冒険者ギルド・・①
大都市マッネーの中心部に位置する巨大な建物。
それがこの街の冒険者ギルドである。
大きな迷宮の近くにあるため、迷宮産の素材やアイテムの流通を一手に引き受けているため、肥沃な資産を抱えている世界でも有数のギルド。
ギルドの周りにはその恩恵に預かろうと様々な業種の店が連なっている。ギルドから徒歩数分圏内に店を構えるだけで3代は商売繁盛間違いなしと豪語する商人もいる。
さて、これまた大きな木製観音開きの扉が待ち構えているのがこのギルドの入り口。
扉の中央にはギルド名「センリョウマンリョウ」とでっかく刻まれており、それを囲むようにお金や麦の精細なレリーフが周りを彩っている。
雰囲気はパッと見商会のように見えなくもないのだが、重厚な木の扉を押し開けるとやはりそこは冒険者ギルドなのだと一目でわかる喧騒に包まれる。
まずは左手にはギルド併設の酒場。とにかく冒険者の声がでかくてうるさい。
「おい! 姉ちゃん! もっと酒くれよ!」
「はーい ただいまー」
「お帰りなさいませ冒険者様~!」
「ちょっと! これ注文違うよ!」
「いってらっしゃいませ、冒険者様!!」
等々、活気に溢れ過ぎてて耳に栓をしたくなる。俺はどうも苦手だ。
ただ、酒場の店員さんはなぜか露出度高めの一風変わった服装で接客しており……
(誰かが言ってたな……そうだ サキだ。異世界出身者が持ち込んだ文化らしく、めい……めいど服?というのだったか。あんな扇情的な服装で接客されたら財布の紐も緩んじゃうだろうな……恐ろしい。サキが以前やってみようかな?と言っていた気がするが、胸を見ながら「あの服装はお前には無理じゃないか?」と言ったらファイアーボールをぶちかまされたこともあったっけ。)
最近、冒険者からはメイド酒場と呼ばれて大層人気らしい。
たちの悪い酔っぱらい続出の酒場じゃなきゃ俺も入り浸りたいくらい人並みに女の子が好きだが、ちょっとな。
せいぜい晩飯が遅くなって空いてるのがここしかないって時に寄るくらいだな。
そして右側が本日のお目当て、ギルド受付である。様々な時間帯に活動している冒険者に合わせて24時間受け付けている。
中央にいくとそういった職員の寮であったり仮眠室があったりするのだが、冒険者は通常入れない、特に関係もないため割愛。
さて、受付の子はっと。
酒場の子達に負けず劣らず美形揃いである。
酒場のメイドお姉さんはほぼ人間で構成されてるのに対して、ギルドの受付をしている女の子達は実に様々な種族で構成されている。
人間、ドワーフ、エルフ、サキュバス(!?)、リッチ(!!?)、その他種別の詳細を明かしていない子もいるので詳細は謎のまま。
多種多様な人材を集めているものの、大きな共通点としてあげられるものがひとつあり、それが強さである。
荒くれもの達を相手する受付なので、セクハラやパワハラなんて飛び越えてくるような理不尽な要求をはねのけないといけないため、圧倒的な強さを求められている。
そのため、ギルド センリョウマンリョウの受付の子達は、元冒険者が多いのだとか。
さて、その中のひとつ、サキュバスの子が受付をしている列に並ぶ。
(特別なサービス等あるはずもないが、何かを期待してついつい並んでしまう悲しい男の性……。)




