一方その頃・・SIDE 欲望の坩堝②
「そうね……まぁ順番とかなんでもいいんじゃない?」
「そうですわね。でもここだとちょっと場所が狭いですわね。一旦マニボーンに戻りません?」
「そうだな……酒場で広げるにはスペースが気になるな」
食事を終えた一行は一様に満足そうな笑みを浮かべている。
「んじゃ会計してくっから外で待っといてくれ」
頷く2人は酒場を出ていく。
「お会計、こちらになりまーす」
「お? まだこんなもんか。じゃあこれで! 釣りはいらねぇよ!」
収納袋から雑に取り出したお札をトレイにばさりと置いて去っていく。
「ありがとうございまーす。いってらっしゃいませ、冒険者様~」
メイド服姿の酒場のお姉さんはホクホク顔でブルを見送る。
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今はもうカズヒトは利用していないのだが、欲望の坩堝の面々は未だに常宿にしているマニボーンの木へと戻ってきた。
「さてさて! ひっさびさに思いっきり買い物したんだからな! ちょっくら品評会といきますか!」
そう、カズヒトがいなくなった途端、彼らは買い物三昧をしていた。
カズヒトがいた頃はダンジョンの中層手前くらいまで狩りをしていたのが日課だったのだが、上層でちょろっと敵を倒して帰って来ていたのである。
抑圧されていた買い物欲を爆発させた彼らは、それぞれ思い思いの店に立ち寄り、買いに買った。
それこそカズヒトがいたら渋い顔をしながら買うことを却下されたであろう、ダンジョン攻略では全く効果の無い、見た目を彩るだけに過ぎない服やアクセサリーの類いも買い漁った。
「じゃあちょっと着替えてくるわね」
「わたくしも着替えてきますわ」
「おう! 俺もちょっと片付けとくからよ」
買ったばかりの服やアクセサリーを披露するため、各自の部屋へ一旦戻っていく。
「うっし、こんなもんかな……」
とっちらかった部屋を荒っぽく整理整頓し、1人で使うにはやや大きめなテーブルのスペースを明ける。
「そろそろか……」
そう独り言を呟くと、ガチャリ、と控え目な音を立てて扉が開く。
「お、おおっ……」
思わず感嘆の声の漏れるブル。そこには綺麗所が多いと有名なこの大都市マッネーでも、多くの人が振り替えるであろう美女2人が並んでいた。
「ど、どうかな……」
「恥ずかしいですわ……」
「さ、サイッコウだよ……めちゃくちゃ可愛いじゃん……!」
1人ずつ順番に衣装の説明をし始める。
「あたしは最近出来た服屋さんで買ったんだ。いつも軽めの皮鎧とかばっかり着けてるから可愛い感じのを買ってみたの」
普段どんなにふざけてるやつでも、ダンジョンでは一瞬の油断が命取りになる危険な場所。いくら軽いこの3人でもさすがにそれはわかっているのでダンジョンではちゃんとした服装、まぁ野暮ったくはあるのだが……ちゃんと装備していた。その反動でダンジョンの外では可愛いものや綺麗な物を着たがるのは自然なことであると言えよう。カズヒトはコストを気にしてシンプルな物しか着ていなかったが。
さて、そんな中サキは、ハキハキした性格にピッタリの真っ赤な衣装に身を包んでいる。
「それはどういう衣装なんだ?」
「えーっとね……異世界出身者が持ち込んだって言われてるデザインを元に作られた、ちゃいなドレス?っていうんだって。この横のところに、すりっとっていうのが入ってて……」
「おおっ……」
スラッとした彼女のスタイルを活かすその服装は、スリットからチラリと覗くナマ足が非常に扇情的だ。
「いいな、すごく……いい……」
「ちょ、恥ずかしいからそんな凝視しないでよね! 次はデルティアよ!」




