウン

 →2.4倍

 ②2分01秒~4分00秒でダウン

 →1.8倍

 ③4分01秒~6分00秒でダウン

 →3.7倍

 ④6分01秒~8分00秒でダウン

 →6.5倍

 ⑤8分01秒~09分59秒でダウン

 →7.7倍

 ⑥10分間耐えきる

 →45.2倍

 ⑦反撃して反則負け

 →24.8倍

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 おいおい、耐えきるが45倍オーバーかよ。賭けさせてくれねぇかなほんとに?

 まぁ賭けたところで支払いがあるとは思えないけどな。

 にしても……ちょっとS級冒険者なめられ過ぎじゃないか?

 さすがに魔術メインとは言ってもさすがに2分以内に倒れると思われてるのは心外なんだが……


 ……うん。色々考えてたらちょっと冷静になってきたな。


 チャリーンちゃんが心配そうな瞳で見つめてくるのがツラい。あんな顔させてるのが俺だと思うと心が痛む。

 あとちょっとの辛抱だ。耐えてくれチャリーンちゃん……



「さぁカット! さっさとそっちの線の中に入りやがれ!」


 ほんとブルは偉そうで腹が立つな。なんなんだコイツは?


「ふっ……大勢お仲間がいて気が大きくなってて滑稽だなブル?」


「…………やっちまえ」


 怒りで顔をブルブル震わせているブルが合図をすると、俺への攻撃が始まった。


「おらぁぁぁあ」


「いけいけ!」


「ちゃんと攻撃しろよ! 4分以内に倒れないと賭けに負けちまうだろ!」


「しっかり耐えろよ! 倒れたらぶっ殺すぞ!」


 口々に好き勝手言ってる声が聞こえる。

 俺はというと。


「ガハッ! ぐぁぁあああああああ!」


 と声を上げていた。


「カズヒト! カズヒト! なんでそんな……」


「ああああああ!」




 と、叫んではいるものの……。



 え!? 何コイツら? ビックリするほど弱いんだが……嘘だろ? 本気か?

 HP体感1%くらいしか減ってないぞ……10人もいてこれ?

 10分どころか1時間でも2時間でもいけそ……うおっと!?


 今度はファイアー系とかアイス系の魔法まで飛んできた。


「あっっつ! いだっ!」


 いや、せめてどっちかにしろや! なんで熱くなったり冷たくなったりしないといけないのか。


 しかし……弱いな……なんだこの魔法は?

 ヤバいレベルの手練れがいるかもしれないとか考えてたけど、そんなもんいないのか?

 いや、まだ油断はできん……



 2分……4分……6分と、時間が経つ毎に攻撃が苛烈になっていっている。のだろう。たぶん。


 相変わらず俺のHPは体感で……今で5%くらいは減ったか?

 フル鑑定使えないから詳細がわからなくて不便だな。


「おおい! もっと攻撃強めろよ!」


「手を抜いてんじゃねぇぞ!」


 等、最後まで耐える、に賭けなかったであろうやつの罵声が飛ぶ。


「おらぁ! ここまできたら最後まで起きとけや!」


「いいぞ! もうちょっとだ! 耐えろ!」


 って声も聞こえてくるが、いや、お前らどっちの味方なんだよ……とツッコミたくて仕方ない。



 ……


 …………


 10…………


 6…………


 3……


 2……


 1……


「終了だぁぁぁああ!」



 満身創痍なフリをして、なんとか立ち上がる俺。


「死ねやぁぁぁ」 「何耐えてんだよカス!」


「よっしゃあああ! 大穴取ったぁぁ」


 など、悲喜こもごもな有り様である。



「やけにしぶといじゃねぇかカットォ! まさか最後まで耐えるとはな」


「案外しぶといんだよ俺は」


「はっ! つまんねぇなぁおい」


「さぁブル、約束通り解放してもらおうか!」



「しゃぁねぇなぁ…………」



 ビリィィッ! っと、布が裂ける音がする。


 音の出どころを見ると、チャリーンちゃんの服の前が破られており、ライトグリーンのブラが露になっていた。

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