はじめての・・③
「しかも貴様……長々と我の部屋の前で食事しおって……自殺しにきたのだな? そうであろう? 最後に贅沢をしてから死のう、と。そういうことであろうな?」
表情……というか頭が7つもあってどこを見ればいいかちょっと悩むが、とりあえずなんか怒っているようである。そりゃそうか。
(やべー……なんでメシ食ってたのバレてんだ……)
「あぁ-……その……なんていうか……万全の状態で挑みたいなぁと思ってまして。ええ。コンディションはバッチリですよ?」
グーした状態で親指を立てながらキメ顔を向ける。
「コロス」
剥き出しの殺意と同時に、7つある頭、当然口も7つあるが、それらが同時に光り始める。
「セプテントリオンキャノン」
ドラゴンが7色の光を放つ。
混ざりあった光が部屋全体に広がる。
「まずい!!」
広い部屋だが、逃げる隙間があるかどうかわからない!
回避不能の一撃が迫る
こうして俺は
初めてのボス戦で
ドラゴンの攻撃を受け
「キャンセル」
…………最後に贅沢をしてから死のう、と。そういうことであろうな?」
あらかじめタイムイズマネーを使って未来を見に行った俺は、慌ててキャンセルをかけて戻ってきた。
(あぶねぇぇぇぇぇええええ!? なんだあれ!? 全範囲攻撃か? あんなもんどうやって避けるんだよ……)
「あぁ-……その……なんていうか…………ごめんなさい!」
「今さら謝っても
「フォルドワープ!」
遅い……?」
「今だあああああああああああフェノメクションフェノメクションフェノメクション! どりゃああああああああうおらあああああぁぁぁぁあああああ!」
一瞬でドラゴンの身体に張り付き、パンチの連打!合間に火や氷様々なものをイメージしたフェノメクションを周囲の頭にぶつけまくる。
とにかく、ひたすら2000近い攻撃力のパンチとフェノメクションをぶつけまくる。
「グオオオオオオオ!?いきなり」
「らぁぁぁあああああああフェノメクションフェノメクションフェノメクションフェノメクションフェノメクションフェノメクション!」
「ちょ………待っ……………」
「あああああああああああああだぁぁらぁあああああああ」
「…………………………」
ドラゴンが物言わぬ肉塊と変わるまで、パンチと魔術を叩き込みまくった。
ふぃぃー
やりきった顔で汗を拭う。
完全勝利であった。
「さて……魔石はっと……あれ? 魔石ないのか。お? その代わり奥になんか宝箱ある!」
お金の匂いに敏感なカズヒトは一目散に箱を開ける。
「でかくて豪華な箱だから何が入ってるのかと思ったら……」
指輪だった。
「えらく小さいな……」
とりあえず鑑定かけてみるか。
「フル鑑定!」
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名前 アンチアブノーマリィリング
オプション 不壊
説明 装着者に対する状態異常を完全に防ぐ
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「うおっ! なんかやべぇやつきた」
説明文のシンプルさとは裏腹に、とてつもない性能のアイテムだった。
早速見た目もシンプルな銀色のリングを装着する。
「これで状態異常を完全に防げるとは……ボス倒せてよかっ…………んん?」
てっきり最下層だと思っていたが、宝箱の先のほうへと視線を向けると、なぜか扉があった。
「まさかまだ先があるのか……?」




