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海・・!

「!? 何が起きたの!?」


「ははっ、驚いた?」


「え、えぇ……とても。空間跳躍系の魔法なの?」


「うーん、自分のスキルなのによくわかってないんだけど、超コストカット術の下にコストカット魔術ってのがあって、その中の魔術のくくりのひとつ、ってことになるのかな。エクストラスキルの配下にあって、フル鑑定で見ると”魔術”って書いてあるから、一般的な”魔法”とは違うのかも……」


「へぇぇ……複雑なのねぇ? っていうかここは一体どこなの?」


「えーっと、地名で言うとリトルテラスかな?」


「えぇ!? リトルテラスって、マッネーから山10個分くらい離れてるじゃない! そんな長距離をあの一瞬で移動できるの!?」


「あはは……」


「あははって……」


 チャリーンちゃんの驚く表情、呆れた表情、うーん、どれも可愛い。


「ま、まぁ、もうすぐ海だし、ちょっと歩こうよ。あんまり来たことない場所だから座標ちょっとずれちゃったっぽい。あっちだよ」


「はぁい」


 2人で海へと繋がる道を歩く。


「そういえばカズヒト、朝何か言いかけてなかった?」


「なにかって……ああ、実は朝から……あー、その……広場でゴロゴロ転がってたら」


「えっ? 何やってんのよぉ」


「うっ……それで、通りすがりのおばさんが……」


「おばさんが?」


「……なんかオーレンジくれた」


「あははははははは、何してるのよ早朝から」


「そんなことになると思ってなかったんだよね……」


「あっ! カズヒト! なんか潮の香りがしてきたわよー!」


 こちらを振り返りながらはしゃぐチャリーンちゃん。

 まるで何かの劇のワンシーンのようだ。


「そんなにはしゃぐと転ぶよー」


「まっさか、子供じゃないのよ~ あっ!」


 フラりと倒れそうになるチャリーンちゃん。


「フォルドワープ」


 すかさずスキルを使い、倒れないようにそっと支える。


「大丈夫?」


「だ、大丈夫。ありがとう……」


 うっわ! 腰に手を回しちゃった!


 え?? 腰だよねこれ?


 おっぱいじゃないよね?


 女の子の腰ってこんなに柔らかいの!?


 あとめっちゃいい匂い……ヤバい……


 はっ!


「あ!」


 お互いの顔の距離がかなり近くなっていたのに気付き、どちらともなく離れる。


「さ、さぁ、海はもうすぐだよ! 行こう!」


 さりげなくチャリーンちゃんの手を握り、海へ向かって走り出す。


「! うん!」



 ……


 …………


 ざぁーん……ざざーっ……ぱしゃっ……


 色んな波の音が遠くからでも聞こえてくる。


「おお、見えてきたよ! 海だ!」


「わぁー……ずいぶん久しぶりに見るけど……やっぱ海ってキレイね」


(チャリーンちゃんのほうがキレイだよ……)


「ん? カズヒト、今何か言ったかしら?」


「ううん、なんでもないさ」


「そう? さぁ、海の家へ行きましょ! 着替えて泳ぐわよ!」


「おおー! やっぱなんかはしゃいでるね?」


「そりゃ、海にきたんだから、めいいっぱい楽しまなきゃもったいないでしょ?」


「それもそうだ! うおおおおお、いっくぞぉぉぉ」




「じゃ、男用更衣室こっちだから、またあとでね」


「えぇ、ちょっと時間かかるかもしれないけど、ちゃんと待っててね」


「もちろんだよ」





 とは言っても、男の水着なんて下しかないんだから、ばって脱いでパッと穿いたら終わりだ。


 うーん、しかし海水浴場だけあって人が多いな。

 この辺で待ってようか。


 チャリーンちゃんの水着、どんななんだろうなぁ……めちゃくちゃ楽しみだ!

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