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ダークエルフの里・・③

「あなた、そろそろ準備して下さいね」


「ん? 何の準備だいフラーニャ? お、今日も美しいね」


「ちょ、どこ触ってるんですか! もう……カズヒラに見られたらどう説明するんですか。あなたが説明して下さいね」


「ごめんごめん、それで、なんだっけ?」


 本気でわからなかったので、セクハラをやめて素直に答える。


「もうすぐカズヒラも10才、成人式があるでしょ。この里の外だと14才で成人式をやるところが多いって聞きましたが、ダークエルフは10才で大体早熟して、後は成長がゆっくりになるので、それに合わせて成人式も10才でやるって説明したじゃないですかー」


「ああ、そうだった、そうだった」


 そうか……カズヒラももうそんな歳になるんだなぁ……早いもんだ。

 思わず感慨深く目を閉じる。


「父さん!」


「お、カズヒラ、今日も元気いっぱいだな? どうした?」


「成人式ってどんな感じなの? スキルを授かるんでしょ?」


「そうだよ、スキル伝授の儀っていうのがあって、あ、フラーニャ、これはここも同じ感じなんだっけ?」


 里の外との違いに疎い俺は思わず妻のフラーニャに訪ねる。


「そうですねぇ、同じだったと思いますよ? 外との違いは、スキル伝授の儀でスキルを授けてくれる神官様が、ヒト族かダークエルフ族かの違いくらいですね」


「なるほどなるほど、だってさ、カズヒラ。わかったかな?」


 丸投げした結果を自分の手柄のようにぶん投げる。


「へぇぇー! あ、お父さんはユニークスキルだったんでしょ?」


「ああ、そうだよ。途中で色々あって変化しちゃったけどね」


「僕もユニークとまではいかなくても、レアなスキルが欲しいなぁ」


「ははは、父さんの息子なんだから、きっといいスキルを授かるさ」


「そうよカズヒラ、カズヒトさんは若い頃からそれはそれは破天荒で、めちゃくちゃなスキルの使い方してたんですからね。前フリ無しでいきなり空に放り出された時はどうしようかと」


「あ、フラーニャ、確か実はその時ちょっとチビっちゃってたんだっけ」


「あなた」


「は、はひ、ごめんなさい」


 こ、怖すぎる……冗談なのに。あれ? でもこんだけ怒るってことはもしかして……いややめておこう。


「あははー お父さんまた怒られてるー」


「たはは……あ、そろそろ成人式だね。着替えるぞカズヒラ」


「はーい」


「じゃあ、着替えてくるよ。フラーニャも急いでね」


「はいはい。全く……誰のおかげで遅くなったんでしょうね?」


「さーて、急ぐぞカズヒラ~」


 誤魔化すようにその場から逃げる。


 ……


 …………


「おお、我が息子ながらカッコいいぞ!」


「へへへ……そうかな」


「ああ」


 もう10才か……儀式用のカッチリとした衣装を着ているカズヒラを見ると、なんだかジーンとくるな。


「よし、じゃあお母さんにも見せに行こうか」


「うん!」


 やはり我が子は可愛いものだな。




「お母さーん!」


「カズヒラ! とても似合ってるわよ~ かっこよく着せてもらったねー」


「えっへっへ、じゃあ早く行こうよ、お父さん、お母さん!」


「ああ」


「じゃあ行きましょうか」


 ダークエルフの里の中にもある、小さな神殿を目指す。


「さ、神官さんの前では練習した通りにやるんだぞーカズヒラ」


「大丈夫だよ父さん!」


「よしよし」


「見つけたわよカズヒト!!」


「え?」


 後ろを振り替えると、鬼神が立っていた。


「チャ、チャリーンちゃん……」


「こんなところにあったのね……どおりで10年以上見付からないはずだわ!」


「こ、これは……その……」


「父さん、この人だぁれ?」


「父さん!?」


「ちょ、」


「カズヒトさん、この方ってもしかして」


「あ、ああ、チャリーンちゃんだよ……」


「カズヒト、もしかしてその子……」


 チャリーンちゃんが俺のほうに歩いてくる。

 さすがに嘘はつけない……


「そうだよ、俺の子どもだよ……」


 正直に答える。


「そう…………」


 達観したような顔で俺の前に立つチャリーンちゃん。


「チャ……」


 ぐさり、と、鈍い音がする。


「え……」


 熱い…………熱い………下を見ると、


 俺の腹に包丁が刺さっていた。





「あああああああああああああああいっだあああああああああああうああああああ」


「カズヒト……ずっと一緒にいてくれるっていったわよね? もうこうするしか一緒にいる方法はないの。大丈夫、私もすぐにいくわ……」


「あああああああああキャンセル!」








 ……


 …………


「そうだ……申し訳ないが、そういう掟なのだ……」


 あぶねぇぇえええええええ、戻ってきた!


 俺の腹! 大丈夫だよな? 大丈夫だ……穴空いてない……。うおおおお、怖ぇえぇぇ……


 コストカット魔術で19歳になっちゃってたから、このまま流されたらどうなるのかタイムイズマネーで未来を見て……ついでに元の30歳に戻るか、と軽い気持ちで11年後に行ったら。


 逝ってたなあれ……


 っていうか、フラーニャさんとバッチリ子供出来てたし……自分達の名前からちょっとずつ入れたっぽい名前付けてたし……


 てか10才の子供って言ってたか? 俺、即座にやることやっちゃってるじゃん……

 チャリーンちゃんがいるってのになんてバカなんだ俺は。まぁあくまであり得た未来のひとつってだけだし。


 とにかくあの未来は絶対ダメだ。チャリーンちゃん完全に病んでたし……



 さて……どうするのが正解なのか?

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